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フィギュア スケート コラム 2018年5月2日

田村岳斗コーチ インタビュー 特別編

フィギュアスケートーーク by J SPORTS 編集部
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※写真と本文は関係ありません

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― 20年ぶりのオリンピックはどうでしたか?

田村 記憶も薄れていますし、開催地も立場も20年前とは違ったので新鮮でした。こんな風だったのかなという感じでした。 1992年伊藤みどりさん、2006年荒川静香さん、2010年浅田真央さん、橋大輔さん、2014年羽生結弦選手、すべてテレビ観戦でした。今回の羽生結弦選手、宇野昌磨選手の滑りも移動中のため空港のテレビで観戦していました。20年前は他の競技を観戦できなかったので、よく考えたら日本のアスリートがオリンピックでメダルを獲得するところを会場で観た事がありませんでした。今回、フィギュアの試合の合間に、スピードスケートの女子500mのレースを観戦する事ができて、応援で喉が痛くなりました(笑)。全ての競技を通じて小平奈緒選手が僕にとってのオリンピック初メダル、それも金メダル、本当にうれしかったです。小平選手のレース後の対応も含めファンの皆さんと同様の喜びを体験することができました。

― それでは男子に話を移します。17-18シーズンを終えて、改めて男子はどのようなシーズンでしたか?

田村 羽生選手がオリンピック連覇を成し遂げましたが、フィギュアスケートの歴史を見ても、66年ぶりのことと聞いて、それを達成したのが日本のスケーターということが、同じ日本人として本当に誇らしく思いました。戦いの内容を見ても、2014年のソチの時は、ショート、フリー合わせて3回の4回転に挑戦して決まったのは2回でした。4年後の今回は、6回挑戦して5回成功。種類は同じトウループとサルコウですが、その数が倍以上になっていました。難易度を下げてもこれだけのジャンプ構成、それがこの4年間の彼の進化です。 ただ、そんな羽生選手も、けがの影響もあり今回、金メダルを獲るまでにはそんなに簡単ではなかったと思います。それだけ他の選手も含めて男子選手のジャンプレベルが一気に上がった4年間でした。そのきっかけを作ったのは、中国のボーヤン·ジン選手の4回転ルッツの成功だったのでは?それまでもルッツを跳ぶ選手はいましたが、ボーヤン選手の4回転ルッツはかなりの高確率です。対抗して4回転の種類を増やす選手が他にも出てきました。そこから5種類の4回転を跳ぶところまで人類が進化するという、そのスピードもすごかった4年間でした。

男子シングルの4年間は進化が著しかった

男子シングルの4年間は進化が著しかった

― 平昌オリンピックでは、アメリカのネイサン·チェン選手がショートプログラムでミスが続き、最終組に残ることができませんでした。団体戦から個人戦の間で立て直せると期待していたファンも多かったと思います。

田村 ネイサン選手の場合、他の選手より多くの4回転を跳ぶ分、気にしなければいけないことがたくさん出てくるのかなと感じました。他の選手だと、メインのジャンプと、そのあと1つぐらいのエレメンツに注意して、あとはなんとかまとめられると思うのですが、ネイサン選手の場合、4回転4、5種類で5回跳ぶか6回跳ぶかというレベルで全てがメインのジャンプみたいなものです。得点が高い分、気を使うところが多い。短期間でうまく修正しきれなかったのかもしれません。ただ、その後の世界選手権ではその悔しさを晴らすかのように世界チャンピオンの座に着きました。あれだけの実力がある選手でも、ああいうことが起きてしまう。ちょっと前でも、カート·ブラウニングさんは世界チャンピオンに4回もなる、誰もが認める実力者なのに、オリンピックではメダルまで届かなかった。オリンピックは何が起こるかわからない。今回のネイサン選手を見て改めてそう感じました。

オリンピックは何が起こるかわからない

オリンピックは何が起こるかわからない

― 今シーズン、大きな出来事として、カナダのパトリック·チャン選手が引退を発表しましたが、彼の功績はどんなものがありましたか?

田村 彼は、バンクーバーオリンピックの後、世界選手権3連覇を果たした最強のチャンピオンでした。若い選手が出てきても、ここまでずっと高いレベルのスケーティングを見せてくれていました。他の選手たちに対して、ただジャンプを跳ぶだけでなく、スケートの滑る技術の面でも大きな影響を与えたと思います。そして世界チャンピオンの立場でありながら若い選手に挑戦するように4回転の種類を増やしてきた事に驚きました。今のレベルで世界的にみると記録には残らない小さな挑戦だったかもしれないけれど僕の中では「相手の土俵でやってやる。」という意志を感じました。その気持ちがいい結果になったかというとそうではないかもしれない。でもその精神を理解する選手は必ずいて、それを結果に結びつける選手はいずれ出てくる。もう選手ではないけれど少なくとも僕は彼の挑戦に心が揺さぶられました。ブライアン ジュベールさんがどんなコンディションであろうと4回転を跳び続けた時と近い思いです。今まで競技としてやっていた大変さもあったと思いますが、これからはいままで競技ではできなかった面も含めて、がんばって欲しいですね。

― 今後の日本男子について、どのようになっていくと思いますか?

田村 平昌までの4年間、羽生選手と宇野選手の2人が日本男子をリードしてきました。そこに田中刑事選手が経験を積み、さらに世界選手権では友野一希選手がとんでもなく素晴らしい成績を残してくれました。友野選手には申し訳ないのですが、ここまでの活躍は予想していませんでした。今後は彼が次の世代の中心になってやっていくのかなと感じました。他の選手も離されないようにお互いを刺激し合う中で、次の時代が開かれると思います。橋大輔さん、織田信成さん、小塚崇彦さん、町田樹さん、羽生結弦選手。あの時の層の厚さを超える事を願います。そして、それは僕の目標でもあります。

男子シングルの層が厚くなることは自身の目標でもある

男子シングルの層が厚くなることは自身の目標でもある

J SPORTS編集部

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