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大会2勝を記録した高崎高校
全国屈指の進学校、群馬代表の高崎高が同校初の快挙を成し遂げた。
自らのサービスエースで勝利を決めた兒玉慶主将(3年)は満面の笑みで、声を弾ませた。
「素直に嬉しかったです。(最後のサーブも)絶対点を獲る、と狙っていました。結果的には自分が決めることができたんですけど、仲間に助けられて強くなれた。みんながついてきてくれて、プレーの質も全国基準に引き上げてくれたからこそつかめた勝利だったと思います」
インターハイ2026 全国高等学校総合体育大会バレーボール競技大会
インターハイ出場は2年ぶり。樋口祐希(広島サンダーズ)や山口裕太郎(大阪ブルテオンコーチ)、今季で引退した山口拓海(東レアローズ静岡)など、SVリーグで活躍するOBもいるが、同校OBでもある砂川智哉監督曰く、「インターハイで1勝を挙げたのは48年ぶりで、(予選リーグもあわせて)2勝したのは史上初めて」とのこと。
しかも、決勝トーナメント初戦となった2回戦で対戦した小松大谷(石川)には、先月開催されたU18日本代表としてアジア選手権に出場、銀メダルを獲得した奥田優人、沢野陽(ともに2年)もいる。
優れた個が揃う相手に対して、いかに戦うか。砂川監督は事前の策として「特に相手のオポジット(の奥田選手)に対して、どれだけストレスをかけられるかが勝負だと思っていた」と明かし、つないでつないで相手のミスを誘う。泥臭く戦ったことこそが「まさに高高(たかたか)らしい戦いで、どちらに転んでもおかしくなかった勝利を全国でつかむことができました」と笑みを浮かべた。
らしさを随所に発揮した小松大谷戦
砂川監督が言う『高高らしさ』とは何を示すのか。1つは選手たちが考え、理解し、実践する力。小松大谷戦でも、まさにその『らしさ』が随所で発揮された。
インターハイ2026 全国高等学校総合体育大会バレーボール競技大会
第1セット序盤からサーブに緩急をつけ、相手の得点源が少しでも攻撃しづらい状況をつくるのは当たり前のこととして全員が遂行し、高さのあるブロッカーに対してもやみくもに全力で打つのではなく、空いたスペースに落としたり、ネットとブロックの間を狙った軟打を多用する。
ブロック、スパイク、レシーブといった1つ1つの技術だけで勝負するのではなく、相手のローテーションに合わせてどんな攻撃が有効で、守備はブロックとレシーブがどこにいれば上がるのかを的確に分析する。データを収集し、中心になるのはアナリストの中山瑛太郎(3年)だが、人任せにするのではなく全員が考え、何が最適かを導き出してきた。
同じ進学校の高高とはいえ、「自分の頃とは全く違う」と砂川監督は笑いながら明かす。
「自分たちももちろん考えてプレーしていましたが、今の子たちはもっと論理的。相手のほうがポテンシャルもあるからこそ、どうしたらいいかをより突き詰めて考える。一度言ったらすぐ理解して、吸収してくれる子たちなので、こちらが言うことだけでなく、自分たちで考えて動けるから、対戦相手が昨夜(5日の予選リーグ終了後)決まっても、短時間であれだけの対応ができる。それも彼らの素晴らしいところです」
頭で理解するだけでなく、動きにどうつなげるか。かつては強い相手に対しても同じように、自分たちも強打で攻めるスタイルを取ってきたが、ポテンシャルに違いがあれば、当然能力で勝るチームが勝つ確率のほうが高くなる。その中で自分たちの武器は何か。『強者のバレー』ではなく、自分たちの強さを発揮するために重ねて来た練習の成果を、兒玉主将が明かす。
兒玉慶主将(高崎高校)
「毎回、練習のアップでアタックラインより前に3人ずつが入る3対3をしてきました。意識するのはネット際での1本目の質と、2枚ブロックがついている時のリバウンドの取り方や、フロントゾーンのフェイントを置く位置。それも右手で落とすのか、左手にするのか。手の角度はどうするか。細かいことを積み重ねて、実践する。最初は練習試合でもうまくいかないことが多かったんですけど、どんどんチャレンジする中でできあがって、今日(6日の小松大谷と)の試合でもいい形で出すことができました」
とはいえ毎日の練習は決して長くない。月曜を除く週6日、平日は授業を終えた後、16時頃から18時半までの約2時間半。進学校だけに、部員の多くが国公立大学の受験を希望していることもあり、模試や補習も多く、テスト期間に限らず部活だけでなく勉強もするのは日常のことだと明かすのは、セッターの吉川楓人(3年)だ。
「勉強するための時間を特別設けなくても、移動中に単語帳を見たり、スマホのアプリを使って勉強することはできる。仲間同士で問題を出し合ったり、普段からそれが当たり前で、僕たちの中では日常の習慣なので、今できることをする。そういう感覚かもしれないです」
インターハイ期間中も、データを見たり、コンディションを整えるために時間を割くだけでなく、勉強する選手もいた。大会直前の合宿でも、宿泊先の消灯時間が定められていたため、選手から思わぬ要望が上がった、と砂川監督は苦笑いを浮かべる。
「『先生すみません、勉強したいので消灯時間をあと1時間延ばしてもらえませんか?』って(笑)。インターハイに出場する公立高校も少ない中、勉強もしっかりする。無茶な挑戦かもしれないですけど、全国でも勝ち上がり、国公立も受験して合格する。そんな道を切り開くことができたら、全国でも類を見ない、唯一無二のチームになれると思うんです」
兒玉主将と吉川、オポジットの新井蓮(3年)は1年時からレギュラーとして試合に出場する機会をつかみ、「全国での1勝」を目標に勉強とバレーボール、どちらも両立して高校最後の夏を迎え、同校初のインターハイでの全国2勝を達成した。
高崎は2回戦に勝ち、初のベスト16進出
兒玉主将は卒業後も大学でバレーボールを続けたいと希望しているが、吉川は「受験を考えると迷いもある」と言うように、このチームにとっては春高ではなく、まずインターハイがまさに3年間の『集大成』でもある。
だからこそ、1つでも多く、1日でも長く戦うために。吉川が言った。
「どこまで行けるかわからないですけど、まずはみんなで楽しく、最後までチャレンジャーとして戦いたいです」
まずはその前に、次の試合へ向けて全力で策を練り、全員で遂行する。それこそが『高高らしさ』の真骨頂であるはずだ。
文/写真:田中夕子
田中 夕子
神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、月刊トレーニングジャーナル編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。WEB媒体、スポーツ専門誌を中心に寄稿し、著書に「日本男子バレー 勇者たちの奇跡」(文藝春秋)、「高校バレーは頭脳が9割」(日本文化出版)。「夢を泳ぐ」「頂を目指して」(徳間書店)、「絆があれば何度でもやり直せる」、凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること」(カンゼン)など、指導者、アスリートの著書では構成を担当
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