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#8【鼎談】町田樹 × 水鳥寿思さん × 赤平大 ー「AI採点」についてー(3) | 町田樹のスポーツアカデミア 【Forum:フィギュアスケートが求める理想のルール】
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部ルール改正の重み
ルールはパフォーマンスを変えるということですけれども、文化体系さえ変えてしまうという出来事が、これだったわけです。長くフィギュアスケートというのは、氷上に図形を描いて、その図形の正確性を競ってきました。だからこそこの競技は、フィギュアスケート=図形を描くスケートと呼ばれてきたわけです。ですが、1990年にその語意を象徴する競技形態を廃止してしまいました。このときにフィギュアスケートのアイデンティティであるコンパルソリーフィギュアを廃止することに対して、多くの批判的な声も出されたそうです。賛成派、反対派でかなり論争が巻き起こって、それを経て、コンパルソリーフィギュアは廃止されてしまったのです。ですから、ルールはやはり文化としてのあり方。形を変質させてしまうので、慎重に行うべきだというお声をいただいたんですよね。それから、例えば2014年にボーカル入りの曲を解禁しました。
ルール改正の効果を検証する必要性
選曲の幅が一気に広がるだろうと見込まれていたわけです。しかし、蓋を開けてみると今、8年くらい経ちましたが、必ずしも選曲の幅が広がっているわけではないんですよね。クラシックの音楽の使用率がぐんと減り、ポップスやR&B。ヒップホップなど、いろいろなコンテンポラリーなミュージックが取り入れてきたわけですけれども、ポップスはポップスでも同じような曲、同じ歌手の同じ楽曲が使われたりというダブリがあるわけですよね。だから、必ずしも選曲の幅が広がっているわけではないということですよね。
そして、佐藤信夫先生、久美子先生はいろいろな振付師とコラボレーションしているわけですけれど、多くの振付師が、現行のISUジャッジングシステムはやらなければいけないことがたくさんありすぎて、創作の余地がないと言及されている方も多くいらっしゃるそうです。演技を創作する人たちの声ということも、やはり重みがあると思います。
このことから言えるのは、ルール改正をしていくことは大事ですけれども、改正したことによって得られたメリット・効果が果たして意図した通りのものだったのか。改正して良かったのかどうかということを後から検証することが必要です。けれども、なかなかなされてこなかった。それに関しても、クリティカルな見解は述べられておりました
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