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関西大学春季トーナメントの3位決定戦。関西大学×近畿大学による決戦で、まずチャンスを掴んだのは関西大だ。
開始直後、自陣で関西大CTB神戸逸玖がこぼれ球に飛び込んでターンオーバー。ここから敵陣奥に入ると、近大にラックでの反則(ノット・ロール・アウェイ)が続いて好機到来。
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すると前半5分だ。
近大がFW同士の近接戦でさらにペナルティ(オフサイド)。アドバンテージをもらって一気にワイド展開。背番号12吉良陸人の鋭いロングパスが通り、反則多発で舞い込んだチャンスを得点に変えた。
関西大はルーキーSO堂免遙生(尾道)のコンバージョンも決まって7点を先取。機先を制したが、近大が直後に反撃に転じる。
まず近大はリスタートのキックオフ直後、東西学生対抗戦メンバーにも選ばれたCTB西柊太郎が強烈タックル。さらにクリーンアウトにも加勢してターンオーバーするビッグプレーを披露する。
ここから敵陣22mの攻撃権を得た近大は、相手のペナルティに乗じて右奥へ。ラインアウトのボール確保からLO楠大輝が鋭いピックで突進。トライ(ゴール)成功で早々に同点(7-7)に追いついた。
近大は正確なクリーンアウトとSH渡邊晴斗のテンポ形成で、強烈なアタックを仕掛ける。しかしオフロードパスの連携不足でミスで終わる展開が続く。
だが近大は手数が多かった。
連続攻撃が防がれたと見るや、SO須田厳太が中盤から右奥へハイパント。競り合いを起こす的確なキックに活路を見出し、チェイスしたFL澤村類がボールを確保して2本目。
さらに前半21分にはセットピース(スクラム)からの一次攻撃でCTB井上晴嵐がクリーンブレイク。用意したプレーを確実に遂行する決定力も見せて3本目。攻撃多彩な近大が19-7とリードを広げる。
だが関西大もタフだった。
関西大は前半26分頃から約30次にわたる連続攻撃。ルーキーSO堂免遙生が冷静な判断とスキルでボールを振り続け、チームから唯一東西学生対抗に選出されたNO8中川一星らが突進を繰り返した。
ラグビー関西大学 春季トーナメント2025(6月22日)
【3・4位決定戦 ハイライト動画】関西大学 vs. 近畿大学
ただ粘り勝ちしたのは近大だった。ペナルティもなく約30次の攻撃を受け止め、最後は相手にクロスキックを選ばせた。ここは相手のミスに終わり、トライエリアを守り切った。
すると前半38分。
報徳学園出身のU20代表経験者、近大のFB太田啓嵩が魅せた。自陣左のスクラム展開からボールを受けると急加速し、相手に触れさせずラインブレイク。レシーバーのスピードを落とさないCTB西のパススキルも光った。
ここから独走したFB太田は、相手2人をステップとハンドオフでそれぞれかわし、最後はパスでトライをお膳立て。スピードとスキルを駆使したトライが生まれ、前半終了前にクロスキックから近大が一本追加。33-7で試合を折り返した。
後半も近大のアタックは冴え渡った。
後半3分には再びスクラムからの一次攻撃でトライ創出。キーマンのCTB西の仕掛けから左隅で突破。ステップで左隅で振り切ったCTB井上晴嵐がこの日自身2トライ目を奪った。
さらにCTB西のピック&ゴーを足掛かりとして1トライを追加(43-7)した近大に対し、関西大はルーキーが得点機を呼び込む。
途中出場したリザーブ唯一の1年生SH坂本蒼莞が、単独になったキャリアーに対してスティール成功。先発のルーキー3人(SO堂免、WTB岡本大樹、FB安藤駆)に負けじと存在感を放つ。
ここから左コーナーに入った関西大。モールでは仕留めきれなかったが、ラック後にNO8中川一星が力強いレッグドライブで押し込んだ。この日も活動量の多かった中川が反撃の一本を奪った。(43-12)
関西大は敗色濃厚だったが、ファイトを止めなかった。
終盤は途中出場メンバーが奮戦。2年生中田大和がファーストレシーバーとなり 後半30分過ぎに敵陣でフェーズ攻撃。リザーブの4年生遠藤亮真が左隅のキャリーからラストパスを放るが、ここはスローフォワード。
しかし相手ペナルティから敵陣右に入り、ラインアウトモールを形成。1度は止まったがパックを保持して2度目の突進。この日初のモール・トライで3本目(ゴール成功)を返した。(50-19)
しかし近大は終盤にさらに2トライを追加する。
終盤の連続トライの主役は、2年生FB太田だった。
リスタート後の後半35分だ。相手ノックフォワードからのターンオーバーで、FB太田が中盤でボールをもらう。守備ラインが迫る状況で、細かいステップから加速。そのまま会場がどよめく独走トライを決めた。
さらに太田の独壇場は続く。
関西大のショートキックを眼前で捕球した近大がターンオーバー。直後、左隅でボールをうけFB太田が豊かなスピードでラインブレイク。そのまま得意のショートキック&捕球でハットトリック達成。
終盤の“太田劇場”でダメを押した近大が、64-19で関西大に大勝。春季トーナメントを3位で終え、夏合宿前のシーズンを締めくくった。4位となった関西大学は敗れはしたが、4年生を中心としたメンバーの粘り、ルーキーたちの躍動など今後に期待が持てる内容となった。
文: 多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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