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スキー コラム 2020年2月7日

日本がめざす2トップ

鳥人たちの賛歌 W杯スキージャンプ by 岩瀬 孝文
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まだ雪が少なかった北海道札幌市に、W杯の最前線で活躍する有力選手がほとんどやってきた。 ドイツの一押しガイガー(ドイツ)、今季ジャンプ週間覇者のクバツキ(ポーランド)、低く鋭く伸びていくクラフト(オーストリア)、そして連覇を目指す小林陵侑(土屋ホーム)と激しく首位争いを演ずる個性派の選手たちだ。

大会前日に記者会見に臨んだガイガー(左)、小林陵侑(中央)、佐藤幸椰(右)


その札幌W杯で連日、宮平ジャパンは表彰台を飾った。
初日のナイトゲームでは礼儀礼節がありコメントもじつにしっかりとしている佐藤幸椰(雪印メグミルク)が2本目に、荒れる風を切り裂いて飛距離を伸ばし優勝。翌日、日曜には小林陵が3位となった。

今季、通算ともに2勝目を挙げた佐藤幸椰(中央)今季初勝利をあげるなど飛躍のシーズンとなっている。


「スキーをしっかりと踏めることなど、それぞれにまだ手を入れる部分はあるが、とくに恵まれない風のなかで飛んでいく選手にはストレスがたまったことだと思う。そこでふてることなどなく、そういった難しさあふれる諸条件を確実にクリアしていくのが大切だ」
と語るのが、温和であり選手との対話を入念に施す宮平秀治ヘッドコーチである。
いよいよチームJPNにはまとまりがでてきた。
宮平ジャパンのメンバーはひとときの帰国と2試合を戦い、それから幾ばくかの安らぎを経た後、W杯の欧州へと再び旅立った。

すぐの土日には、オーバー150m超の巨大な台として有名なビリンゲン(ドイツ)、さらには伝統あるフライングジャンプのクルム・バドミッテンドルフ(オーストリア)という盛り上がる一戦が控えている。

雪不足でどうやら風の具合が、またあやしくなりそうなビリンゲンでは地元出身のライエ(ドイツ)の表彰台が切に望まれ、またFHクルムではついにイエロービブを手に入れたクラフト(オーストリア)の圧勝が期待される。 小柄な勇者クラフトは前年の札幌W杯で連勝したときと比べ、さらにテクニックを昇華させているのがよく見てとれた。
「難しさがあり安定しない風といわれる大倉山でしたけど、なんとか風に乗ってしまえばイケますよ。いつもながらここは好きなシャンツェですね」
クラフトは微笑みを絶やさずにそう語った。

現在僅差でランキング1位のクラフト。小林陵侑から王座奪還なるか。

札幌大倉山ラージヒルが得意で予想通りにあっさりと勝利し、あたり一面に笑顔を振りまいてやまないクラフトには日本人ファンがたくさんいる。

日本選手では、過去にビリンゲンとクルムで優勝している葛西紀明(土屋ホーム)に今季の出場がみられないのが残念である。が、そこは実力の世界、本人は気持ちを切り替えて国内の試合を回り、再度の浮上を狙っている。
札幌大会、前日練習で手ごたえを感じていた葛西紀明だったが予選55位。再度W杯メンバー入りをかけ巻き返しを図る。

ほかの日本チームでは大器の予感があり、およそ3年の月日をかけて育成された佐藤慧一(雪印メグミルク)が自己最高12位を記録して、それはもう伸び盛りそのもの、意気揚々とヨーロッパへ渡っていった。

今シーズン中盤から後半にかけて、ポーランドチームは盛大な観客が大声援を送り、そのなかで英雄ストッフが優勝。観客が歓声に沸いた地元のザコパネを経て疲労困憊モードにあったクバツキ、ジラ、ストッフは、この2月から3月にかけての欧州での戦いは心を落ち着かせて臨むことができるため、上昇が見込まれる。
またヨハンソンやフォルファン、タンデ、新鋭のリンビクなど有力選手が揃うノルウェーは3月のロウエア(RAW AIR)までパワーを温存するプランか。いわばマイペースな調整とまずまずのジャンプで札幌の2試合を無難におさめていたようでもある。
そして嬉しいことに絶対的王者として世界に君臨したシュリレンツアウナー(オーストリア)も30歳を超えて来日、懐かしそうに気張って飛んでいた。 また団体戦ではしばしば上位入りするスロベニアはベテランのプレフツに加えてザイチとラニセクらの若手が今後うまくかみ合ってくることであろう。
日本チームはW杯個人総合優勝者の小林陵と今季W杯2勝の佐藤幸を2トップに据えて、その各人の個性を生かしつつ様々な育成とチーム強化の戦略がみられる。 願うことなら、国別対抗において2000年前後におけるあの偉大な時代の輝きを再び、表彰台の中央に大人数で昇り歓喜に包まれるシーンを観たいものだ。
今季3勝ながら、ここ10戦は優勝から遠ざかっている現在ランキング4位の小林陵侑。連覇を目指し後半戦に巻き返しを期す。


文:岩瀬 孝文

岩瀬 孝文

ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。

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