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リッチー・マコウが現役引退を表明した。ラグビーワールドカップ(RWC)2015の決勝戦のときは引退を口にしなかった。それは、チームの勝利をみんなに祝ってほしいという心遣いだった気がする。マコウが引退を口にすれば、メディアはそのことに大きな紙面を割くだろう。名キャプテンらしい最後だった。
カンタベリー州代表デビューが2000年8月18日、オールブラックスデビューが2001年11月17日。2011年のRWCで、オールブラックス史上初のテストマッチ100試合を超え、2015RWCの決勝戦で148試合に達した(148は世界最多キャップ記録)。このうち、111試合でキャプテンを務めた。キャプテンとしての勝率は89%である。3度の世界最優秀選手賞を受賞し、キャプテンとしてRWC連覇を達成。そして、現役引退。「オールブラックスとして、またプロラグビープレーヤーとしての私の最後のゲームは数週間前のワールドカップ決勝でした。後悔はしていません」。これだけのことを達成して、まだ34歳なのかと、改めて思った。
引退後の仕事は、クライストチャーチでヘリコプターのパイロット(事業用操縦士)だという。マコウの操縦するヘリコプターに乗りたい人が殺到しそうだが、ラグビー以外にも熱中できるものを持っているのは魅力的だ。ラグビーフットボールが、プレーに対する報酬を認めたのは1995年からで、プロの歴史は浅い。競技人口も少なく、マーケットも小さいため、サッカーなど他のプロスポーツから比べると選手の報酬は低い。現在、プロとしてプレーする世界の一流選手達もセカンドキャリアはしっかり考えているのが普通だ。しかし、マコウの場合は本当に自分の好きなものを選んだ。前向きな引退で気持ちがいい。きっとラグビー界には貢献していくだろうし、セカンドキャリアについて悩む後進にも、いい刺激を与えた気がする。
100年を超えるオールブラックスの歴史の中で、史上最高の選手であり、史上最高のキャプテンと称されるリッチー・マコウと同時代に生き、彼のプロ選手時代を継続して見ることができたのは幸せだった。
写真は、RWC2015準決勝前日のトゥイッケナムでの練習。マコウの後継者と目されるサム・ケインと何やら話していた。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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