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日曜日は近鉄花園ラグビー場で第8回関西ラグビーまつりの取材をする予定だったのだが、体調不良で動けず。残念ながら休養をとった。天理高校と大分舞鶴高校のOB戦は、41-22で大分舞鶴が勝ち、大学同士の対戦は、早稲田大学が同志社大学を32-24で下した。
書くのが遅くなってしまったが、金曜日の夜は、大阪・北浜のラグビー部マーラーで、元三洋電機ラグビー部監督で、同志社大学ラグビー部のコーチングディレクターを務める宮本勝文さんをゲストにトークライブだった。三洋電機ワイルドナイツを悲願の日本選手権優勝に導いた宮本さんは、ビジネスの分野でも活躍し、現在は、三洋電機の執行役員としてパナソニックに出向し多忙な毎日を送っている。
大阪工大高(現・常翔学園)、同志社大学、三洋電機時代のエピソードから、話は多岐に渡ったが、チーム作りの話しは興味深かった。今季より、ワイルドナイツのヘッドコーチとなるロビー・ディーンズ氏は、宮本さんが監督時代に深い交流を持つようになった。社会人2年目でニュージーランドに留学し、カンタベリー地区のラグビー人との人脈が監督時代に役に立った。ディーンズ氏から学んだラグビー哲学は、「チャンスは相手がくれるもの」。一時はクルセイダーズとまったく同じサインで動いていたワイルドナイツだが、「練習は同じなのに、試合になると動きがまるで違う。クルセイダーズは相手の動きに対応して攻めるからです」と、選手の判断でスペースをつく戦い方を語った。
面白かったのは、ワイルドナイツの監督になったときのこと。チームを離れて9年が経過し、一緒にプレーした選手もおらず、誰も自分の言うことは聞いてくれない。そこで、「まずは体を張ろうと思ってトレーニングした」そうで、測定時にベンチプレス150㎏をあげて選手を驚かせた。ただ者ではないと思わせて心をつかんだということだ。また、「ラグビーは将棋ではなくて、麻雀」と混沌としたラグビーを説明するなど、たとえ話も面白かった。ビジネスで学んだのは、「過去の経験は何の役にも立たない」ということだという。つまりは、常に現状打破を考えないと生き残れないということ。このあたりも面白かった。
話ながら、ずっと気になっていて、つい、脈絡なく「猪木に似てますよね」と言ったら、瞬時に、「元気ですか――っ!」ときた。そのリアクションのスピードにも驚かされた。
土曜の日本代表強化試合の夜は、大阪・十三に移動し、第七藝術劇場で上映中の映画「60万回のトライ」のアフタートークに臨んだ。ゲストは、大阪朝鮮高級学校ラグビー部の呉英吉(オ・ヨンギル)監督。トークの時間は60分だったのだが、それでは足りないくらい面白い話が続いた。映画に出てくる高校生たちの普段のことや、呉監督自身のラグビーとの出会い、指導哲学など、もっともっと聞きたい話ばかり。

呉監督は、大阪朝高からラグビーを始めたのだが、主にスタンドオフとしてプレーし、朝鮮大学校で、在日ラグビーの父・全源治さんの薫陶を受けた。映画の中には、全さんが、夏合宿で大分舞鶴に快勝した大阪朝高ラグビー部のメンバーを、「慢心するな」と諭す場面があるのだが、そこを見ると呉監督も泣いてしまうようだ。全さんは、今年の2月に亡くなった。2月上旬、呉監督は全さんに呼ばれて言われたそうだ。「民族も国も越えて、思いやりのある人材を育ててほしい。日本の学校と仲良くやってくれ」と。呉監督の指導も、礼儀や規律を重んじる。
今回、僕はこの映画を見るのは4回目だったのだが、呉監督も同じで、隣で一緒に見ていて、同じところで泣くこともあった。呉監督は言っていた。「生徒の顔がどんどん変わっていく。今はもっと変わっていますよ。それを見ていると涙出ますね」。どんどん逞しくなっている生徒たちが愛おしいのだろう。呉監督とは話し足りないので、また、別の場所でトークライブをやろうと思っている。
この映画、広島、名古屋、仙台、京都、千葉でも上映が予定されるなど、全国各地に広がっている。韓国の全州映画祭では、5月1日〜10日まで上映されることになっているのだが、チケットが販売5分で完売したほど注目が集まっているだとか。韓国の人にはどんなふうに感じるのかなぁ。
追記◎4月29日、第七芸術劇場に映画に登場する大阪朝高ラグビー部のOBが集ってアフタートークをします。
帝京大で活躍中の権裕人さんも登場します。
「ナナゲイでラグビーを語ろう!」Part.2
映画に出演してくれた大阪朝高の選手のみなさんが、映画上映後トークに出演! その当時のこと、現在、そしてこれからのこと…。ラグビーにかける日々を語りあいます。
出演:金寛泰(キム ガンテ)さん、権裕人(コン ユイン)さん、高陽日(コウ ヤンイル)さん、金尚浩(キム サンホ)さん(予定)。
日時:2014年4月29日(火・祝)第七藝術劇場にてトーク付19:00〜本編(106分)上映後、約1時間程度
場所:シアターセブン イベントスペースBOX1(第七藝術劇場一階下)
532-0024 大阪市淀川区十三本町1-7-27 サンポードシティ5階
定員 100名程度
*【誰でもラガー割!】ラガーシャツ着用、もしくはラグビーボール持参のお客様どなたでも=当日1000円!
*【ラガー割 特盛!】2014 年4月26日、近鉄花園ラグビー場で行われる日本代表(JAPAN XV) 対 アジア・パシフィックドラゴンズ戦(14:00~)の観戦チケットを、第七藝術劇場での上映期間中、劇場窓口にてご提示でラガー割1000円にてご鑑賞いただけます(前売り券、試合後の半券可)
www.nanagei.com/movie/data/813.html
www.komapress.net
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村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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