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スポーツとジェンダーの問題 | 町田樹のスポーツアカデミア 【Dialogue:研究者、スポーツを斬る】 ~ポスト・スポーツの先を見据えて~
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部スポーツとジェンダーの問題
2021年に国際オリンピック委員会はスポーツ界の中で公平性、非差別、多様性を獲得していくためのフレームワークを提示。スポーツ競技会においてこれまで通りジェンダーをコントロールしていくか。それともジェンダーカテゴリーを撤廃するか。この対局にある考え方のどちらを取るべきなのかを議論してほしいという声明を出しました。
M:これを建設的に議論するためには何が必要でしょうか。どういう議論をしたらいいんでしょうか。
Y:今、スタートポイントにようやく立っているところだと思います。150年から200年かけて当たり前なものにしてきたのが、このジェンダー二言論。しかもそれがスポーツの中で可視化されてきたわけですよ。こういう体つきが男性的だよね。こういう体つきや、こういう身振りが女性的だよね。そのカテゴリーが当たり前だって思えるように200年やってきたものを、「はい、明日から」というわけにはいかなくて、すごく時間がかかると思うんですよ。そういう意味でも、ジェンダーをこれからどう考えていくのかというのが、ようやく議論の訴状に上ったというのかな。いきなりは変えられないけれど、長く作ってきた、この当たり前を少しずつ変えていくための議論の入り口を、私たちは作っていかなきゃいけないのかなと思いますね。
M:実は我が領域であるフィギュアスケート界もそこに取り組んでいて、カナダのスケート連盟はペアとダンス、つまり男女が組みになって行うカップル競技と言われている領域なんですが、そこのジェンダーコントロールをやめようということをやりはじめたんですね。まず、2019年に競技会ではなくて、初心者や大人の趣味でやっているスケーターの方々の規定を変えて「どんな性別、ジェンダーの組み合わせでもペアやダンスできますよ」ということにしたんですね。そして、2022年12月からそれを競技会にも適用して、カナダの国内試合ではどんなジェンダーのカップリングでも競技に参加できるということをしているんです。ジェンダーコントロールを撤廃したフィギュアスケート競技というものが出てきはじめていて、まさにカナダが実験しているわけですよね。これも面白いムーブメントとして私は追っているんですが、そういう形で先生が言う近代スポーツが長く支配的であったスポーツ界と近代スポーツの価値観は通用しなくなってきている現代。来るべき新しいスポーツの時代、これを橋渡しする。その移行期間を「ポスト・スポーツ」という概念を当てはめているわけですが、この「ポスト・スポーツの時代」において、私たち研究者はどうあるべきでしょうか。
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