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野球 コラム 2023年3月18日

「レッツゴー・ジョージ!」WBCオーストラリア代表が史上初の1次ラウンド突破ができた理由

野球好きコラム by 松山 ようこ
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ダリル・ジョージ(オーストラリア)

「レッツゴー・ジョージ!」「レッツゴー・ジョージ!」「レッツゴー・ジョージ!」

スタンドに響き渡る大きな声で、幼い女の子が懸命に応援をしていたのは、オーストラリア代表の4番ダリル・ジョージ。またたく間に日本中をほっこりさせ、SNSで話題をさらったこともあって、ジョージへの応援は試合を重ねるごとに激増。応援チームも国も関係なく、一番人気の選手になっていた。

応援したくなる理由は、見ていると他にもすぐにわかった。野球への思いがあふれるような熱いプレーや応援するファンへの対応がすばらしいのだ。しかも、日本愛も人一倍強く、BCリーグの新潟アルビレックス(2015~16年)と、オリックス・バファローズでは育成選手(2017年)として契約した経験を持つ。

取材を申し込むと、「いいですよ」と日本語を織り交ぜながら、知られざる裏話をしてくれたのでお伝えしたい。

日本語ができることに驚かされて尋ねると、「チョットだけ。オーストラリアにいたときから日本語を勉強したんだ」とジョージ。試合前であまり時間がなかったので、直球で「あなたにとってWBCとはどういった意味を持つのか?」と尋ねると、「それは英語で言うね」と真摯に語ってくれた。

試合前のジョージ

「僕にとって、WBCはすべて。本当にすべてなんだ。今はABL(オーストラリアン・ベースボールリーグ)に所属しているけれど、オフシーズンは仕事もしているから忙しい。朝4時に起きてジムに行って、朝7時から道路工事をする。終わったら、野球の練習をする日々だよ」。

そんなジョージは、2021年にABLのMVPを受賞。なお、エールを贈る女の子はオーストラリア代表の主将ティム・ケネリーの娘。ケネリーはABLで4度の優勝と2度のMVPを誇る、GOAT(greatest of all timeの略。つまり史上最高の選手の意)と呼ばれる存在だ。

「パフォーマンスの言い訳にはならないから、滅多に言わないのだけれど、僕らのチームも仕事を持っている選手は多い」とジョージ。GOATのケネリーも、消防士だという(!)。

2023 WORLD BASEBALL CLASSIC

【ハイライト動画】キューバ vs. オーストラリア

「だからプロとは言えないかもしれないけれど、魂はプロフェッショナルだと自負している。人の倍、トレーニングをして、WBCに備えてきたんだ。野球の世界から見たら、僕らはプロリーグの歴史も浅くAKACHAN(赤ちゃん)みたいなものかもしれないけれど、才能のある若い選手たちも出てきている。次世代のためにも、彼らがMLBで活躍できるようになるためにも、WBCはすべてなんだ」。

さらに続けて、「それにWBCは…、イツモココ、トウキョウ。ラーメンも食べられる。最高の舞台だし、本当に楽しい」と目尻を下げるのだ。ちなみに聞けば、一番好きなラーメンは豚骨ラーメンとのこと。言い慣れた日本語で言う。

「チャーシュー、タマゴ、オオモリ、オネガイシマス!」

ドームに響いた「レッツゴー・ジョージ!」

ほんの少し話しただけで、心から応援したくなった。と、そこにジョージがお世話になったというコーチがやってきて言った。

「ジョージは人気者だからね。野球のキャリアの次は、ハリウッドだな」。

敗退を喫したキューバとの準々決勝では、3万5000人が集まったスタンド中でジョージ・コールが自然発生した。それは、映画のように美しい光景だった。

文/取材:松山ようこ

松山ようこ

松山 ようこ

翻訳者/ライター/インタビュアー。主にスポーツやエンタメ分野にて実績多数。野球はプロ野球からMLB、他にもマイナースポーツからオリンピック大会まで、国内外の競技場や大会での現地取材を数多く経験するスポーツ好き。アスリートはじめ、一般人から著名人まで幅広くインタビューし、日本語と英語ともに記事やコラムにする。訳書『ピッチングニンジャの投手論』『ベイダータイム』。 ※『ピッチングニンジャの投手論 PitchingNinja's analysis of Japanese MLB Aces』 ※『VADER TIME ベイダータイム: 皇帝戦士の真実

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