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スキー コラム 2017年3月17日

北欧シリーズ遥かなるビケルスン スキージャンプFIS ワールドカップ 16/17 ビケルスン大会プレビュー

鳥人たちの賛歌 W杯スキージャンプ by 岩瀬 孝文
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葛西紀明

ゆっくりと落とされていった葛西紀明(土屋ホーム)には悔しさがうかがえた

名門ジャンプスタジアムのオスロ・ホルメンコーレン(ノルウェー)が終われば、そこからバスで北上してリレハンメルへと連戦の旅になる。
そこはバスでおよそ3時間、かつてのオリンピック開催地とはいえ小ぶりな街だ。
ジャンプ台へは20分くらいゆっくりと歩いて上がる丘の中腹にある。

今季から新たにメイクされたW杯終盤戦、北欧ノルウェーシリーズ『RAW AIR』はオスロ~リレハンメル~トロンハイム~ビケルスンFHと団体戦2試合に個人戦4試合そして各予選を含めた16本の結果でシリーズ優勝者を決めるというもの。
それも初回とあり、ジャンプファンにどことなくなじみが薄いのと、選手や運営にいささかの慣れの時間が必要と言われている。連日のジャンプに移動の連続で体力的にも精神面でも疲労困憊であると。とくにオスロからリレハンメル(約3時間)やそのリレハンメルから北極海に面したトロンハイムへのバス移動(約5時間)は各国の選手達におおきな負担をかけていた。
ところが肝心のリレハンメルW杯は強風のために中止になってしまった。もう3月になり気温の上昇でそろそろ雪がなくなってくる時期、そうするとノルウェーの風はときに霧を呼び強風が吹きすさぶ状況にもなる。これはトロンハイムも一緒でノルディック複合W杯は飛べずにPCR(予備ジャンプ)からの試合になっていた。

伊東大貴

終盤戦に合わせるかのように調子の波をあげてきた伊東大貴(雪印メグミルク)

タンデ

ノルウェーRAW AIRシリーズとなればW杯上位のタンデに期待が寄せられる

ここにきて尻上がりに伊東大貴(雪印メグミルク)が好調の域に入り、ホルメンコーレンでは僅か0.6ポイント差で第4位! 表彰台まであと一息まで昇ってきていた。しかもあのレジェンド葛西紀明(土屋ホーム)も1本目22位からジャンプアップの13位とすこぶる好ましい位置につけて先に希望を見出した。
そして自己鍛錬で絶好調まで持ってきたクールガイ大貴は、昔から得意にしていたトロンハイムのLHシャンツェへと意気揚々と乗り込んだ。

その北の港湾都市トロンハイムでジャンプしてから、飛行機で一気に南下。そしてオスロ市から大型バスにてクロカンスキースプリントW杯の開催で名高いドランメン市を通り抜け、3時間余りをかけて、世界に誇る驚異のフライング台ビケルスンへとやってくる。

こうなると地元の台で飛び慣れているノルウェー選手たちは俄然、熱くなる。それとともにバイキング気質旺盛なビッグジャンプが観られる。
ここでは長距離ジャンパーのタンデ、フォルファン、ファンネメル、スティヤネンらにノルウェー大観衆の期待と注目が集まる。

グレゴア・シュリーレンツアウナー

W杯54勝の記録を持つグレゴア・シュリーレンツアウナー(オーストリア)

オーストリア

勇者クラフトを筆頭にチーム力があり選手たちのまとまりも良いオーストリア

海外勢では、他の選手を一歩リードしているのがオーストリアの明るい好青年クラフト、それを見守りつつ安定のフライトをみせる同僚のハインバックが心地よいバックアップをみせている。そこに“マリシュ”ポーランドではW杯中盤戦まで個人総合首位を守っていたストッフに世界選手権のラージヒル銅メダル獲得で自信を深めたジラと平昌W杯で表彰台に立ったコットが続いてくる。
また強豪のドイツではヴェリンガーとアイゼンビヒラーの2トップが上位に定着しながら来季のフロイントの復帰を待つ。
ここにきても低迷のままのスロベニア、さらにじっくりと飛び続ける日本。ともにチームとしては前年にみられた爆発力に欠けた印象。それもマテリアルによるものが起因とみられ、いましばらく我慢のしどころ。

ラハティ世界選手権では懐かしい顔ぶれに出会った。 元フィンランドヘッドコーチの名将ハンヌ・レピストやいまや五輪チームの重鎮ミカ・コヨンコスキ、若手指導者のヤニ・クリンガ、あるいはクロカンスキーの英雄ハリ・キルビスニエミ(YOKO)と、オリンピック金メダリストでトニ・ニエミネンやノルディック複合のヤリ・マンティラなどだった。それこそ往年の名選手が健やかな表情でそこに立っていた。
また、試合前に、リフト乗り場近くのステップに腰を下ろしていたら、スイスチームのデサントウエアを着たアンドレアス・クッテルから『元気かい』と声をかけられた。久々に会う彼はいくらかぽっちゃりとしていて微笑ましく思えた。今回はユーロスポーツのジャンプ解説者としてきていた。
そのスイスは2026年のシオン冬季五輪の招致活動も始まったという、いよいよ2006年にトリノに敗れた悔しさを一気に晴らしたいところ。ここは札幌と競うことになりそうだ。そのシオンはDHコースのフィニッシュエリアからやや西方向へと昇りそこにLHとNHスタジアムが建設される、かつてそんな完成された見事な計画図を見たことがある。それはもう観客にとってじつに観やすく楽しいロケーションにあった。

さて、ビケルスンでのロングフライトをうららかに眺め、いよいよスロベニア・プラニツァのフライングが今季ラストシリーズ、好きな選手たちにとことん夢を乗せていきたい。

岩瀬 孝文

ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。

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