人気ランキング

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム一覧

モータースポーツ コラム 2026年5月12日

限られた環境とプレッシャーの下で結果を出す。それが自分の”仕事”

SUPER GT by 島村 元子
  • Line

小山美姫(No.31 apr LC500h GT)

今シーズン初の3時間レースが行なわれたSUPER GT第2戦。レースウィーク中は8万4千人近い観客が富士スピードウェイを訪れ、恒例のゴールデンウィーク決戦を堪能した。そんななか、GT300クラスでは、No.31 apr LC500h GTが開幕戦に続いて表彰台を獲得する好調ぶり。GT300クラスではNo.31 apr LC500h GTが開幕戦に続いて表彰台を獲得。小高一斗、小山美姫、そして第3ドライバーのチャーリー・ブルツが3時間レースを戦い抜いた。SUPER GT史上初となる女性ドライバーによる2度目の表彰台を達成して自ずと注目の集まる小山だが、本人は「結果を残して実力を示していきたい」と冷静に受け止め、戦いにいっそう情熱を傾けている。

J SPORTS オンデマンド番組情報

今シーズン、チームでは2年ぶりにチーム復帰を果たし、31号車をよく知る小高がセットアップを担当。小山はそのクルマで予選、決勝を戦うことに専念する。それが今シーズンの彼女に与えられたミッションとなるのだが、用意されたクルマでタイムを出すことにおいて、極めて条件は限られるという。「作られたクルマに自分が合わせていかなきゃいけないので、すごくプレッシャーがあります」。走行時間も限られ、当然ながらニュータイヤを装着する機会も少ない。とくに、富士ではブルツが初のSUPER GTだったこともあり、いつも以上にステアリングを握る時間が限定された。それでも、担当した予選Q1・A組では2番手タイムをマーク。Q2へと駒を進め、小高へと繋ぐ仕事を果たした。「こういう環境のなかで速く走らせる力を磨くことができれば、どんなカテゴリーでも役に立つと思います。上のカテゴリーに行けばいくほど走行時間は限られると思うんですが、そこで乗りこなせるようになれば、スキルとしての幅も広がると思います」。

実力がモノを言う世界に身を置く以上、すべては試練と前向きに捉えて挑戦を続けること。それが今の小山を支えていると思われる。例えば、昨年、SUPER GTにフル参戦を果たしたときは「2024年のリル・ワドゥ以来」と紹介され、今年の開幕戦岡山で自身初の3位表彰台に上がったときは「SUPER GTに参戦する日本人女性として、初の表彰台を獲得」と言われた。そして今回の富士では「SUPER GT史上初となる女性ドライバーによる2度目の表彰台」──とにかく何をしても”女性”という枕詞が付いてくることは、避けられない。本人も、かつては違和感を抱いてというが、今はこのようなクローズアップに関しても自分なりの”着地点”を見つけている。

「注目してもらえることをありがたく思っています。ただ、女性だからここにいるんじゃなくて、実力でここにいることを示さなきゃいけない」と小山。”女性だから乗れている”という声も未だに聞こえてくる。だが、モータースポーツ界の中へ入れば入るほど、感情的思考は薄らいだ。「そう言わせるのも、言わせないのも自分次第だと思っているんです。もし“女性だから”って言われるなら、まだ自分が実力を示せていないということですよね」。自分なりに受け止め、心の中に落とし込んだことで、変化が表れたのではないだろうか。シーズン2年目の小山には張り詰めた雰囲気がなく、より自然体で戦っている印象を受ける。「見てる人はちゃんと見てくれているので、分かってくれる人だけ分かってくれればいい、と思うようになりました」。肩の力を抜いてまっすぐにレースに向き合うなか、新たな課題も見えてきた。「速さだけじゃなくて、燃費を稼げる運転も必要ですし、コース上でのGT500車両の使い方ももっと賢くやらならなきゃいけない。去年より、“GTで速く走るために必要なこと”が具体的に見えてきています。その上で、もっと速さを示したいですね」。

J SPORTS 放送情報

敢えて”女性ドライバー”として、レースに憧れを持つ子どもたちに何を伝えたいかたずねたところ、「言葉で伝えるのは得意じゃない」と笑う小山。「どんなに批判されても自分はそれを力に変えられるので、チャレンジする姿を見せることで勇気を与えられたらと思っています。できないと思われていることを跳ね返したときに、“自分もやれるかもしれない”って思ってもらえると思うんです。だから、言葉よりも、自分がチャレンジし続けることで示していきたいですね」。

飾ることなく、等身大でレースに挑む小山。その静かな闘志を力に、”結果で語る”戦いを続けていくことだろう。

文:島村元子

島村元子

島村 元子

日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
モータースポーツを応援しよう!

モータースポーツの放送・配信ページへ