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【ハイライト動画あり】ラグビーの素晴らしさ伝えた大激戦!84分の“衝撃”逆転トライで幕切れ「東京サントリーサンゴリアス×リコーブラックラムズ東京」!ジャパンラグビーリーグワン2025-26プレーオフ準々決勝①
ラグビーレポート by 多羅 正崇J SPORTS オンデマンド番組情報
チーム初のプレーオフ進出を掴んだブラックラムズ(リーグ戦5位)だったが、機先を制したのはプレーオフ常連のサンゴリアス(リーグ戦4位)だった。
「今週は最初の10分にこだわって準備してきました。(序盤から)自分たちの準備していたプランを遂行できました」(サンゴリアス、SH流大)
前半3分。ラインアウト起点の展開攻撃からNO8テビタ・タタフが一番槍でゲイン。SOケイレブ・トラスクのロングパスを右隅で受けたのは、試合後に今季限りでの退団が発表されたWTBチェスリン・コルビ。
先制トライを奪い、さらに前半8分にWTB尾崎泰雅、同14分にPR竹内柊平と3連続トライ。17-0と大きくリードした。
「スタートから大きなプレッシャーを感じました。サンゴリアスさんはチームのバランスが良いですし、よくコーチングされていると感じました」(ブラックラムズ、マットソンHC)
ブラックラムズが前半苦戦した理由の一つは、SH流らゲームメイカーの的確なエリアマネジメント。相手のバックスリーにプレッシャーのかかる好キックを連発し、効果的にエリアを進めた。ブラックラムズはセットプレーでのミス、ハンドリングエラーも響いた。
ここでチーム(ブラックラムズ)を落ち着かせる一本を奪ったのはキャプテンだった。
前半26分。ようやく敵陣に入ったブラックラムズは鬱憤を晴らすようにFLフィリックス・カラプがゲインを切る。最後はラックの近接戦で「9人目のFW」TJペレナラ主将がピックでねじ込み、チーム初トライ。7点を返した。(7-17)
その後お互いにペナルティゴールを決め合い、サンゴリアスが前半終了前に1トライを追加。ホスト・サンゴリアスの17点リード(27-10)で後半へ入った。
しかし後半は試合内容が一変した。
劣勢のブラックラムズ。まず後半開始からスクラム猛者のPRパディー・ライアン、ビッグキャリアーのファカタヴァアマトを投入。この2人のゲームチェンジャーの投入が見事に的中した。
「後半は、ブラックラムズさんのボールキャリーとセットピースにモメンタムを持っていかれました」(サンゴリアス、小野晃征HC)
後半開始からボールキャリーで突破口を開いたのが大東大出身のファカタヴァ。もう一つ、セットピースのスクラムで相手にプレッシャーをかけたのがPRライアンだった。
モメンタムを手にしたブラックラムズは怒濤の反撃に出る。
まず後半8分にNO8リアム・ギルがスティールを試み、無理に剥がそうとした相手が反則。敵陣左奥に入ると日本代表キャッパーであるCTB池田が強烈な突進。最後はWTBメイン平がカミソリステップでチーム2本目を奪った。
その後後半14分にサンゴリアスは3点を加え、リードを15点(30-15)に広げたが、ブラックラムズは懸命に追いすがる。
後半16分にはPRライアンらがスクラムのヒットで優勢。スクラム・ペナルティを誘発すると、その後ブラックラムズがSHペレナラ主将のワイドパスからふたたびWTB平がスコア。(30-20)
さらに後半27分、SHペレナラ主将が左隅でトライして雄叫び。サンゴリアスも負けじとペナルティゴールの追加でリードを6点(33-27)に広げる。
だが、ブラックラムズは絶好調のWTB平が中盤からロングゲイン。相手の守備陣を乱すと、左展開から最後は1型糖尿病とも闘うHO大西将史が大歓声を浴びながら殊勲のトライ。これで1点差となった。
「(後半は)プレー以外のところでファイトするところがあったりしました。それが悪いとは言いません。ただポジティブに働くのであればいいですが、(今日は)相手にフラストレーションを溜めて最悪な展開に入ってしまいました」(サンゴリアス、SH流)
ただ決まれば逆転のコンバージョンは外れ、ブラックラムズのビハインドは1点(32-33)のまま。
と、ここでブラックラムズSO中楠一期に会心のプレーが飛び出す。
74分45秒。サンゴリアスがスクラムから右展開。ここでFWユニットの後方パスを読み切っていたブラックラムズSO中楠が狙い通りのインターセプト。
その後の敵陣ラインアウトで、SHペレナラ主将の冷静な判断でペナルティを誘うと、そのSO中楠が逆転のPGを狙う――。ここで見事に沈め、ついに勝ち越し。
後半4連続トライとPGで、ブラックラムズがこの日初めてリードを奪った。(35-33)
試合時間は残り約2分30秒。
4強進出まであと少し。ブラックラムズは自陣ラインアウトから「エリア獲得」と「時間消費」を狙えるモールを選択。じわじわと前進する。
残り約1分。ここでSHペレナラ主将は中盤からコンテストキックを選択。そして再獲得。
時間が刻一刻と過ぎる。そして79分10秒、古瀬健樹レフリーの笛。サンゴリアスが痛恨のペナルティ――。
エリアは敵陣右の10m付近だ。Hポールまでの距離は約45mか。試合時間は残り数十秒。
ここでブラックラムズはペナルティゴールを選択した。
この判断について問われたSHペレナラ主将の第一声は「私の判断です」だった。
「(SO中楠)一期が一人で決めたとは思ってほしくありません。私がゴールキックを狙おうと決めました。彼も決める自信があり、もし決まらなくてもデッドボールラインを越える自信がありました。いずれにせよ、私が最終的に判断しましたし、その部分はレビューするときに少しつらい部分です」
ペレナラ主将は試合後会見で「今なら優勢だったスクラムを(選択肢として)選ぶかもしれない」とも話した。
ここでスクラムやラインアウト、タップからボールキャリー(ボールキープ)を選択していたら勝利していたかどうかは、分からない。いずれの場合もサンゴリアス側にボールを奪う機会が与えられていたからだ。
ジャパンラグビー リーグワン2025-26(5月23日)
【D1 プレーオフトーナメント 準々決勝 ハイライト】東京サンゴリアス vs. ブラックラムズ東京|
一方で、スクラムハーフを福田健太に託し、ピッチサイドに引いていたサンゴリアスの流。
「勝てるチャンスが数パーセントきた」と感じていた。
「その瞬間(相手がPGを選んだ瞬間)、勝てるチャンスが数パーセントきたかなと正直感じました。相手の判断はリスペクトしますし関係のないことですが、(自分たちができることは)キックが外れた時に備えることでした」
プレースキックの準備中に80分のホーンが鳴った。
決まれば38-33でノーサイド――。しかし蹴ったボールはHポールの右に反れた。トライゾーンでサンゴリアスFB松島幸太朗がキャッチ。ここから結果的に100メートル以上を切り返すサンゴリアスのアタックが始まった。
「松島やトラスク中心に遂行力が素晴らしかったです。トライライン近くでアドバンテージをもらったので、そこで3点を狙う可能性もあったと思いますが、トライまでもっていけたのはサンゴリアスらしいラグビーだったと思います」(サンゴリアス、SH流)
堅守に自信のあったブラックラムズだが、ハイタックルなどのペナルティを犯してエリア後退を続けると、ここでこの日2度のボール奪取もあったCTB中野将伍がロングゲイン。
ブラックラムズは手にかけた4強進出を目前で逃した。一方のサンゴリアスは記憶に残る衝撃トライでベスト4進出。準決勝でリーグ1位のコベルコ神戸スティーラーズと対戦することになった。
だからラグビーは面白い――。
試合直後から、あちこちでそんな声が聞かれた。ただラグビーの素晴らしさが凝縮されていたのはオン・ザ・ピッチだけではなかった。
「今日はチームのスピリッツが見えた試合かなと思います」
サンゴリアスの小野HCは噛みしめるように言った。
「まさに『プライド』と『リスペクト』と、最後には『ネバーギブアップ』という3つの気持ちを背負った15人、そしてメンバー入りした選手たちが、チーム全58人の思いを背負ってプレーしてくれました」
一方の敗れたブラックラムズの指揮官と主将。その態度もまた一流のラガーマンだった。
ヘッドコーチもキャプテンも責任を引き受ける態度を示した。フラストレーションを他の誰かに向けることがなかった。
「ヘッドコーチとしてはとても残念ですし、悔しいです。最終的に、この結果の責任はヘッドコーチの私にあります」(ブラックラムズ、マットソンHC)
マットソンHCはまた、ゲームの総括と反省を口にした後で「こんな素晴らしいゲームに関わることができて、とても嬉しいです」とも言った。ラグビーという競技に心を動かされている様子が伝わってきた。
「ラグビー(ゲーム)としても、クラブにとっても、素晴らしいチャレンジ、コンペティションでした。『だからみんなラグビーを好きなんだろうな』と思えるようなゲームだったと思います」
15人制ラグビーでは、両軍合計30人が入り乱れ、そこにマッチオフィシャルの判断なども加わる。
そのラグビーが、或る一つのプレー、或る一つの判断で勝敗が決するスポーツではないことは言うまでもないだろう。スコアボードの得点は、常にそれまでのプレー(衝突、判断、ポジショニング等)が積み重なった「連鎖」の結果だ。
試合後、その「連鎖」から一部を切り離した上で、特定の誰か一人に責任を帰するようなネット上の投稿は筆者の知る限り極めて少数だった。(またそうした投稿であっても、その投稿者の当時の心情や背景を知る前に否定することには慎重でありたい)
むしろ、試合後に発信されたファンコメントの多くは、死闘を繰り広げた両軍への感謝など、ラグビーらしいリスペクトに溢れたものだった。
日本のラグビーは素晴らしい――。
試合内容はもちろん、こうしたファン・サポーターの温かい反応も含め、日本ラグビーの豊かさ、素晴らしさを実感させてくれる一戦となった。
文: 多羅 正崇
多羅 正崇
1980年2月1日生まれ、神奈川県出身。法政大学第二高校、法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻修了。スポーツジャーナリストとして『ラグビーマガジン』『Number』『J SPORTS』などに寄稿する傍ら、ユーモアコラムの執筆も行なっている。スポーツにおけるハラスメント防止を目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」理事。共著に『子どもがラグビーを始めたら読む本』(ベースボール・マガジン社)がある
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