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フィギュア スケート コラム 2023年7月27日

スポーツ界に訪れた転換期 | 町田樹のスポーツアカデミア 【Dialogue:研究者、スポーツを斬る】 ~ポスト・スポーツの先を見据えて~

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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そのように、本来、近代スポーツが誕生した時に、この人たちのことを「アスリートって呼ぶんだよ」と設定されたものとは違う、つまり、そこに入れてもらえなかった人たちが、私たちもスポーツをもっともっと平等な条件でやらせてほしい。平等な社会環境でやらせてほしい。そんな主張が今、出てきている。SNSという新しいメディア空間の中で共有されて、流通していく。そういう時代に、アスリートたちが競技者だけではなくて、もっと社会を変えていく。非常に重要な立ち位置を取るようになってきて、私の場合はそんな彼らの出現をソーシャルアスリートという言葉を与えています。アスリートは社会を変えていく力を持っている。このソーシャルアスリートの出現というのが二つ目の観点になりますね。

イコール・ペイ運動

イコール・ペイ運動

M:なるほど。一つ目がこの生身の身体という大前提が転換しつつあるということ。そして二つ目は、近代スポーツが当たり前としてきたような価値観が変化してきている。あるいはそれを変えようとアスリートたちが動きはじめているというムーブメントということですよね。その一つひとつをもう少し深く追ってみたいのですが、まず、一つ目の観点です。生身の身体。今は例えばテクノロジーだとか、あるいは道具の問題もありますよね。マラソン選手のシューズの問題もあったり、水泳選手であれば水着の問題がだいぶ前ですけれどもあったりしたように、テクノロジーと身体の接続というのもあります。あるいは情報と身体の接続。今はAIとか情報・テクノロジーの革新、データ・テクノロジーの革新というのがあって、その波というのもスポーツ界に押し寄せてきています。先生はそのテクノロジー、あるいはデータ革命とスポーツ、これをどのようにお考えでしょうか。

Y:そうですね。例えば、理想とされるフォームがあります。そのフォームは、教えてくれるコーチや指導者が理想とするフォームに向けて指導をしてくださって、それに向けて選手たちが練習をして身につけていく。そういうふうに、これまではスポーツの身体って構成されてきていたと思うのですが、本当にこの十数年、そこが急激に変わりはじめています。あらゆる体の動きに対して指導者が言う「こういう型がいいよ」「こういうフォームがいいよ」というのは、今も息づいていると思いますが、それよりもさらに優位な客観的素材として出てきているのがデータですよね。スポーツのデータ革命ってよく言われますけど、これはもう圧倒的に今、スポーツを変えはじめている。例えばNBAだと、2014年と2020年代ではプレースタイルが全く変わっている。3ポイントシュートが圧倒的に増えてきているんですよ。あるデータが示しているんですけど、3ポイントラインのところに、ほとんどそのシュートの起点があって、それからゴール下にシュートの起点があって、だいたい二分化されている。でも2010年代は3ポイントラインにシュートの起点がなくて、もっとミドルレンジ、3ポイントよりももっと前にシュートの起点がたくさんあるんですね。これがもう圧倒的にデータ革命の中で変わっていく。それは何かというと、3ポイントシュートってリスクが高いと思っていたんですよ、人間は。やっぱり遠くから打つから。外すリスクも高いだろう、と。ところがビッグデータはそうは言わなかったんですね。たくさんのデータを解析していくと、3ポイントシュートを積極的に打っていく方が、やっぱりゲームが終わった時の点数が高いというふうにAIは導き出しているわけですよね。そのことによってNBAのバスケットボールのスタイル、試合のスタイルが一気に変わっていく。だから3ポイントがどんどん重要視されていって、そういうゲームの進め方、戦術に急転換していった。これもこの10年ぐらいのでき事。

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