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ラグビー コラム 2026年6月1日

絶大なる神戸の「矛」。スティーラーズが大量69得点で東京サントリーサンゴリアスを破る。ジャパンラグビーリーグワン2025-26プレーオフ準決勝①

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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なんという攻撃力か――。

「神戸さん(コベルコ神戸スティーラーズ)はフィジカルが強く、アタックにも“裏表”のオプションがあって脅威でした。今日はすべての局面において上回られました」(東京サンゴリアス、SH流大

5月30日(土)に行われた2025年度のプレーオフ準決勝。リーグ戦1位のスティーラーズの「矛」が破壊力を存分に見せつけた。

前半、準々決勝を勝ち抜いた同4位のサンゴリアスは奮闘した。序盤にはスティーラーズのトライ寸前の突破に対し、FLショーン・マクマーンが追いついてトライセーブ・タックを披露した。

ただスティーラーズは開始直後からFLアーディ・サベアらのフィジカルが爆発。前半6分にエリア中央で前進すると、「裏」のバックドアからCTBタリ・イオアサがオフロードパス。ショートパントを再獲得したWTB植田和磨が先制トライを奪った。(5-0)

サンゴリアスのSH流は、どの選手も脅威となるスティーラーズの攻撃力を称賛した。

「リーグ屈指です。(走り込むどの選手も)マークを捨てきれなくて、その裏のプレーもある。接点でプレッシャーをかけられず、外側にプレッシャーが掛かって(という悪循環)。対策も用意しましたし止めるための練習もやってきましたが、想像を上回ってきました」

そんなサンゴリアスも今季限りで退団するWTBチェスリン・コルビのPG(ペナルティゴール)で応戦。2本のPG(前半9、18分)を決めて5-6と逆転に成功する。

「点差を離されずに食らいつくことが大事でした。(スティーラーズのDFが良く)チャンスがなかったので、3点を逃すべきではないと思っていました」(サンゴリアス、SH流)

スティーラーズはリーグ最終節から3週間の準備期間もあってフル充電。1週間前に大熱戦を経験しているサンゴリアスは規律を保ち、効率よく戦いたかったが、前半20分にはFB松島幸太朗が相手スクラムハーフへのプレッシャーでシンビンに。

ジャパンラグビー リーグワン2025-26 D1 プレーオフトーナメント(5月30日)

【準決勝 ハイライト】コベルコ神戸スティーラーズ vs. 東京サンゴリアス

すると、右奥に入ったスティーラーズは敵陣に居座り、左隅で流通経済大学卒のWTBイノケ・ブルアがしぶとくDF突破。

ここでラストパスが渡ったのは「(スティーラーズの)馴染みやすい雰囲気に助けられている」と語る新人FB上ノ坊駿介。元天理大主将が逆転のジャンピングトライを決め、10-6と再逆転に成功した。

サンゴリアスの武器の一つは、リーグNO1精度を誇るラインアウト。序盤でこそミスがあったが、次のチャンスは前半24分だった。

ターンオーバーからWTB尾崎泰雅がキック「50:22」を成功。再びゴール前ラインアウトの好機を呼び込むと、ここからモールで前進。

クリーンなモール・トライこそ生まれなかったが、直後の近接戦からLOジョージ・ハモンドがこの日チーム初トライ。14人ながら“再々逆転”を披露してみせた。(10-13)

だが、ここでサンゴリアスにアクシデント。

序盤にスティールも見せていたNO8テビタ・タタフがHIAで交代。リザーブ6人目のFWだったピエリッチ・シーバートが投入されたものの、攻守の要の早期離脱は痛かった。

するとその後にスティーラーズが前半2本のトライ。しかしサンゴリアスもWTBコルビのPGで食らいつく。前半はスティーラーズの8点リード(24-16)で終えた。

「前半は準備していたことの10%も出せていなかったなか、(PG戦略で)8点差で折り返したことは悪くなかったと思います」(サンゴリアス、SH流大

サンゴリアスの指揮官、小野晃征HCにも同様の実感があった。ポゼッションがない中で8点差で折り返せたことは良かった。だから、ハーフタイムにチームへ伝えた。

「後半最初に(トライを)取れば流れが変わると思っていて、そう伝えました」(サンゴリアス、小野HC)

しかし「後半最初のトライ」を挙げたのは、サンゴリアスではなかった。

後半開始直後。スティーラーズはFLサベアを中心にアンプレイアブルで攻守交代を起こすと、中盤からアタック開始。順目に回り込んだWTB植田が弾けるようなステップでラインブレイク。

フォローした同じく23歳のSH上村樹輝が、43分に後半最初のトライを奪取。スティーラーズの若手の躍動を許したサンゴリアスは、逆にビハインドが13点(29-16)に広がってしまった。

劣勢に立たされたサンゴリアスだが、チームのDNAはネバー・ギブアップだ。

PR竹内柊平が敵陣から果敢にクイックスタート。しかし、相手FLティエナン・コストリーが孤立したところでスティール成功。サンゴリアスは敵陣でボールロストする展開が続く。

後半のスティーラーズはスクラムでもペナルティを誘発するようになり、さらに勢いを増す。

スティーラーズは後半7分のSO李承信がトライエリアに走り込むと、さらに2連続トライで「50得点」の大台に。

夏の到来を思わせる暑さのなか、スティーラーズのフィットネスは落ちない。そしてアタック精度も落ちなかった。

その要因について問われると、レニーHCは、今季退団後に「ヘッドパーフォーマンス」の肩書きで共にNZ代表の強化に関わるヒーリー氏の名を挙げた。

「ヘッドアスレティック(パフォーマンス)コーチであるフィル(ヒーリー)が、しっかりと仕事をしてくれています。(フィットネスは)常に自信はもっています」

「今シーズンの成功に繋がっているのは、そのフィットネスの上に『精度』の部分が加えられているところです。この部分が間違いなく今シーズンは機能しています」(スティーラーズ、レニーHC)

サンゴリアスは後半27分に途中出場のサム・ケインがシンビンになって、この日2度目のイエロー。劣勢がさらに色濃くなると、ここから後半33、37分のスティーラーズがさらに2連続トライを決める。(62-16)

しかしサンゴリアスも一矢報いる。

後半38分。キックオフボールを掴んだサンゴリアスは呉季依典がキャリー。敵陣22mに入ると、スペースを察知したFB松島が技ありのカットパス。最後はCTB中野将伍が右隅で取りきり、チームスピリットの一つである『ネバー・ギブアップ』を体現してみせた。

だが最後もスティーラーズが2連続のラック・ターンオーバーから、ソロモネ・フナキがフィニッシュ。

この日のスティーラーズのトライ数はFWとBKで11本。

トライスコアラーは実に9人。その内訳は、FW4人(LOジェラード・カウリートゥイオティ、FLサベア、NO8ワイサケ・ララトゥブア、ソロモネ・フナキ)、そしてBKが5人(SH上村、SO李、WTB植田、WTBイノケ・ブルア、FB上ノ坊)だった。

「アタックは自分たちのDNA。今日はフォワード、バックス、誰でもトライできるところを見せられました」(スティーラーズ、SO李)

準決勝を69-23のビッグスコアで制し、昨季乗り越えられなかった壁をぶち破ったスティーラーズ。

一方のサンゴリアスは3位決定戦へ駒を進める。W杯戦士として日本に熱狂をもたらした元日本代表のSH流、CTB中村の両名は現役ラストマッチとなる。

「(来週の3位決定戦は)最後にサンゴリアスらしいアグレッシブ・アタッキングラグビーを見せたいです」(サンゴリアス、CTB中村亮土

「このジャージーを着る以上、負けていい試合はないので、勝ちにいきます」(サンゴリアス、SH流大

そして、トップリーグ時代の2018年度以来となる日本一に王手をかけたスティーラーズ。

「前半はターンオーバーされた場面もありますが、後半に関しては素晴らしいパフォーマンスでした。マインドセットも素晴らしかったです」

「この暑い気候の中でもハイテンポでプレーできました。相手にしてみればついてくるのが難しい試合ができたと思います」(スティーラーズ、レニーHC)

悲願のリーグワン初制覇まで、あと一勝だ。

文: 多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

1980年2月1日生まれ、神奈川県出身。法政大学第二高校、法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻修了。スポーツジャーナリストとして『ラグビーマガジン』『Number』『J SPORTS』などに寄稿する傍ら、ユーモアコラムの執筆も行なっている。スポーツにおけるハラスメント防止を目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」理事。共著に『子どもがラグビーを始めたら読む本』(ベースボール・マガジン社)がある

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