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野球 コラム 2018年10月15日

初戦に3回を投げたヘイダー不在で2戦目を落としたブルワーズの狙いは?

MLB nation by 豊浦 彰太郎
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ブルワーズ対ドジャースのナショナルリーグ・チャンピオンシップ・シリーズは、ミルウォーキーでの2戦を終え1勝1敗で舞台をLAに移す。この2試合で印象的だったのは、ブルワーズのクレイグ・カウンセル監督が初戦の5対1とリードした5回からトップリリーバーのジョシュ・ヘイダーをつぎ込み、3イニングスも投げさせたことだ。

ヘイダーは、今季81.1イニングスで左腕の救援投手としては史上最多の143奪三振を記録した絶対的リリーフエースだ。そして、彼はその3回をしっかり無失点で投げ抜き、8回から後続にマウンドを託した(リードは5点に広がっていた)。その後の2イニングスでヘイダーの後を継いだ4投手が4点を許すも、チームは6対5で逃げ切った。このことからも、この試合に限れば結果的にヘイダーにロングリリーフを強いたことは成功だったと言える。

しかし、「点差もそれなりにあったのに、長く使うのはもったいない、2戦目以降はどうするのよ」という疑問も湧いてくる。実際、第1戦後の会見でカウンセル監督は、「2イニング目に入った段階で、第2戦の登板の可能性は消えた。だから、3回投げさせた」と語った。しかし、初戦&第2戦とも1イニング前後に留め連投起用した方が、ヘイダーにとってもチームにとっても良かったのでは?と感じたファンは多かったと思う。

第2戦、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督はスタメン全員を右打者で揃えた。ブルワーズの先発投手が左腕のウェイド・マイリーのため、当然とも言える。しかし、これは中盤から後半に掛けて左腕のヘイダーが出てくることがない、ということも見越してのことではないか。ポストシーズンでは、先発投手を無理に引っ張らないことは今や常識だ。そのため、相手先発投手の左右に応じてスタメンを極端にいじるのは本来得策ではない。ヘイダーが出てこない以上、中盤以降に右腕中心のリリーバーに対し矢継ぎ早に左の強打者を代打で送り込むためのスタメン構成でもあったとも言える。そして、ヘイダーを欠くブルワーズのブルペン陣が7回から崩れ、ドジャースに逆転負けを喫したのはご存知の通りだ。

しかし、もっと細部まで目を配ると、おぼろげながらカウンセル監督の狙いが見えてくる。実は他の多くのエースリリーバーとは異なり、ヘイダーはレギュラーシーズンから複数イニングスの登板は多く、55登板中2.0回以上は23度で、その内3回の登板すら1度ある。一方で、連投起用されることは多くない。2日連続でマウンドに上がったのはわずか5度で、その1試合目はいずれも短いイニングなのだ(1.0イニングが2度、他は全てそれ未満)。

ということは、ミルウォーキーでの2連戦での連投を避け、1試合にぎゅっと負荷を集中させたのも、決して「よそ行き」起用ではないのだ。それと、ここから先はあくまで推測の域を出ないのだが・・・カウンセル監督が最も重視したことはホームフィールドアドバンテージを確保したこのシリーズで、地元での2試合で最低1つは取る、ということだったのではないか。そして、初戦では前半で勝ちパターンを作った。そこで優先したのが勝利の確率がそれなりに高まった好機を逸しないことだった、もちろん2戦目も取りたいのはやまやまだが、最低限1勝1敗をキープすることを目指したのではないだろうか。前述の通り、連投は多くないが皆無ではない。限られたタマ数での連投も当然選択肢に入るのだから。

その見方が正しいかどうかは、日本時間16日に始まる第3戦以降でのヘイダーの起用によりある程度見極められるだろう。

代替画像

豊浦 彰太郎

1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]

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