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スキー コラム 2020年4月7日

『われらがアキト個人総合9位』

ウィンタースポーツコラム by 岩瀬 孝文
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後半戦にしてようやく、満を持してエース渡部暁斗(北野建設)が名門のラハティW杯で今シーズン初優勝を遂げた。後続有力選手の追いすがりをはねのける王道の走りだった。アキトはラハティの勢いをそのままに、得意とする次のオスロ・ホルメンコーレンW杯で打倒ノルウェー勢をめざした。
その前後にはノルディック複合W杯最終戦が予定されていたショーナッハ(ドイツ)が雪不足のために中止となっていた。
そのためホルメンコーレン大会(ノルウェー)が急遽、W杯の最終戦になってしまってたのである。

「はなから試行錯誤のシーズンでした。もともと今季は身体を作り直す計画にありました。まずはクロスカントリーをより速くすることを考えていて、もちろんジャンプも遠くへ飛ぼうとしてのパワーづくりを兼ねてでした」
いつも実直な面持ちで、記者会見では丁寧に応える英語堪能な渡部暁斗であった。

今シーズン圧巻だったのはジャンプで首位に立った3月のラハティW杯。
いつもながら荒れて風が難しいラージヒルで、みるみるうちに飛距離を伸ばして、トップでクロスカントリースキーに入った。
そうなると日本チームの外国人ワックスマンのふたりはここぞとばかりに熱くなり、抜群に滑るスキーを仕立て上げた。
それはもう鬼に金棒。レースの酸いも甘いも知る渡部はベテラン選手特有の抜群の駆け引きで試合をメイクしていった。

そこでは後続のオフテブロ(ノルウェー)にすぐにランで追い付かせて、そこから緻密なまでにスパートと流しを折り交ぜながら、後ろから迫るランの強者グラーバク(ノルウェー)やガイガー(ドイツ)らの追い込みを許さず、しっかりと逃げ切っての今シーズン初優勝を遂げたのだ。
後半戦にしてようやく、ノルディック複合の雄アキトここにあり!をしっかりと世界に見せつけた。

3月上旬にはオフとなり日本に帰国してからは、長野でしばらく休養の時期にあて、たまに弟の善斗らと白馬の山々に昇ってテレマークスキーなどに興じ、シーズンの疲れを癒していた。
その彼のクレバーな頭脳は、つねに先にある自分を想定して、そこから逆算の上でのトレーニングと補強練習そしてメンタル強化、記者会見のインタビュー質問に対して、にこやかに応じる英語のブラッシュアップにいそしんでいた。
そういうなかなかの賢人ぶり、さらにはその人柄の良さもあり、ヨーロッパにおける人気もひとしおである。

ウイルスが蔓延して世界の情勢が厳しくなったいま、来シーズンのことなどはまだ何も語ることはできないが、アキトはただおのずの使命と希望を持って邁進を続けている。

海外有力選手では国別対抗優勝を遂げた最強チームのノルウェー、底力があるドイツ、伝統のオーストリア、若手が伸び始めたフィンランド、そしてまとまりある日本の上位争いと競い合いがしばしばみられた。

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