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そう考えると、投手の体格が年々向上し、速球のスピードがかつては想像もできなかったレベルまで上がってしまった現代においては、投打バランス是正にこの距離延長の試みは大いに意味がある。忘れてはいけないのは、申告敬遠も、ワンポイントリリーフ禁止も、ALPBでの試行を経てMLBに正式採用されている、ということだ。ロボット審判も、将来MLBでの導入の可能性はかなり高いと見られている。このリーグで試されることは、将来のMLBでの採用を念頭に置いているのだ。
MLBが距離延長を行うとどうなるのか?ホワイト会長は、あくまで私見としながらも、「少なくともMLBと協調体制にあり選手の人的交流も盛んなNPBや韓国のKBOや台湾のCPBLはそれに倣うのではないでしょうか。また、WBCなどの国際大会もそうなる可能性は高いでしょう」と語った。距離延長は前述の通り、同リーグの開幕からではなく、後半戦から導入される。これにはさまざまな理由があるが、最重要なのは同一シーズン内で比較データを取得することだ。
もうひとつの新ルール「ダブル・フック」
なお、距離延長は後半戦からだが、開幕から採用される注目の新ルールもある。それは「ダブル・フック(Double hook)」というもので、先発投手が降板するとスタメンDHも退かねばならない、というものだ。(Hookには、交代させる、という意味もある)。そのDHに次の打順が回ってくると、救援投手が打席に入るか、代打を送らねばならない。これは、DH制の有無で異なるMLBのア・リーグ、ナ・リーグのルールの折衷案と位置付けられているのだが、ファンがその試合を見たいとする主要な要因である先発投手をなるべく長く試合に留めておくことも目的としているという。ホワイト会長は「より代打のスペシャリストが重視されることになるでしょう」とも期待している。
われわれは数年のうちに、歴史の証人になるかもしれない。
文:豊浦彰太郎
豊浦 彰太郎
1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]
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