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フィギュア スケート コラム 2025年2月28日

ハーゼ/ヴォロディン組が欧州選手権初の金メダル「スケートができる喜びを一番大切に」 | ISU欧州フィギュアスケート選手権2025 ペア レビュー

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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ハーゼ/ヴォロディン組

欧州選手権初の金メダルを獲得したハーゼ/ヴォロディン組

大本命の重圧を、今度こそ力強くねじ伏せた。昨年末にGPファイナル2連覇を果たしたミネルヴァ・ファビアン・ハーゼ/ニキタ・ヴォロディン組(ドイツ)が、ショートプログラム、フリースケーティングともに首位に立ち、2025年欧州選手権ペアで初めての金メダルを手に入れた。

「あまり気にしないようにしてはいましたが、心の中はプレッシャーでいっぱいでした。でも今日は、この場にいられる幸せ、スケートができる喜びを、一番大切にしたんです」(ハーゼ)

SP「You Were Mine」では、凄みさえ滲み出すパフォーマンスを実現した。「トップになるために来た」と公言する本人たちとしては、「パーフェクトにこなすべきだったが、決してパーフェクトではなかった(ヴォロディン)」そうだが、時間超過違反の減点1を除けばほぼノーミスの出来。1位71.59点で大会を折り返した。

FSの朝の公式練習で、ハーゼ/ヴォロディン組は、フィジカル面の好調さを改めて確認する。一方で精神面では、特にハーゼは、ひどくナーバスなままだったという。ただFS当日に米国ワシントンで起こった航空機事故のニュースを耳にすると、悲痛な思いを抱くと同時に、心境の変化を覚えた。

「少し視点が変わりました。スケートを楽しみたいと思ったんです。自分が強くなったように感じ、今日は上手く行くと確信しました」(ハーゼ)

重厚かつドラマチックなFS「四季」は、今大会最高得点のツイストで幕を明けた。ところが続くサイド・バイ・サイドの3連続ジャンプで、女性側にミスが出た。今季GPシリーズ2戦で11点以上を稼ぎだしてきた得点源だが、今回は6点しか取れなかった。

「確信が揺らぎました。2位のイタリア組がとても良い演技をしていたからです。それでも集中力を切らさず、最後までやり遂げました」(ハーゼ)

2023年秋の結成1戦目で2位に入り、次戦からは6戦連勝というハーゼ/ヴォロディン組の快進撃が止まったのが、1年前の欧州選手権だった。SPを2位で終えながらも、FSでは「プレッシャーのせいで」ミスを連発。トータル5位に後退した。……その2ヶ月後の世界選手権で、逆転の銅メダルに歓喜した2人は、もう2度と悪夢を繰り返さなかった。

「どこで挽回できるか、自分たちに何ができるかを考えました。続くジャンプを上手くこなすと、力みも取れて、残りをしっかりまとめることができました」(ヴォロディン)

同組としては珍しく、リフトの1つでレベルを3に落としたが、2つのスロージャンプはいずれも完璧に着氷。高いGOEを積み重ねた。凛として戦い抜き、着実に、FS得点140.89点へと到達した。今季ここまで安定して140点超えを繰り返してきたハーゼ/ヴォロディン組にふさわしく、今大会でも参加者唯一の140点超え。FSだけなら今季無敵の6連勝で、合計では212.48点と、2位以下には5.59点差をつけた。

ハーゼ/ヴォロディン組は、結成2年で、ヨーロッパの頂点へと上り詰めた。2人にとって生まれて初めてのISUチャンピオンシップタイトル。所属国ドイツには、全種目を通じて、2011年アリオナ・サフチェンコ/ロビン・ゾルコーヴィ組以来となる欧州金をもたらした。

「このようなビッグネームの後に続けるのは嬉しいことです。つまりドイツの歴史に、私たちの足跡が残るという意味ですから。特別な瞬間です」(ハーゼ)

2年前、イタリアのペアとして、史上初の欧州選手権制覇を達成しサラ・コンティ/ニッコロ・マチー組は、2年ぶりに欧州表彰台の上で笑顔を見せた。

「この銀メダルは、僕たちにとっては、金に値します。昨季は競技人生において最悪のシーズンでした。だから今回は、結果にはこだわらず、ひたすら2年前のようなスケートをしようと心がけました。互いに結びつき、相手をしっかり見ながら」(マチー)

欧州選でまさかの6位、世界選はSP3位で折り返しながらも、FSで大きく崩れ総合6位と、昨季後半戦は苦しい戦いを強いられた。「関係性の変化」……恋人関係の解消が競技面に影響した部分も大きかったと、マチーは認める。

親友として、競技のパートナーとして、改めて関係性を見つめ直したというコンティ/マチー組は、「今大会で本当の意味での結びつきを、もう一度取り戻すことができた」(コンティ)。SPではマチーが「サラは炎」と選んだ「カルメン」を、FSではコンティの亡き父に捧げるFS「Papa, Can You Hear Me?」を、情感たっぷりに演じきった。高身長の2人だからこそ可能なダイナミックで勇壮な表現力と、なにより見事なユニゾンとで、特に演技構成点で高い評価を受けた。

「私たちはベストを尽くしましたし、そのベストを尽くす姿を披露できたことが、嬉しいんです。自分たちのことが心から誇らしいです」(コンティ)

欧州表彰台に返り咲けたことはもちろん、総合206.86点と、2年前の欧州優勝時より11点以上も得点を伸ばせたこともまた、コンティ/マチー組にとっては「とてつもない達成」(マチー)だった。

上から3番目の段には、アナスタシア・メテルキナ/ルカ・ベルラワ組(ジョージア)が飛び乗った。1年前のユーロでは、SP1位と好発進しながらも、FS5位で総合2位という苦い思いを味わった。今回はSP9位からの、とてつもない大ジャンプをやってのけた。

昨季ジュニアではSP・FS・合計点すべて「1」を並べたが、シニアに完全転向した今季、19歳と22歳の2人は、いまだ成績が安定させられていない。今回もGPファイナル3位の好調さを受けて、優勝候補の一角に上げられていた。

ところがSPで手痛い失敗。デススパイラルがノーバリュー0点と判定された。ベルラワ本人によれば男性側のミスで、回転中に軸足のつま先を動かしてしまったせいだという。得点は約2ヶ月前に出したパーソナルベストを約15点も下回り、SP9位に沈んだ。

演技直後は絶望したが、夜に冷静さを取り戻した。得点表を見直し、3位ハンガリー組までの得点差が8.75点であることを確認し、「逆転3位なら可能かもしれない」(ベルラワ)と思い直したという。FS当日にワシントン航空機事故の一報を聞き、「あれほどの悲劇に比べたら、僕らの失敗なんて、悲劇などではない」(ベルラワ)とも悟った。

「とても難しい状況でした。でも僕らの持てるすべてを引き出し、ほぼ最高に近い演技を実現しました」(ベルラワ)

FSでミスと呼べるのは、ソロジャンプでの女性側のステップアウトのみ。後はリフトで1つレベルを取りこぼしただけ。3連続ジャンプも、2本のスローも、完璧に成功させた。今大会参加者の中では唯一、FSでツイストとデススパイラルの両方でレベル4を得た。

第2グループでの滑走から、メテルキナ/ベルラワ組が一気に6人をごぼう抜きしたせいで、マリア・パヴァロワ/アレクセイ・スヴィアチェンコ組(ハンガリー)はSP3位からの4位後退を余儀なくされた。昨季GPファイナル4位、欧州選4位、世界選4位ときて、今季またしても欧州選4位。FSでのスロー転倒が響き、わずか0.44点差で初めての表彰台乗りを逃した。

アナスタジア・ヴァイパン・ロウ/ルーク・ディグビー(イギリス)もSP4位から一つ順位を下げることになったが、総合5位は……英国ペアとしては1989年以来の高順位。来季ユーロのイギリス開催に向け弾みがついた。しかも今季SPで3回、FSで2回、合計点で3回も自己ベストを更新してきた伸び盛りは、今大会でもFSと合計点とで塗り替えた。

また欧州表彰台経験者のレベッカ・ギラルディ/フィリッポ・アンブロジーニ組(イタリア)とアニタ・ホッケ/ロバート・クンケル組(ドイツ)は、それぞれ6位と8位で終了。両組とも今季は怪我に悩まされ、特にホッケは足の故障で昨晩秋から年明けまで氷上練習ができなかったからこそ、完全な調子で3月の世界選を迎えられるよう期待したい。

文:J SPORTS編集部

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