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ノーサイド、スピアーズが準決勝へ
準々決勝は1試合目に続き、2試合目も最後まで勝敗のわからない、プレーオフにふさわしい戦いとなった。「NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25」は、いよいよクライマックスを迎え、5月17日(土)からプレーオフトーナメントが始まった。
ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D1 プレーオフトーナメント
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準々決勝 静岡ブルーレヴズ vs. コベルコ神戸スティーラーズ
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準々決勝 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs. 東京サンゴリアス
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18日(日)はリーグ戦3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイと、6位の東京サントリーサンゴリアスが、大阪・東大阪市花園ラグビー場で激突した。
一昨年度、創部史上初の日本一に輝いたものの、昨シーズンは6位でプレーオフ進出を逃したスピアーズ。今季は序盤に接戦が続いたが、順調に勝ち星を重ね、シーズン後半は引き分けを挟んで7連勝と8戦負けなし。リーグ戦を14勝2分2敗の勝ち点69とし、3位で2シーズンぶりのプレーオフトーナメントに駒を進めた。
スピアーズのフラン・ルディケHC(ヘッドコーチ)は、リーグ戦最終節のトヨタヴェルブリッツ戦からFW(フォワード)4名、BK(バックス)1名の計5名の先発を変更。
50キャップ目となったHOマークス(スピアーズ)
FW第1列は全て入れ替え、PR(プロップ)は紙森陽太、イジ―・ソードが先発に上がった。HO(フッカー)は50キャップ目となる南アフリカ代表マルコム・マークスが先発した。
バックローは、出場すれば100キャップとなるトゥパ フィナウがベンチに下がり、前節はNO8(ナンバーエイト)でプレーしたタイラー・ポールが、FL(フランカー)に上がり、NO8にはキャプテンのファウルア・マキシが復帰した。
BKを見ると、日本代表SH(スクラムハーフ)藤原忍と、元オーストラリア代表SO(スタンドオフ)バーナード・フォーリーのハーフ団は引き続き先発。CTB(センター)は日本代表のベテラン立川理道が先発に上がり、WTB(ウイング)には50キャップ目となる根塚洸雅が引き続き先発した。
一方、リーグワンとなってから、毎シーズンプレーオフを戦ってきたサンゴリアスだが、今シーズンは開幕からなかなか勝ち星を挙げることができず苦しい時間を過ごしたが、結局、8勝2分8敗の勝ち点40でプレーオフ最後の6枠目に滑り込んだ。
ジャパンラグビー リーグワン2024-25
【ハイライト動画】 準々決勝 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs. 東京サンゴリアス
小野晃征HCは、リーグ戦最終節の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦から、FW3名、BK2名の計5名の先発を入れ替えた。
BKは、元日本代表のSH流大、SO森谷圭介とこちらもハーフ団は変わらない。インサイドCTBは中野将伍が先発し、アウトサイドCTBとしてコンビを組むのは、2試合ぶりに復帰したイザヤ・プニヴァイとなった。
出色の出来を見せたWTBコルビ(サンゴリアス)
WTBは南アフリカ代表チェスリン・コルビが、尾崎晟也に替わって11番から14番に移動し、11番には仁熊秀斗が先発し、FBには元日本代表の松島幸太朗が先発した。
今シーズン、両者は同じカンファレンスのため、リーグ戦では2度対戦し、第1戦は26-26の引き分け、第2戦ではスピアーズが30-10と勝利していた。
リーグ随一のフィジカルと、セットプレーの強さを誇るスピアーズに、サンゴリアスは「マインドセットを変えた」(堀越キャプテン)というディフェンスで立ち向かった。
ジャパンラグビー リーグワン24-25
試合はフィジカルで優位に立ったスピアーズが、序盤から相手陣でボールを継続し、CTB立川らがスペースにグラバーキックを蹴り込むが、相手のカバーリングも早く、なかなか得点には結びつかなかった。
だが前半7分、相手の反則から左中間でPG(ペナルティゴール)のチャンスを得るとSOフォーリーが落ち着いて沈めて、3点の先制に成功する。
9分にはスピアーズが、武器のスクラムを押し込んで、相手の反則を誘うなど、相手陣でのプレーを続けるが、なかなかトライを挙げることはできなかった。すると18分、サンゴリアスも相手の反則から、ゴール前5mのラインアウトからチャンスを得た。
サンゴリアスの最初のチャンスはTMOの末、ノートライ
相手の反則後、20分、再びラインアウトのチャンスを得てモールを押し込んでNO8箸本がトライしたかに思われた。だが、TMO(テレビマッチオフィシャル)の末、オブストラクションの反則と判定されてノートライとなった。
その後は再び、スピアーズの時間帯になるが、マイボールラインアウトからのボールをクリーンキャッチできず、ゴール前まで攻め込んでもアクシデンタルオフサイドの反則を犯してしまうなど、なかなかリズムに乗ることができない。
36分、スピアーズは相手陣22mでのスクラムでコラプシングを誘うとPGを狙わず、ラインアウトを選択。アドバンテージの中、攻め込んだがトライを挙げることができなかった。その後も、サンゴリアスの反則からスクラムを選択。FW勝負にこだわるが、トライラインを超えることができなかった。
ロスタイム、サンゴリアスはゴール正面のスクラムで再びコラプシングを犯してしまう。3度、スピアーズはスクラムを選択して左にフェーズを重ねたが、サンゴリアスのWTBコルビがスティールを成功。そのまま、3-0でハーフタイムを迎えた。
キックで逆転トライを演出したFB松島(サンゴリアス)
後半、3点を追うサンゴリアスは、SH流大のハイパントキックを起点にボールを継続して相手陣で戦う。5分には、10mライン付近ラインアウトからボールを継続。FB松島が走りながら右裏のスペースにクラバーキックし、そのボールをWTBコルビが拾い上げて右隅にトライ。5-3と逆転した。
直後の7分、サンゴリアスが自陣でフォーワードパスをしてしまい、スピアーズが相手陣22mライン付近中央でスクラムのチャンスを得ると、右に展開。FB押川敦治、WTB根塚とつなぎ、根塚が相手NO8の箸本を吹き飛ばしてトライ。10-5と再びリードした。
攻守で身体を張ったFLケイン(サンゴリアス)
だが、サンゴリアスも負けていない。13分、相手陣奥のラインアウトからサインプレーで手前に立っていたPR中野幹、FLサム・ケインとつないで、右中間にトライ。再びサンゴリアスが逆転した。
20分、反則からサンゴリアスが、ゴール正面45mほどのPGのチャンスを得たが、WTBコルビが決めることができず、スコアは12-10でサンゴリアスリードのまま。
すると23分、スピアーズが相手陣奥でラインアウトモールを押し込み、サンゴリアスの反則を誘う。スピアーズは冷静にタップキックからのアタックを選択すると、途中出場PR為房慶次朗(明治大学出身)がトライライン付近まで迫り、最後は途中出場のLOルアン・ボタが右中間にねじ込んで、17-12と再びスピアーズがリードした。
さらに31分、途中出場のCTB廣瀬雄也(明治大学出身)がPGを落ち着いて決め、スピアーズが20-12と8点差に広げた。対するサンゴリアスは33分のPGは外したが、37分にはWTBコルビが決め、トライ&ゴールで逆転できる5点差に迫った。
しかし40分、サンゴリアスは相手のディフェンスで、ボールを前に落としてしまい万事休す。スピアーズはスクラムから、そのままボールを蹴り出し、20-15でノーサイドを迎えた。
POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)はセットプレーをリードしたスピアーズのHOマークスが選出された。「非常に暑かった。サンゴリアスに対して戦う時は、非常に厳しい戦いになると思っていたが、その通りだった。だが、結果として勝ててチームを誇りに思う」とコメントした。
最後までアタックをしかけるサンゴリアス
今シーズン、一番のディフェンスを見せたが、後半の勝負どころでのアタックミスが響いたサンゴリアスの小野HCは、「今日はディフェンスが良かったが、6位対3位で、3位のチームの方が一貫性を持って1年を戦った。来シーズン、ボールを持っていても持っていなくても、アグレッシブに一貫性を持ったチームを作らないといけない」と先を見据えた。
HO堀越キャプテンは「ハーフタイムではいけるなと思っていた。今日はクボタさんのオレンジの壁が厚くて、僕らがトライラインを割れなかった。そこだけ」と悔しそうな表情を見せた。
2度逆転を許したが、チーム一丸となり最終的には勝利を収めたスピアーズのルディケHCは、「差はとても僅かだった。完璧な試合でも美しい試合でもなかった。しかし、最も重要なことは、勝つための方法を見つけたこと」。
「特に相手がリードした場面でも、私たちは冷静さを保ち、ペナルティを獲得し、トライを決めたことが非常に重要だった。ノックアウトラグビーでは、自分たちに効果的な戦術を見極め、それを実行することが重要。だからこそ、私たちは勝利を祝い、来週の試合を楽しみにすることができる」と冷静に振り返った。
スクラムはスピアーズが優勢
キャプテンのNO8マキシは「過去も熱戦を繰り広げてきたので、サンゴリアスとの試合はタフになるとわかっていた。自分たちの強みを活かして、相手のFWにしっかりプレッシャーかけていけば、いつか必ずチャンスがあると自分たちを信じてやった。最後までやり切ったことで結果がついてきた」と笑顔で話した。
接戦をチーム一丸となって戦い、制したスピアーズは次週5月24日(日)の準決勝2試合目、東京・秩父宮ラグビー場で、リーグ戦2位の埼玉パナソニックワイルドナイツとファイナルを懸けて戦う。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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