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リアム・ミッチェル(埼玉ワイルドナイツ)
このカードで過去に見たことのないスコアが刻まれた。
日本ラグビーをともに、長く牽引してきた埼玉パナソニックワイルドナイツと東京サントリーサンゴリアスが5月10日に熊谷ラグビー場で戦った(リーグワン ディビジョン1)。
J SPORTS オンデマンド番組情報
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ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D1 第18節-3 埼玉ワイルドナイツ vs. 東京サンゴリアス
5月10日(土)午後2:20~ LIVE配信
ワイルドナイツが試合開始直後から優勢に試合を進め、前半20分で24-3。ハーフタイムを29-10とリードして迎えた。
ファイナルスコアは60-17。トライ数は勝者が8で、敗者が2。青いジャージーの躍動ばかりが目立つ展開だった。
このレギュラーシーズン最終戦(第18節)を終えて、ボーナスポイント付きの勝ち点5を加えたワイルドナイツは2位が確定。プレーオフトーナメントへは準決勝からの出場と好条件を手にした。
6位のサンゴリアスは、もともと6位が決まっていた。
キックオフ前に降った雨の影響で、ピッチは水を含み、スリッピーな状態で始まった試合からは、序盤からワイルドナイツの力強さと意思統一が伝わってきた。
先制トライは開始4分。敵陣22メートル内の左ラインアウトから始まった。2番の佐藤健次が投げ入れたボールのリターンを受けて前進。その後、ラックから右へ。LOリアム・ミッチェル(この試合のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出)が防御の裏に半身を出してCTBダミアン・デアレンデにつなぎ、そのままトライラインを超えた。
接点での優位性を初っ端から見せたワイルドナイツは、PGで3点を返された後の12分にも各選手がズドン、ズドンとサンゴリアス防御に当たり、下げる。この時はFB山沢拓也が蹴ったキックの処理を黄色いジャージーが手間取った。その隙を突いて、WTB長田智希がトライを挙げた。
さらに16分、37分と、ワイルドナイツがハーフタイムまでに追加したトライは2つ。それぞれ、ミッチェル、ルード・デヤハーと、両ロックが挙げた。
ミッチェルのそれは、ラインアウトから5つの矢でゴール前に迫り、背番号4がトライラインの向こうにボールを置いたもの。デヤハーは、相手ラインアウトの最前列でスローインを受けた選手がタックルで押し込まれ、苦しまぎれに出したパスをインターセプトして走り切った。
ジャパンラグビー リーグワン2024-25 第18節(5月10日)
【D1 ハイライト動画】埼玉ワイルドナイツ vs. 東京サンゴリアス
サンゴリアスの2番、主将を務める堀越康介は、「試合開始からフィジカルの部分で少しずつ前に出られて、相手の思うようなラグビーになってしまった」と話した。
掲げるアグレッシブ・アタッキング・ラグビーの生命線をブレイクダウンとし、この試合に「ベストブレイクダウン」をテーマに臨んだチームが、強みを出せずに沈黙した。
松島幸太朗(東京サンゴリアス)
FB松島幸太朗が試合序盤から強気で動き、前半25分には自らトライも挙げたけれど、その積極性に周囲が呼応して前に出られることはなかった。
チームを率いる小野晃征ヘッドコーチは試合後、「この試合で出た課題を修正して次戦(プレーオフ準々決勝のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦)に臨まないと同じ結果になる。ラグビーではフィジカル(勝負)からは逃げられない。すぐ(1週間のあいだ)に、はやく、強くなることは難しいが、全員で体を張って、みんなのために前に出る、前で止める意識を強くして次の試合を戦います。持っているものを出し切る準備をします」と話した。
ワイルドナイツは後半もタフに戦い、前半同様4トライを奪い、失ったのは1トライ。ロビー・ディーンズ監督はライバルを蹴散らした選手たちについて、「選手たちのパフォーマンスについては満足。どのようにプレーしていくか明確になっていると感じた」と称えた。
山沢京平(埼玉ワイルドナイツ)
また、レギュラーシーズンを振り返って「多くの選手たちがリーグワンの試合を経験し、そのレベルに達していることが分かった」とチーム全体のレベルが上がったことを喜んだ。そして、SOとしてリーグ最多の得点を挙げた山沢京平に対し、「きょうもチームをうまくリードした。そしてフルシーズン働いてくれた。お礼をいいたい」。大きく成長したことを認めた。
今季ここまでの全18戦中16戦に出場(すべて10番で先発)。キックでの得点もリーグ最多の成績を残した26歳は、「今シーズンは、自分の中で責任に重きを置いてチャレンジすることを大事にしてきました」と話した。
「得点やキックについては、みんなで勝ってきた中で、自分の名前が残っただけ。チームが残したものに喜びを感じます」と続け、プレーオフでも「ひとつのプレー、ひとつのコールに責任を持ち続けます」と決意表明をした。
勢いに差を感じる両チームの状況ではあるけれど、短期決戦は何があるか分からない。
勝ってつかんだ自信をより大きくするのか、負けた悔しさをエナジーに牙を剥くのか、クライマックスをより熱くする要素にも注目していきたい。
文: 田村 一博
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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