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モーター スポーツ コラム 2025年6月11日

WECの檜舞台、24時間の祭典

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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写真は第2戦の様子

世界耐久選手権(WEC)シリーズのハイライトであるル・マン24時間レースが今週末に開催されます。今回93回目となる同イベントに62台のマシンがエントリー。トップカテゴリーのハイパーカークラスは、2025年シーズンの開幕戦から一気に参加メーカーが増えて8メーカーの21台が伝統の24時間レースに参加。WECの一戦として行われるイベントではあるけれど、この一戦にかける参加メーカーの意気込み、情熱は他のレースのそれとは熱量が違う。歳をとると昔のことを振り返ることが多くなるので、この先を読み進めていただく方にはご容赦願います。

ボクが初めてル・マンを経験したのは1983年。少年時代に映画「栄光のル・マン(邦題)」を観てから12年後。その頃のル・マンの街並み、そしてサルテサーキットは、映画のそれとそれほど変わらない印象だった。チームのホスピタリティなど皆無。パドックエリアは、狭く、雨が降れば、泥水が斜面を流れてレーシングカーも水浸し。ピットエリアも狭く、レース中にピットを歩くのには、ピットロードを行くレーシングカーに接触しないように注意し、移動するのも大変だった。自動車メーカー同士の覇権を争う様は、今と変わらないものがあったけれど、極小メーカー、コンストラクターが繰り出す手づくりレーシングカーが多く、奇抜なアイデアを盛り込んだ車両のオンバレード。パーマネントセクションから公道セクションに出るテルトル・ルージュからミュルサンヌ・コーナーまでのユノディエールで最高速を記録するだけを目的に参加するチームもあったりした。当時、当地でお会いした先達の徳大寺有恒さんが、「ル・マンは、偉大な草レースだ」と仰っていたのを思い出す。そう、現代と比べれば、スマートさはなかったかな。時間が経つにつれてレーシングマシンに魂が宿って有機物に思えてきた。人馬一体=人車一体で24時間後のゴールラインを目指す。現代では、マシンのテクノロジーが進歩してきたことで、その有機物感は薄いかな。2004年にはル・マンに一員として参加させていただいたチームが優勝を果たすという経験もさせていただいた。良い思い出。

6月の夏至に近い週末。24時間レースが再びスタートを切る。近年はとても華やかさが際立ってきて、お祭りムードが高まってきているけれど、このレースに参加する意味合いは、日本的な表現なら【檜舞台を踏む】ということでしょうね。

テストデーを経て、公式練習走行からライブでル・マンの模様を観ていただけます。そのテストデーでトップタイムをマークしたのはTOYOTA GAZOO Racingの8号車。幸先良いスタートとなったようです。

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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