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第1戦で勝利したau TOM’S GR Supra
今年は、思いのほか寒い決勝日となった開幕戦の岡山。雨からドライアップする難しいコンディションとなった決勝は、安定した速さと高いチームの総合力が勝負のカギとなった。その戦いからまだ1ヶ月経たないなか、大型連休中の5月3日(土)、4日(日)に静岡県・富士スピードウェイで第2戦「FUJI GT 3Hours RACE GW SPECIAL」が開催される。3時間の戦いをいかにマネージメントするのか、見どころ多い一戦となるだろう。
・やはり強かった1号車
岡山での戦いは、終わってみればディフェンディングチャンピオンであるNo.1 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)が勝利。改めて1号車の強さを再認識する結果だった。予選では、決勝で2位となったNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)がQ2でコースレコードを更新してポールポジションを掴み取るも、レースになると1号車が理想的なレース運びを見せ、連覇に向けて最高のスタートを切ることになった。また、1号車、14号車に続き、3位にNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)が表彰台に上がったことで、改めてSupraのパフォーマンスの高さをライバルに見せつけることにもなった。オフシーズンテストからライバルたちはトヨタ勢の速さを警戒していたが、早々にそれが実証された形だ。
今回の富士は、岡山戦の結果に基づき、サクセスウェイトを搭載して臨む一戦となる。1号車の場合、優勝して手にしたポイントは20点。累積ポイントを2kgに換算するため、40kgを積む。また、予選は再びノックアウト方式が復活、Q1、Q2でニュータイヤを装着できることから、サクセスウェイトが軽いもしくはノーウェイトのチームが俄然有利となる。となれば、1号車はポールポジションよりもむしろ着実なレースを意識した戦いになるだろう。
・開幕戦で奮闘のチーム。富士では?
開幕戦では残念ながら結果を残せなかったものの、一矢報いたいと今回巻き返しを狙うチームも少なくない。とりわけ、この富士をホームコースとするトヨタ勢は勝ちを意識しないわけにはいかない。なかでも、No.38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)やNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)の2台が該当するのではないか。降雨によってセーフティカースタートとなった岡山戦で、38号車は予選6位からスタートを切るもレーススタート直後にスピンして他車と接触、クラッシュで初戦を終えた。一方の37号車は、14位スタートながら粘り強くポジションアップを果たして3番手でチェッカーを受けたが、レース中に他車との接触があり、タイムペナルティを課され最終的に5位止まり。しかしタフなコンデイション下での健闘を見る限り、ライバルたちがマークせざるを得ない存在になったはず。岡山戦で表彰台を独占したトヨタ勢の強さを踏まえれば、今回も優勝争いに名乗りを上げてきたとて不思議ではない。
もちろん、ニッサン、ホンダのチームも負けてはいない。昨年の3時間レースを制した3号車をドライブした高星明誠は、移籍してNo.23 MOTUL AUTECH Zをドライブするが、コンビを組む千代勝正とは2年ぶりのコンビ復活となり、コミュニケーションに何ら心配ない。また、昨シーズンは、千代、高星ともにタイヤがミシュランからブリヂストンにスイッチした初年度だったため気苦労も多かったが、今シーズンはデータも揃い、”引き出し”も増えている。是が非でも23号車としてのシーズン初優勝を果たしたいはずだ。また、ホンダ勢としては、岡山戦を4位で終えたNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)、そして100号車より前でチェッカーを受けるも、ペナルティでポジションを下げたNo. 8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治)あたりが候補になりそう。安定感がウリの100号車、コンビ力に期待が集まる8号車の存在はともに侮れないものがある。いずれにせよ、チャンピオン獲得を意識する以上、序盤での好成績達成は避けては通れない必須条件と考える。
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【限定】SUPER GT 2025 第2戦 富士スピードウェイ 公式練習
配信期間 : 2025年5月3日午前8:55 ~
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・タイヤマネージメントもカギに!?
2024年に導入されたタイヤの持ち込み本数は1台あたりドライタイヤ4セット、ウェットタイヤ6セットとなっているが、今回は3時間の長時間レースになるため、ドライ6セット、ウェット8セットの使用が可能となる。加えて、GT500クラスの場合、第1戦で優勝できなかったタイヤメーカーに対し、ドライの持ち込み本数を1台あたり1セットの追加を認めている。天候によってはタイヤに負荷がかかりやすい状況のため、ノックアウト予選ではQ1、Q2それぞれニュータイヤを投入できるため、タイヤの種類を使い分けるチームも出てくるのではないだろうか。ちなみに、昨年の大会では気温は23〜24度で推移、路面温度においては40度でスタートし、中盤には42度まで上昇。夕方のゴール直前で35度まで下がった。また、レース中には給油を伴う2回のピットインが義務付けられているが、おそらく3時間を”均等割り”するスタイルを基本とするピット作業になると思われる。このため、ドライバーにはタイヤを労る走りが求められる。とくに好天気に恵まれて気温、路面温度が上昇することになれば、タイヤマネージメントは大事なファクターと言える。確かに、奇をてらう戦略で一発逆転……というギャンブルのような展開もレースの醍醐味だが、確実なレース運びを完遂させることもまた容易ではない。チームの力がひとつとなり、誰ひとりミスなく仕事を成し遂げて掴むことができる勝利に向けて、各チームが見せる緻密な戦略を見届けたい。
なお、この富士でSUPER GT初となる3時間レースが行なわれた昨年は、レース中に1度だけフルコースイエロー(FCY)が導入され、トップ車両が117周を走破するなかでチェッカーを迎えた。果たして今年は周回を増やすことができるのだろうか。予選タイムをはじめとする過去のデータを参考に、比較しながらレースを観るのもおもしろそうだ。
・混沌とするGT300。どこが抜け出す!?
開幕戦同様、28台が参戦するGT300クラス。岡山戦では、チャンピオン経験のあるチーム、今シーズンから新体制となったチームが表彰台を分け合う結果となった。また、その傾向は予選でも見られ、まさに各車両が持つ特性が如実に現れたといえよう。2022年シーズンの参戦が最後となっていたポルシェ911 GT3 Rを復活させたNo.666 seven x seven PORSCHE GT3R(藤波清斗/近藤翼)も新規チームながら8位入賞でデビューレースを飾っており、この先は”台風の目”になりそう。また、今回は第3ドライバーの出場も認められるため、チームの采配も見逃せない。
昨年は、クラスチャンピオンとなったVENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)がこのレースでシーズン初勝利。ここからチャンピオンへの道が始まったわけだが、総体的に見ても、実力あるチームが手堅くレースをまとめ上げて表彰台をモノにしている。今年はゼッケン「0」を付けて挑む小暮と元嶋だが、岡山戦を9位で終えており、やや”不完全燃焼”といったところか。どうやらGT300ならではのBoP(性能調整)の影響が大きいようだが、実力あるチームが富士に向けてどう調整してくるのか、その点も含めて注目したい。
公式テストは雨が多く、存分にドライコンディションでのデータが手に入ったとは言い難いが、富士で2度目となる3時間の戦いゆえ、各チームともライバルに”一泡吹かせる”戦いを見せてくれるのではないだろうか。この富士戦が終われば、第3戦は2019年以来となる海外戦のセパン大会が待っている。好結果を手にシーズン中盤へ向かいたいと誰もが意欲を燃やしていることだろう。
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【先行】SUPER GT 2025 第2戦 富士スピードウェイ 予選
配信期間 : 2025年5月3日午後2:15 ~
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SUPER GT 2025 第2戦 富士スピードウェイ 決勝
配信期間 : 2025年5月4日午後1:00 ~
文:島村元子
島村 元子
日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。
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