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それは船木和喜選手(デサント→FITスキー)、原田雅彦さん(雪印メグミルク総監督・全日本スキー連盟副会長)、斉藤浩哉さん(雪印メグミルク)、岡部孝信さん(雪印メグミルク監督)、現役まっただ中のリアル・レジェンド葛西紀明選手(土屋ホーム)、宮平秀治さん(全日本チーム前ヘッドコーチ)らが、それこそ表彰台の常連で最強の日本代表を形成していた。
ときに表彰台に日の丸が3本立ち昇り、誇らしくてたまらなくなり、それは華々しく頼もしかった。表彰式でのドイツ国楽隊は、ややアップテンポながら君が代を丁寧に奏で、ドイツの観衆は整然と拍手を送ってくれた。あのときの船木選手のクールな眼差しと「勝って当たり前でしょう」と言いたげにちらりと見せたニヒルな笑顔が本当に格好よかった。
それから徐々に戦力がダウンしていき、ついに現実として2本目に日本選手が残られない惨状となった。これは最終戦のナイトゲームで、いつもの荒れる観衆であふれかえるビショフスホーフェン。なんと1本目30位以内にひとりも日本選手がいなくなったのだ。
なぜだとその様子を伺いたく、取材にはならずとも勝手に憤慨しながらシングルリフトに乗り、チームキャビン近くまで昇った。そこにはコーチとチーム通訳の人が、軽口を言ったりしながらのんびりと煙草をふかしていた。
そこに危機感は全然なく、声をかけるのさえあきらめてサッツ横を通り抜けようとしたら、2本目が始まる前に、宿舎へ帰るシャトルバスに選手達に『ほら、早く乗りなさい、帰るよ』と言い放つ往時の岡部孝信選手と目が合う。約10mの至近距離で3秒くらい見つめ合った。『俺が、若い選手らを守る!』との気概が伝わり。いや、もはや取材すらする気持ちはとうに失せており、目礼を交わしサッツ横の階段をゆっくりと下りた。
現在は選手から慕われ、加えて好ましい話がたくさんでき笑い合える岡部監督は良い指導者であるのだが、あの時は違った。
帰りがけ、駅近くの小学校に設けられたプレスセンターの売店で出されるグラシュスープは普段は相当に美味なのだが、もう許しがたいほどにまずくて、どうしようもなかった。
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