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リック・ホワイト会長
野球はどんどん退屈に
投手プレートと本塁間の延長は、実は荒唐無稽ではない。実際に、リトルリーグなどのアマチュア野球では短縮されたディメンジョンが採用されている。選手の体躯、体力によって距離を変えることは、そもそも理にかなっている。プロの世界でも、まだ肉体が成長過程にあるティーンエイジャーが多い下部リーグにおいては、メジャーや3Aとは異なる距離でも良いのではないか。したがって、将来このALPBの実験結果に基づいて、MLBで距離の延長が行われたとしても、低いレベルのマイナーリーグは従来のままで決して不合理ではない。
最初に距離延長が発表された際、この試みにはメディアやファン、関係者のリアクションは反対や動揺が主流だった。しかし、今季のMLBは開幕後2ヶ月弱の段階ですでに6度のノーヒットノーランが達成されたように極度の投手力上位だ。特に三振の過剰さは野球という競技の持つスリリングな要素を奪い去る結果になっており、大いに懸念されている。
しかし、三振の急増と低打率化という傾向にありながら、本塁打は決して少なくない。ツインズやヤンキースがシーズン300発という途方もない記録を残した2019年よりは若干低いレベルにはあるが、史上最低打率の今季にしても1チーム1試合あたりの本塁打数は1.15で30年前の約5割増だ。メジャーリーグからどんどんインプレー打球が減少し、三振と本塁打が増えているのだ。本来それらは野球の華かもしれないが、発生した瞬間にフィールドからアクションを奪ってしまう。野球は退屈な競技になりつつある。
狙いはモア・アクション
ぼくが2年前にALPBを取材した際にも、各球団のGMたちは「新ルールの多くは、より多くのアクションを取り戻すこと、ダルなアイドリング時間を可能な限り排除することを目的にしています」と語っていた。その時は「ロボット審判」が注目を集める中で、ワンポイントリリーフ禁止(投手はイニング完了か打者3人への投球を終えねば交代できない)、投手交代時以外のマウンドビジット禁止、攻守交代時間の短縮、なども導入されたため、「MLBは時短にやっき」との印象を与えたが、目指すことはモア・アクションなのだ。
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