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日本代表に合流した松島(左)と姫野 (C)JRFU
6月26日(土)のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦に向けてスコットランド・エディンバラで合宿中のラグビー日本代表。
22日(火)にオンライン会見を開き、合流したばかりの「海外組」WTB(ウィング)/FB(フルバック)松島幸太朗(ASMクレルモン・オーヴェルニュ/フランス)とNO8(ナンバーエイト)姫野和樹(ハイランダーズ/ニュージーランド)の2人が登壇した。
フランスリーグ「トップ14」のプレーオフで敗れた松島はフランスから6月19日(土)に、姫野はニュージーランドでの試合後、飛行機の乗っているだけで24時間ほどの長時間移動を経て、21日(月)に合流した。松島、姫野ともにライオンズ戦には問題なく出られる状況だという。
髪の色を金髪にした松島は新生日本代表に合流して、「練習も2~3回しかやっていないのであまり(変化は)ないですが、意識はみんな高く、チームとして成長していくと思うので継続していきたい」とコメント。
長距離の移動で「疲れている」という姫野は、「フレッシュなメンバー、新しい選手が多くいるので、変化というか、新鮮な感じ。(そういった選手の)顔を見て、自分も改めて代表のジャージーを着る喜びを感じました」と率直に話した。
2人は大活躍した2019年ワールドカップ以来となる、桜のジャージーを着ての日本代表戦を迎える。
松島は「楽しみという感じですね。ライオンズとできる機会はないですし、みんな緊張すると思いますが、ワクワクの方がずっと高い。新しいチームですし、そういった楽しみもあります」と話した。
また、姫野も「すごくワクワクしています。桜のジャージーを着られることはどんな時でもどんな状況でも、自分にとって名誉なことだし、僕の中で大事なジャージーなので、このジャージーを着られるのはいつだってうれしい」と語気を強めた。
今季、松島と姫野は日本のトップリーグではなく、海外で充実したシーズンを過ごした。
フランスで活躍した松島
松島はクレルモンでリーグ戦とハイネケン・チャンピオンズカップと合わせて27試合に出場し、11トライを挙げて欧州最優秀選手賞にもノミネートされる快挙も達成した。
姫野も日本代表コーチも務めるトニー・ブラウンが指揮するハイランダーズでプレーし、スーパーラグビー・アオテアロア(ニュージーランドの国内リーグ戦)で新人賞を受賞。続くトランスタスマン(スーパーラグビーのニュージーランドとオーストラリアの交流戦)で決勝に進出した。
海外での経験をどう日本代表に還元していくかを問われ、松島は「27試合も出られると思っていなかったですが、フィジカル的にも成長できた。ハイボール(キャッチ)もそうですが、一番はボールキャリーのところでしっかりゲインを切っていくという役割があるし、一番、影響を与えられると思う」。
姫野は「(経験してきたことを)毎秒、毎秒、出していきたい。自分の強みの部分、ボールキャリー、ジャッカル、そしてスーパーラグビーでディフェンスも成長した手応えがあるので、そこも出していきたい」と意気込んだ。
ラグビー日本代表が、初めてライオンズと対戦することに関して松島は、「選手としてもしかしたら、もう(ライオンズ戦は)ないかもしれないし、この先、いつあるかわからないので、すごく重要な一戦だと思います。今回の対戦で日本代表が勝てばライオンズも(また対戦を)考えてくれると思うので、この試合は日本ラグビーにとっても重要な一戦だと思います」。
姫野も「ライオンズと試合をするとなって時点で、出たいと思っていましたし、ライオンズ相手に自分がどれだけやれるか知りたいし、ラグビー選手として光栄なことなので、こういう(準備の時間がない)状況ですが、言い訳なしでやっていきたい」と話した。
新しいラグビー日本代表になったが、2人とも「(2019年ワールドカップ時と)戦術はあまり変わっていない」と口を揃えており、合流間もないが、すぐにアジャストできそうだ。
また、日本代表36人中、13人のノンキャップの選手がおり、バックスリーにはWTBセミシ・マシレワ、シオサイア・フィフィタ(ともに近鉄)など4人の新しい選手がいるため、松島は「どの選手いい選手ですし、向上心もあるのでバックスリーとしてもチームとしても成長できます。みんな、いいランニングスキル持っているので、自分がディフェンスをしているとき、こういうステップ切ってくると勉強になりますし、新鮮なので楽しい」と目を細めた。
ニュージーランドで活躍した姫野
姫野は「リーダーとして若いですけど、新しい選手や若い選手のメンタル的な手助けをやれたらいいと思っています。ノンキャップの選手はみんな注目していますけどね。同じポジションのNO8テビタ(・タタフ/サントリー)はパワフルなランナーなので、ちょっと注目しています」と話した。
会見時、姫野はまだ「メンバーを見ていない」と話したが、「軽く見た」という松島は「キックが多くなりそうな9番(コーナー・マレー)、10番(ダン・ビガー)なので、そこはバックスリーとして気をつけたい」。
「9番のハイボールは高いボールを上げてくる分、相手のWTBも詰めてくる時間も多くなるので、キャッチする選手を周りがサポートすることが一番大事ですし、ボールをこぼしても周りの選手が取ってピンチを少なくする(ことが大切)」と冷静に話した。
改めて、ライオンズ戦に向けて松島は、「この一戦で自分がいいプレーすれば、また注目されると思いますし、チームとしてライオンズに勝つことができれば、チームとして注目されると思うので、モチベーションは個人的にも、チーム的にもすごくあると思うので、みんな気合いが入っています」。
「ジャパンはチャンスがあればすぐ展開ラグビーというところができるし、キッキングゲームもできると思うので、自分たちがスマートにやって攻撃する時間を増やしていきたい」と腕を撫した。
また、姫野も「こう(準備が短い)いう状況ですが、ジェイミー(・ジョセフHC)が信頼して使ってくれるなら、自分の100%を出したい。言い訳をせずに100%の力を出すのがプロフェッショナルだと思う。最初から負けるつもりで準備する選手はいないですし、もちろん勝つ気でやります。勝つ気で準備をしていますし、勝てると信じてやっています」と真っ直ぐ前を向いた。
36名中、2人しかいない頼もしい「海外組」が合流し、新生ラグビー日本代表も選手層が厚くなったことは間違いない。心身ともに一回りも二回りも大きくなった、国際経験豊富な2人の存在と経験がチームをさらに強くする。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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