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米独立リーグのアトランティック・リーグ(ALPB)|筆者撮影
現地時間5月27日に開幕する米独立リーグのアトランティック・リーグ(ALPB)では、球宴明けの8月から、MLBとの契約に基づいた型破りなルールの試みが行われる。何と、投手プレートを後方に1フィート(30.48センチメートル)移動させるのだ。
なぜか不可侵だった投手・本塁間
野球はとても妙な競技だ。フィールドの形状やサイズが一定ではない。両翼までの距離、右中間・左中間の膨らみ、外野フェンスの高さ、ファウルエリアの広さ、全てが異なっている。しかし、金科玉条のごとく不変なものもある。そのひとつが投手プレートと本塁間の距離だ。それは、野球の黎明期においては変更を繰り返したが、1893年に現在の60フィート6インチ(18.44メートル)と規定されてからは不変だ。そして、これは塁間の90フィート(27.43メートル)とともに、攻守バランスを保つ上で神聖にして不可侵と認識されてきた。
この夢のような(悪夢のような?)実験を行うALPBを2年前にぼくは訪問取材した。MLBからの要請による彼らの新ルール実験プロジェクトはその年にスタートしており、ストライク・ボールの判定においてAIの判断を参照する通称「ロボット審判」、三振でなくても打者は隙を見て一塁に走れる「一塁盗塁」などが試行されていたからだ。
実は投手プレートの後方移動も、2019年後半から実施される予定だった。しかも、移動距離は1フィートではなく2フィートで計画されていた。しかし、実際にはこの新ルールは運用されなかった。今回メール交換でインタビューした同リーグのリック・ホワイト会長によると、「所属の選手(特に投手)から、長い距離を投げることが故障を誘発するのではないかとの声が少なからず上がった」という。しかし、その後MLBとALPBはスポーツ医療の専門家による実験を行い、故障のリスク増大はないとの結果を発表した。それでも1フィートに短縮されたのは、ソフトランディングを図ってのことだろう。
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