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【ハイライト動画あり】浦安D-Rocks、全勝で文句なしのディビジョン2優勝決める。ジャパンラグビー リーグワン、順位決定戦第3節レビュー
ラグビーレポート by 直江 光信飯沼蓮(浦安D-Rocks)
今季のディビジョン2を牽引してきた両雄の優勝をかけた大一番にふさわしく、互いの意志とプライドが激しく交錯する見応え十分の80分だった。ここまで負けなしの浦安D-Rocksは、さらに一段ギアが上がったような迫力ある攻守で文句なしの全勝フィニッシュを果たし、三重ホンダヒートも逆転でのタイトル獲得こそならなかったものの、真っ向勝負で4トライを奪って確かな地力を示した。ここで得た体感は、それぞれにとって入替戦へ向けての貴重な財産になるはずだ。
立ち上がりから緊張感に満ちた攻防が繰り広げられる中、先にペースをつかんだのはD-Rocksだった。パワフルな縦の推進力に風上のアドバンテージも利して敵陣でゲームを進め、ペナルティ奪取から迷わずタッチに蹴り出してラインアウトを選択。モールを一気に押し切ってHO金正奎が開始4分に先制トライを挙げる。
続く10分には中盤のキックレシーブからWTB石井魁が中央を破ってビッグゲイン。一連の流れでたたみかけ、FLタイラー・ポールがポスト脇に押さえる。あざやかな集中攻撃で14-0と先行した。
しかしヒートもここでふんばり、鋭いアタックでフェーズを重ねて相手の反則を誘発。タッチキック→ゴール前ラインアウトから力強くモールをドライブし、ペナルティトライを奪う。さらにこのプレーでD-RocksのFLポールにイエローカードが提示された。
15人対14人の数的優位に立ったヒートは、24分にもクイックスローからFBトム・バンクスが豪快なカウンターアタックで防御網をブレイク。そのまま早いリズムでボールを動かし続け、最後はラックサイドを突いたSH山路健太がゴールラインを越える。SOケイレブ・トラスクのコンバージョンも決まり、14-14と試合をふりだしに戻した。
シーズンを通して課題とされてきたペナルティで自ら流れを手放す格好となったD-Rocksだが、この日はここからがたくましかった。連続失点にも浮き足立つことなくしっかりと体を当てて状況を立て直し、34分にFWがショートパスとオフロードを駆使して相手防御の厚い部分を突破。サポートしたSH飯沼蓮がインゴールへ駆け抜ける。
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン2 順位決定戦
【第3節ハイライト動画】浦安D-Rocks vs. 三重ホンダヒート
前半終了間際には、自陣10メートル線付近のスクラムから飯沼が判断よく持ち出して大きく前進。スピーディーに球を動かしてディフェンスを揺さぶり、飯沼-石井でラックサイドをきれいに攻略する。勝負どころの大切な時間帯で実力を示す大きなトライを挙げ、28-14としてハーフタイムを迎えた。
14点差で始まった後半。次の1本をどちらが取るかによってゲームの流れが決まる。そんな重要な局面でスコアを刻んだのは、D-Rocksだった。
41分、グラウンド中央でキックモーションに入ったヒートSOトラスクに対し、NO8リアム・ギルが猛然と前に出てプレッシャーをかける。チャージしたボールが相手選手の頭ではねたところを手に収め、そのまま約40メートルを走り切った。
イズラエル・フォラウ(浦安D-Rocks)
PGを加え24点差にして迎えた60分には、自陣ゴール前に攻め込まれながらも粘り強く守り続け、相手がキックを蹴ったところで途中出場のFBイズラエル・フォラウがすかさずカウンター。CTBサミソニ・トゥア→WTB石井で80メートル近くを切り返し、勝負を決定づけるトライをマークする。
ヒートも気持ちを切らすことなくファイティングポーズを取り続け、64分にスクラムからのBK展開でFBバンクスが圧巻のフィニッシュ。68分にペナルティからの速攻でD-Rocksに7本目のトライを許したが、以降のピンチを粘り強いカバーディフェンスでしのぎ、陣地を盛り返す。
この日のハイライトといえるシーンが訪れたのは74分過ぎだ。ヒートがスクラムを起点に連続攻撃を仕掛けるも、D-Rocksも負けじと激しく体を当てて対抗し、攻守が入れ替わりながら4分以上プレーが続く。最後はD-Rocksのダイレクトタッチでようやくホイッスルが鳴ったが、疲労がピークに達する最終盤に繰り広げられた緊迫の攻防は、両者の意志と厳しい鍛錬のあとを感じさせた。
意地のぶつかり合いはロスタイムに入っても続き、相手ボールのラインアウトを奪ったヒートが力を振り絞ってアタックを仕掛ける。最後はFBバンクスがわずかなディフェンスの隙間を突き抜けてフィニッシュ。最終スコアを48-28としたところで、フルタイムを迎えた。
「我々はいい方向に向かっていると思います。順位決定戦の最初の試合(○31-12トヨタ自動織機シャトルズ)は納得のいく勝利ではなかったが、今日は80分間フルに戦うことができた」
全勝でディビジョン2優勝を決めたD-Rocksのヨハン・アッカーマンヘッドコーチは、この試合を終えての手応えをそう表現した。レギュラーシーズンの対戦では35-27、20-10と苦しんだ相手から、7トライ48点を奪っての完勝。シーズンのクライマックスに向け、イメージ通りにチームが仕上がりつつあることを実感しているのだろう。
敗れたヒートも随所に見せ場を作り、ディビジョン1に手の届く存在であることを証明した。「前半攻撃でいい形を作れていたが、最終的にプレッシャーをかけきれなかった。チャンスを作り出したところでどう取り切るかというところが、次に向けての課題」とは上田泰平ヘッドコーチ。この日欠場したパブロ・マテーラ、ヴィリアミ・アフ・カイポウリのFWの主軸2人が戻ってくれば、この部分は大幅に改善されるはずだ。
D-Rocksが花園近鉄ライナーズと、ヒートがNECグリーンロケッツと激突する運命の入替戦は、中2週の準備期間を経て5月5日から2週にわたってホスト&ビジターの2回戦で行われる。ディビジョン1勢へのチャレンジが楽しみになる、内容の濃い熱戦だった。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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