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ラグビー コラム 2025年4月7日

【ハイライト動画あり】戻ってきた「横浜キヤノンイーグルス」らしさ。「浦安D-Rocks」は決定力に光。ジャパンラグビーリーグワン2024-25第14節

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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「良い結果が出ていなかったなか、イーグルスらしいアタックも少しずつ出てきています。自分たちの信念やこだわりをもって戦えたと思います」(横浜キヤノンイーグルス、沢木敬介監督)

イーグルスらしいアタック――。

その一例が、セットプレーなどから繰り出すスペシャルプレーだ。緻密な戦術を高い遂行力によって体現し、トライという結果を導き出す。

ここまで3連敗を喫していた6位イーグルスが、4月5日(土)、12位の浦安D-Rocksと東京・秩父宮で激突。

序盤はスクラムを武器の一つにする浦安D-Rocksが、2連続のスクラムPKからショット成功。3点を先取したが、イーグルスは返す刀で13フェーズの猛攻。

近場の正面衝突をくりかえす“力押し”から、最後はSO田村優をファーストレシーバーとして大外展開。第10節以来の出場となったWTB松井千士がデザインされた連続攻撃を、先制トライで締めくくった。

「特に前半はやりたいことがすごく出ました。負けが続いていたので、少し落ち込んでしまったり、自信をなくしている部分があったかもしれませんが、(今日は試合前から)すごく良い準備ができたと思っていました」(イーグルス、HO庭井祐輔

序盤で手応えを掴んだイーグルス。

さらにこの日初めてのスクラム・ペナルティから攻撃機会を得ると、近場の縦突進で相手フォワードをラックに寄せると、今季初出場・初先発のCTB南橋直哉がトライエリアへ。2連続のトライを奪った。

CTB南橋はこの日、現役オーストラリア代表の相手CTBサム・ケレビを一撃で仕留めるタックルもみせるなど奮闘。指揮官は手放しで称えた。

「(南橋は)チームがなかなか勝てなかった時代を知っている選手ですし、カジ(梶村祐介)がチームに加入するまでは試合に出ていた選手です。僕は信頼しているし、タックルなど良いプレーを発揮してくれました」(イーグルス、沢木監督)

そして3本目は、セットプレーであるラインアウトからのサインプレーが炸裂。

ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D1(4月5日)

【第14節 ハイライト動画】横浜キヤノンイーグルス vs. 浦安D-Rocks

ペナルティからエリアを前進する展開から、17分に敵陣ラインアウト。SO田村優、NO8アマナキ・レレイ・マフィの連続パスを南アフリカ代表CTBジェシー・クリエルが受けて突破。

完璧と思えるタイミングで、タックル名手の相手CTBシェーン・ゲイツを振り切ると、そのまま独走して3連続トライ。開始20分間で21点を奪い、序盤戦を制した。

一方の浦安D-RocksもNO8トゥクフカがチーム最初のスティール(旧ジャッカル)で悪循環を断ち切る。

すると前半32分、SOオテレ・ブラックが自陣10m付近からハイパント。これをロングキック対応のポジショニングだったイーグルスが処理ミス。イーブンボールを掴んだCTBケレビが独走トライ。21-10と詰め寄った。

そのまま追撃したい浦安D-Rocksだったが、後半最初のトライはイーグルス。

序盤、キックカウンターからWTB石田吉平が右隅を突破。ここに相手WTB安田卓平が追いついてトライセーブ。しかし9フェーズ目のフォワード戦で押し切ったイーグルスが、後半のスタートダッシュを決めた。

ディフェンスでもイーグルス本来の粘り強さが垣間見えた。後半6分には今季限りでの現役引退を表明したFL嶋田直人が、PR竹内柊平のグラウンディングを阻止する技アリのトライセーブ。

そして、ここまで一進一退で崩れ気味だったスクラムは、HO中村駿太の投入直後に変化が。後半8分のスクラムで、相手パックを粉砕するような強力スクラムで、後半最初のスクラムペナルティを奪った。

浦安D-Rocksで今季初のゲームキャプテンを務めるなど躍進しているHO藤村琉士は「前半の最初のほうは良かったですが、途中から難しい状況になりました」。その後もイーグルスは2連続のスクラムPKを奪った。

さらに後半25分には小倉順平のチーム5本目も生まれ、トライ差は「4」に。3トライ差以上の勝ちに与えられるボーナスポイントの確保をより確かにする。

しかし、浦安D-Rocksは敵陣アタックの決定力が光った。

起点は、兄・優(イーグルス)との兄弟スタンドオフ対決となった途中出場の田村熙

23点(10-33)を追う後半27分、浦安D-Rocksは敵陣でこの日50キャップ到達のSH橋本法史、SO田村熙という途中出場のハーフ団が巧みに配球。

最後はSO田村熙が兄・優にぶち当たってゲイン。元センターのNO8トゥクフカがピック&ゴーでチーム2本目。ゴール成功で16点差(17-33)に迫った。

ここでイーグルスは、新加入ながら今季ゲームキャプテンも務めた途中出場のFL古川聖人が2連続のスティールの姿勢。

さらにラインアウトから再びのスペシャルプレーで、後半34分、WTB石田吉平がダメ押しの6本目――と思いきや、ここはFLビリー・ハーモンのラストパスがスローフォワード判定。

すると最終盤、浦安D-Rocksが決定力ある敵陣アタックでチーム3本目。イーグルスは連敗を3で止めたものの、トライ差が「2」となってボーナス1点を逃す終幕となった。

 

指揮官は「今シーズン、なかなか波に乗れない原因があの場面(ボーナス1点を逃した最後の失トライ)に象徴されている」と振り返った。

ただ「改善できている部分はあります」として、今後の上位6チームが進出できるプレーオフへ向けての注力ポイントをこう語った。

「自分たちが大事にしているスタイル、グラウンドで全力を出し切ることなど、そういうベースの部分だと思います」

「今日もイーグルスらしいトライもありましたが、我慢強く、泥臭く、耐えて、耐えて流れを掴むのがラグビーというスポーツです。そういうチームの根っこの部分が増えてくるような準備をしていくことです」(イーグルス、沢木監督)

この日勝ち点で並んでいた沢木監督の古巣・東京サントリーサンゴリアスがボーナス1点付きで勝利したため、イーグルスはプレーオフ(PO)進出圏外の7位に転落。PO圏内復帰へ向けて、次節の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦での連勝を期する。

終盤に攻勢したものの12敗目を喫した浦安D-Rocks。

グレイグ・レイドローHCは「良いスタートが切れずに序盤から非常にもどかしい展開になりました。21点のビハインドから立ち直るのは厳しいものです」と語った。

「それに加え、セットピースで相手にプレッシャーを掛けられなかったですし、基本的な部分がうまくいっていなかったです。今日の結果はそれに尽きると思います」(浦安D-Rocks、レイドローHC)

浦安D-Rocksの次節の相手は、前身トップリーグ時代からのチームワースト失点(73失点)を喫したコベルコ神戸スティーラーズ。11位以下の入替戦回避へ向けて、こちらも必勝の一戦を迎える。

文:多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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