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昨年優勝のENEOS
社会人野球は「人材の宝庫」だ。第94回都市対抗野球大会の出場選手には2023年10月26日のプロ野球ドラフト会議で、上位指名を受ける選手もいるだろう。ただし、今まで社会人からプロに進んだ選手たちを見ると、高い評価を受けていなかったにも関わらず、プロで大成功した選手が目につく。
社会人野球はプロ野球のスカウトにとって、オトクなカテゴリーと言っていい。今回は都市対抗の「卒業生」から「下位指名で成功した野手」を紹介したい。なお、社会人野球の選手は育成ドラフトの指名対象から外れるため、全員が支配下登録枠の指名だ。
中野拓夢(三菱自動車岡崎→阪神タイガース)は社会人2年目、2020年のドラフト会議で6位指名を受けた。守備、走塁のレベルは間違いなく高かったし、171センチと小柄な割には強く振れる打者でもあった。ただ、決して社会人球界でも目玉的な存在ではなく、プロ入りの当落線上に相当する選手だった。
そんな彼がプロ1年目からショートのレギュラーとなり、新人王を獲得。期待された守備、30盗塁(失敗わずか2個)で盗塁王に輝いた走塁に加えて、打撃も打率.273と十分な数字を残した。今春のWBCは7試合中5試合に出場し、世界一も経験している。今季は二塁へ転向し、やはり社会人球界出身の木浪聖也と二遊間を組み、先日は3年連続のファン投票によるオールスターファン選出も決まった。
杉本裕太郎(JR西日本→オリックス・バファローズ)は2016年のドラフト10位だった。何と「88人中87人目」の指名からプロ入りしている。青山学院大学時代から体格に恵まれ、アスリート性の高かった「ラオウ」だが、NPBでのブレイクは30歳で迎えた2021年シーズン。それまでほとんど実績のなかった彼は32本塁打を放ち本塁打王、ベストナインとなり、オリックスのパ・リーグ制覇に貢献した。プロ入り後の鍛練、技術的な成長が生んだ成功ではあるが、社会人野球には強烈な人材が埋もれているという実例でもある。
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