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目標はベスト8(写真提供:関大北陽ラグビー部)
3月25日から31日にかけて、今年も埼玉・熊谷ラグビー場を中心に行われる全国高校選抜ラグビー大会。強豪ひしめく大阪府予選、近畿大会を勝ち上がり、初めて自力で出場を果たしたのが、4大会ぶり3度目の出場となる関大北陽(大阪)だ。
近畿大会でベスト4に進出(写真提供:関大北陽ラグビー部)
関大北陽は2年連続の花園予選決勝に進出するなど、大阪の強豪の1つとして知られている。1月の大阪府予選Dブロック決勝では36-0で大阪産業大附属に勝利し、近畿大会に出場した。2月の近畿大会では2回戦で関西学院(兵庫)を24-0と零封で下してベスト4に進出、選抜出場を決めた。なお、準決勝では同じ大阪の大阪桐蔭に7-30、3位決定戦では報徳学園(兵庫)に5-24で敗れた。
野球やサッカーの強豪で知られる北陽高校か、2008年から関西大学の併設校となって、「関大北陽」となり、2010年に中学が新設されてラグビー部が創部。続く2013年には、高校にもラグビー部が創部された。1期生が中学3年となる2012年のタイミングで、トップリーグのヤマハ発動機(現・静岡ブルーレヴズ)でバックローとして7年間プレーした梶村真也監督(41歳)が赴任した。
梶村監督
梶村監督は東海大仰星では副将として「花園」こと、全国高校ラグビー大会を制し、東海大ではキャプテンを務めた。なお、関大北陽の田中敦夫校長は元・東海大仰星の教諭。そして東海大大阪仰星で選手、コーチ、指揮官として6度の優勝に携わった湯浅大智監督は、梶村監督の高校、大学の同期にあたる。
「もともと教員志望ではなかったですが、母親や兄弟が教員で、縁やつながり、出会いもあり、現在の立場になりました。ラグビーに対しての捉え方、考え方、戦術、戦略以外にも人のつながりを大事にし、ラグビーをする前に1人の人間としてしっかり行動するなどは、仰星時代の(監督だった)土井(崇司)先生(現・東海大相模校長)の教えです。湯浅監督は普段から仲の良い友人ですが、彼の持っている力に憧れています」(梶村監督)、
関大北陽の高校にもラグビー部ができることが決まると、梶村監督は大阪府の中学校やスクールに声を掛けて、少しずつ強化を進めていった。昨季で大阪府予選の花園決勝に5度目の挑戦となったが、「高い壁」と監督が言うとおり、常翔学園の前に0-21で敗れた。
現在、部員は2年生28名、1年生22名の計50名。全体の1/3ほどが関大北陽中学から生徒で、大学も関西大に進学する選手がほとんどだ。「北陽中の子たちが主軸となり、(中高大と)連携しながら取り組んでいます。大学にも年数回訪れて、ユニット練習をさせてもらっています」(梶村監督)。
過去2回は推薦枠で出場だったが、今年の選抜大会は近畿大会で堂々のベスト4となり出場を決めた。ディフェンス、そしてモールが武器だ。梶村監督は「1つ1つ段階を踏んでいると思います」。
「今季のチームは先輩が残してくれたもの、経験を積んで、その中で、我慢のできる選手がたくさん揃っている。ディフェンスの部分では本当にゴールラインを割らさないのがチームの文化になりつつある。自力で選抜に出場し、生徒たちも自信になった」と目を細めた。
永井キャプテン(右)と羽根田副将
朝練習で他の部員とタックルを繰り返しているというキャプテンNO8(ナンバーエイト)永井玲雅(2年)は「素直に選抜に出場できてうれしい!前に出るディフェンスをやってきましたし、FW(フォワード)の接点の部分では自信があります」。
関大北陽中出身の副キャプテンSO(スタンドオフ)羽根田陸(2年)も「(全国の)大きい相手でも強くタックルで刺さって、マイボールにして敵陣でずっとプレーし続けることを意識したい。SOとしてはキックゲームに勝って 他のBK(バックス)を活かしていきたい」と話す。
キャプテン、副キャプテン以外にも、FWではHO(フッカー)小田隼平、LO(ロック)宇田大晟、FL(フランカー)川部颯人、BKではスピードのあるCTB(センター)白石空、身体を張るCTB福永航世(いずれも2年)がチームの中心だ。
1回戦では國學院久我山と戦う(写真提供:関大北陽ラグビー部)
選抜大会の1回戦は強豪の國學院久我山(東京)と対戦。勝利すると2回戦では東海王者・中部大春日丘(愛知)と東海大福岡(福岡)の勝者と対戦する。もし、2回勝てば目標に掲げるベスト8となり、花園初出場に向けても大きな弾みになるはずだ。
梶村監督は「ラグビーファンなら誰もが知っている久我山さんと全国の舞台で、公式戦で対戦することができるのは、個人的にも楽しみ。自力で初の全国大会なので、チャレンジして、いろんな人に北陽のラグビーを知ってもらいたい」と話す。
また、永井主将は「久我山さんは縦に出てくるチームなので、どれだけディフェンスが通用するか楽しみ。相手のトライを2本以内に抑えたい。積極的に攻めてトライも取りたい」と意気込んだ。
関大北陽の恒常的なスローガンは「力戦奮闘」、そして今季、選手たちが決めたテーマは「結(ゆい)」だ。永井は「『結』のスローガン通り(選抜大会では)チーム一丸となって戦いたい」、梶村監督は「大阪の花園予選を勝ち上がるにはベスト8に入るチームにならないといけない。楽しみながらチャレンジします」と心を躍らせている。
文:斉藤健仁/写真提供:関大北陽ラグビー部
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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