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王者が爆勝スタートを切った。
真紅のジャージーは、序盤から順風満帆だったわけではない。
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大東大の反撃に遭い、ハンドリングエラーや反則が多発。パワーのコントロールにも手間取った。
帝京大は開始直後にトライエリアでノックフォワード。大東大のHO大西樹のタックルがミスを誘った。さらに直後のスクラムではアーリープッシュ。ミスと反則によりエリアを後退した。
一方の大東大は、立ち上がりからDFラインの整備速度で後手となり、自陣22mでライン・オフサイド。相手に得点機を与え、帝京大がモールから前半5分に先制トライを浴びる。
大東大はNO8大竹慶宣らパワフルな守備人はいるものの、帝京大のプレッシャーも相まってこの日のペナルティ数は15。一方の帝京大は4であり、大敗の原因の一つとなった。
ただ先制トライを許したあと、大東大は自陣ディフェンスにおいて2度連続で失点を防いだ。
一度目は相手のグラバーキックに即応したことによるもの、二度目は、FL齊藤泰靖の鋭いタックルから落球を誘ったことだった。
と、ここで帝京大のルーキーが存在感を示す。
秋田工業出身のHO三浦颯太が、敵陣でこの日チーム初のボールスティール。大会デビュー戦で18歳が魅せる。
だが大東大も直後のモール・ディフェンスでトライ阻止。帝京大のトライパターンを崩す好守をみせると、最後はFL齊藤がふたたびノックフォワードを誘うタックル。帝京大は序盤にトライエリアで2度目のボールロストとなった。
すると、大東大も18歳の新世代プロップ、芳賀空(御所実)が躍動。
前半13分にキックカウンターで突進してきたNO8カイサ・ダウナカマカマにタックル。バインドを外されながらも相手がノックフォワード。チームの士気を高めた。
序盤の帝京大はミスにミスを重ねる悪循環で、2トライ目が生まれなかった。
関東大学春季交流大会2025 Aグループ(5月18日)
【ハイライト動画】帝京大学 vs. 大東文化大学
前半15分にはスクラムでペナルティを誘ったものの、タッチキックでミス。直後のスクラムで2度目のアーリープッシュ。さらに自陣守備でハイタックル。カウンターラックで失点は防いだが、修正が必要な序盤となった。
この停滞感を破ったのはルーキーFB吉田琉生だ。
東海大仰星出身の18歳が、懐の深いランで相手ディフェンスを翻弄。パスで突破を演出すると、成城学園高からの入部は初というWTB吉田有佑が、185センチの長身を生かしてゲイン。待望の2本目が生まれた。
ここから帝京大が攻勢をかける。
自陣スクラムから高速展開でモメンタムをつくり、昨年は日本代表合宿に招集されたPR森山飛翔(3年)がピック&ゴーで3本目。
大東大は徐々にファーストタックルが決まらなくなり、帝京大PR森山、NO8カイサ・ダウナカマカマを数人掛かりで止めるようになる。すると数的優位を最後はCTB日隈太陽が仕留めて4本目。(0-24)
だが大東大も前半31分に、強力なカウンターパンチを放つ。
副将のHO大西樹が「練習でやってきたこと出すよ」と声をかけた直後の自軍投入スクラムだ。ここまで劣勢気味とみえたスクラムで、プッシュに耐えた後、グッと突き返した。
自分たちのスタイルにフォーカスし切った一本で、この日初のスクラム・ペナルティ。大東大ベンチから大きな歓声。直後にはFLノア・トファエオノ、途中出場のヴィリ・ムナが落球を起こす強烈ダブルタックルもみせた。
だが前半33分には、帝京大が敵陣ゴール前でお返しのスクラム・ターンオーバー。5トライ目を奪い、さらにバックスのスピードを生かした2連続トライで、帝京大が前半を43-0で終えた。
序盤の約20分はミスや反則で停滞気味だった帝京大だが、後半は会心のプレーから始まった。
FL甲斐敬心が大東大陣内でボールスティール。左コーナーへの侵入からラインアウトモールで後半3分にトライ奪取。チーム8本目を早々に奪った。
攻撃権は回ってくる大東大だが、後半5分、CTB橋本颯太の突破からルーキーWTB吉岡聖太がゲインを切るものの、ここはオフロードパスが繋がらず攻守交代。得点を奪えない。
すると後半13分、中部大春日丘出身の福田がゴール前のストレートランで9本目。WTB吉田からキッカーを継いだ大町主将がゴール成功。57-0とリードを広げた。
後半は帝京大のFWユニット間のショートパスが効果てきめん。大東大DFの不整備を突き、次々に数的優位を作り出す。
スクラムも優勢が明確になり、後半18分から途中出場の松隈孝成の2トライを含む3連続トライ(後半18、21、27分)。
さらに後半32分には大阪桐蔭出身の上野凌大が、味方のフォローを受けながら5人の守備を掻い潜り、豪快な13トライ目を奪った。
試合時間は残り10分を切り、スコアはすでに83-0。勝利が確定的になると「50:50」のプレーが突然増え、自分たちから崩れていってしまうチームは社会人でも散見される。しかし帝京大はプレーの精度を保った。
後半36分には途中出場した新澤迅太が丁寧なオフロードパス。大町主将の大会初トライを演出すると、3分後にもハイテンポで大東大を振り回して大町主将が連続トライ。
大東大はFL齊藤泰靖が運動量豊富にタックルを放ち続け、FB伊藤和樹主将も鋭い出足でランナーを止めるなどしたが、最後のアタック機会もスクラム・ペナルティでボールロスト。
序盤苦しみながらもセットプレーと1対1のコリジョン(衝突)、アタック精度で上回った帝京大が95-0で大勝。次週5月25日(日)、1勝1敗の東海大学戦へ弾みをつけた。
大東大は攻守の整備など課題はあるものの、前半は帝京大の強力スクラムで対抗する場面もあり、個々の能力もみせた。
3連敗を糧にしたい大東大が、大会初勝利を狙う次戦は6月8日(日)。同じ関東大学リーグ戦に所属する東洋大学。大会中の成長をぶつけ、自信を掴む一勝を挙げられるか注目だ。
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文: 多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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