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野球 コラム 2021年9月1日

60年ぶり13連勝のヤンキース、松井秀喜MVPの2009年以来のワールドシリーズ制覇なるか?

MLB nation by 豊浦 彰太郎
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シリーズMVPに輝いた松井秀喜

シリーズMVPに輝いた松井秀喜

今季のヤンキースは、主力に故障者や不調者が相次いだこともあり、前半戦は苦戦の連続だった。7月5日時点では42勝41敗と、貯金は1のみ。首位に今季最大の10.5ゲーム差をつけられ4位に低迷していた。しかし、その後盛り返した。特に8月は、30日現在21勝7敗で勝率はなんと.750。その中でも白眉は、8月12日の「フィールド・オブ・ドリームス」ゲームで劇的なサヨナラ負けを喫した後から始まった13連勝で、これは球団史上1961年9月以来だった。

その後3連敗したが、30日現在76勝55敗。東地区2位で、勝率.580はリーグ全体では3位だ。7月17日以降の41試合では30勝11敗で勝率.732。これは、全30球団中トップだ。

好調の要因は、故障や新型コロナ感染で戦列を離れていた選手の復帰と復調、7月末のいわゆるフラッグ・ディールでの補強、だろう。

毎年のように故障に泣いていたジャンカルロ・スタントンとアーロン・ジャッジが、今季は満点とまでは言えないまでも、まずまずの活躍を見せている。

スタントンは、8月2日以降は打率.330、9本塁打、24打点。ジャッジは8月7日以降の22試合中21試合に出塁しており、今季の出塁率.383はリーグ2位だ。ここまでの本塁打数29本は、52本を放ったルーキーイヤーの2017年以降では最多だ。

7月末にレンジャーズからジョーイ・ギャロ、カブスからアンソニー・リゾーという2人の左のスラッガーを獲得した。彼らの移籍後の成績自体は決して目覚ましいものではないが、それまで右打者偏重であった打線のバランスが改善されただけでなく、追撃の姿勢の象徴として、チーム内のケミストリーにも良い影響を与えたと思う。

投手陣も頑張っている。スターターは、7月6日以降の防御率は3.04と秀逸だ。8月30日には右肩の故障で5月下旬から戦列を離れていたコリー・クルーバー(サイ・ヤング賞2度受賞で、5月19日のレンジャーズ戦ではノーヒットノーランを達成)が復帰登板を果たした(4回を投げ5失点だったが)。リリーフ陣では、アロルディス・チャップマンに全幅の信頼が置けず、ザック・ブリットンがヒジの故障で今季の復帰が絶望となったのは不安材料だが、ブルペン全体では結果をしっかり残している。

今季のア・リーグ東地区では、前半はレッドソックスが走った一方で、ヤンキースは低迷した。ところが、後半はレッドソックスが失速し、逆にヤンキースが息を吹き返した。その両球団が浮き沈みを見せる中、昨季地区優勝でワールドシリーズ進出のレイズのみは安定した強さを発揮、という展開になっている。

現在ヤンキースは首位レイズには7ゲーム差で、今季残りの直接対決は3試合のみと逆転は容易ではないが、ワイルドカード争いではレッドソックスに2ゲーム差で1位だ。同3位のアスレチックスには4ゲーム差なので、ワイルドカードでのポストシーズン進出はかなり有力だ。

今のメジャーは何でも統計データで分析される。セイバー系サイトのfangraphsのデータによれば、ヤンキースの逆転地区優勝の可能性は10.8%でしかないが(レイズは86.0%)、ワイルドカードも含めたポストシーズン進出の可能性は93.0%となっている。

しかし、言うまでもないが、ヤンキースの目標はあくまでワールドシリーズ制覇だ。ワイルドカード・ゲームやディビジョン・シリーズあたりで、あっさり敗退するようなことがあると、今季が契約最終年のアーロン・ブーン監督の再契約は危ういものになるだろう。

ヤンキースは、松井秀喜がシリーズMVPに輝いた2009年を最後に、ワールドシリーズ優勝も進出もない。われわれ日本のファンには昨日のことのように思えるあの時から、すでに11シーズンが経過し、今季は12年目だ。もちろん、その間ポストシーズンには2013〜14年と16年以外は駒を進めているのだが、同球団がワールドシリーズから遠ざかる期間としては、ア・リーグ初優勝の1921年以降では1982年から95年までの14シーズンに次ぐ長さ(94年は労使紛争でポストシーズンは行われていないが)で、1965年から75年の11シーズンにすでに並んでいる。世界一を連続で逃す期間としては、1979年から95年までの17年、1963 年から76年の14年に次ぐワーストスリーだ。

もちろん、当時とはポストシーズンのフォーマットが異なるので、一概には比較できない。しかし、先代の父親ジョージとは異なり、感情を露わにすることの少ないハル・スタインブレナー共同オーナーの忍耐も、そろそろ限界に近いと思う。

文:豊浦彰太郎

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豊浦 彰太郎

1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]

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