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モーター スポーツ コラム 2025年5月13日

“タイヤ水”疑惑ふたたびーーマクラーレンの快進撃にレッドブルが揺さぶり

F1コラム by J SPORTS 編集部
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オスカー・ピアストリと抱き合うザック・ブラウン(写真右)

オスカー・ピアストリと抱き合うザック・ブラウン(写真右)

2025年のF1は第6戦マイアミGPを終え、マクラーレンが圧巻の勢いを見せている。オスカー・ピアストリとランド・ノリスが躍動するチームは、2位のメルセデスに105ポイント、3位のレッドブルに141ポイント差をつけてコンストラクターズランキングの首位を独走。特に高温下でも安定するタイヤマネジメントが他を圧倒しており、ここに来て再び疑惑の目が向けられている。

発端はドイツの専門誌『Auto Motor und Sport(AMuS)』の報道だ。レッドブルがマクラーレンのピットストップの様子をサーマルカメラで分析したところ、間接的にタイヤの温度に影響を与えるブレーキ周辺の温度が青、すなわち冷却されている状態を示したという。他チームが赤やオレンジに発熱するなか、マクラーレンだけが異様な冷たさを保っていたとされる。

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AMuSによれば、レッドブル陣営は「空気だけでこれほどの冷却性能を得るのは不可能」とし、マクラーレンが何らかの特殊手段を用いている可能性を示唆している。

2024年のサンパウロGPでもレッドブルは同様のことを指摘し、マクラーレンがタイヤに空気を入れる際に少量の液体も入れて冷やしているのではないかと主張。FIAによる調査が行われたが、ルール違反は確認されず、疑惑は退けられている。タイヤを提供しているピレリも異常は見られないとの見解を示した。

これらの疑惑に対し、マクラーレンのザク・ブラウン代表はユーモアと皮肉を交えて応戦。マイアミGPのパドックで、自ら「Tire Water(タイヤ水)」と書かれたボトルを手にする姿を見せた。『ESPN F1』がInstagramに投稿した動画では、「味も最高だよ」と軽妙なコメントを残している。

一方でブラウンは、こうした根拠なき中傷がF1界で常態化していることに懸念を示した。『Motorsport.com』によれば、「技術的な疑惑を軽々しく口にすることが、スポーツとして健全ではない」とし、抗議に一定のコストを伴わせるべきと提言。具体的には、FIAの既存制度に加え、公の場で他チームへの疑念を口にする場合にも文書化と金銭的負担を求めるルールを設けるべきだと主張した。

「その金額を払ってでも主張したいほどの正当性があるかどうかを問われる。自車のパフォーマンスに投資するか、抗議に投資するか。私は間違いなく前者を選ぶ」と同誌はブラウンのコメントを取り上げている。

当然、黙っていないのがレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表だ。

『Planet F1』によれば、レース週末にはブラウンに「元気がないならレッドブルを1本送ってやろうか」と軽口を飛ばしていたが、マクラーレンが30秒以上の差をつけて1-2フィニッシュを果たした直後には、真剣な面持ちで報道陣の前に現れた。

『GPblog』などの取材に応じたホーナーは、「F1では常に疑念が持ち上がるものだ。昨年は、マクラーレンがわれわれのフロントサスペンションについて同じようなことを言ってきた」と過去を引き合いに反論。FIAに代わってリソースが潤沢な各チームが、相互に分析を進めている現状を肯定的に捉えている。

この騒動にメルセデス代表のトト・ヴォルフも加わった。オランダの『RacingNews365』や『GPblog』によると、「ザクやアンドレア(ステラ)、ロブ・マーシャルといったマクラーレンの面々は誠実な人たちだ」と断言。「マクラーレンはルールの範囲内で、見事な仕事をしている。他チームの成功を、すぐに不正と決めつけるべきではない」と苦言を呈したという。

これから夏に向けてヨーロッパ各地でのレースが続く中、マクラーレンのタイヤマネジメントには一層の注目が集まりそうだ。

文:J SPORTS編集部

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