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ラグビー コラム 2023年2月27日

【ハイライト動画あり】「実行力」にフォーカスして9連勝。 埼玉ワイルドナイツ、神戸スティーラーズの挑戦を跳ね返す。

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1

【第9節ハイライト動画】コベルコ神戸スティーラーズ vs. 埼玉ワイルドナイツ

堀江翔太(埼玉ワイルドナイツ)

ゲームが動き始めたのは、後半7分、両チームがFW第一列の3人を一気に交代させてからだ。埼玉WKはクレイグ・ミラー堀江翔太ヴァル アサエリ愛。神戸Sは、五十嵐優、北出卓也具智元。五十嵐以外は日本代表経験者である。具は神戸Sの試合には一年ぶりの復帰だった。この直後、神戸Sのカウリートウイオティが松田への危険なタックルでシンビン(10分間の一時退場)となってしまう。松田も自身史上初のHIAで退場するが、埼玉WKは山沢がSO、野口がFBという本来のポジションに戻って問題なくカバーする。この危険なタックルで得たPGチャンスを山沢が決めて、13-10とすると、後半16分、相手の反則で得たラインアウトのモールから堀江翔太がトライして、20-10とリードを広げる。

5分後、自陣で得たPKからトライが生まれる。タッチキックで前進すると、ハーフウェイラインを少し越えた左のラインアウトからまずはフィールド中央で縦に2度突進。ここで、右に位置していた山沢、野口が一気に左方向に走り、山沢の突破から野口につないで連続トライ。相手の反則を確実に得点する埼玉WKの真骨頂が発揮された連続トライだった。これでスコアは、27-10となり、流れは完全に傾く。心身ともに疲労が出てきた神戸Sの心を折るように、埼玉WKはボールを自在に動かしながら、交代出場のSH小山大輝らが、さらに3トライを畳みかけた。

「スティーラーズも結果が欲しい試合でした。何としても勝とうとして立ち向かってくるのは分かっていました。それに勝ち切れて良かったです。小山大輝がリーグ50キャップでトライがとれたことも嬉しく思っています」(ロビー・ディーンズ監督)。坂手淳史キャプテンは「きつい時間帯もありましたが、我慢強くディフェンスができて良かったです。ここがチーム力の出るところなので」と話し、「今回は、実行力ということにフォーカスして神戸に来ました。後半はそれによってモーメンタム(勢い)を作ることができました。それを前半からできるように頑張ります」と、貪欲に語った。ディーンズ監督は流れが変わった瞬間について問われると、こう解説した。「スティーラーズにカードが出ましたね。ああいう場面が大事です。相手が一人少なく、疲れが出てきたところで効果的なアタックをできたことが、モーメンタムにつながりました」。

野口竜司(埼玉ワイルドナイツ)

神戸Sの橋本皓キャプテンは落胆した表情で語った。「後半、徐々に崩されて(精神的にも)切れた感じになってしまいました。前半のチャンスにトライが取れなかったことが悔やまれます」。その言葉通り、ディフェンス突破の数は、25対24で埼玉WKがひとつだけ上回っているだけだった。チャンスを確実にものにする力に差があったということだ。プレーヤー・オブ・ザ・マッチは野口竜司。埼玉WKでは初めて11番(WTB)を背負って出場したが、反則を誘うタックル、チャンスを作るカウンターアタック、そして2トライと、与えられた役割を果たして9連勝に貢献した。

文:村上 晃一
村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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