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笹原右京選手(No.16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT)「雨が降ってきたときの判断として、僕らの頭の中にはもうステイアウトしかなかった」
SUPER GT あの瞬間 by 島村 元子──チームとしてステイアウトするのが良いという確信があった。つまり、あれはギャンブルではなく戦略のひとつだったのですね。
笹原:そうです。もちろん、最終的にFCY(フルコースイエロー)とか、そういった部分に助けられたっていうのは大きいと思うんですけど、あのタイミングであの順位にいられたことがまず一番大きかったと思います。チーム自ら(表彰台を)掴みに行けたのは、やっぱりこのステイアウトっていうところがあったと思います。あれは、表彰台に乗れるか乗れないかの流れを自分たちが作った大きな一歩だったと思います。
──同時ピットインとなった23号車にはコース復帰時に逆転されてしまいましたが、コースに戻ると大湯選手が活躍を見せました。その様子をどう見ていましたか?
笹原:まずステイアウトしてからもしっかりコースに留まって、他車の(タイヤ)パフォーマンスも影響してか、順位もアップすることができました。ウェットタイヤに替えてからも、確実に今何をすべきかっていう目的をしっかり持って、走りで表してくれたのがわかりましたね。ウェットでもダンロップ勢が速く見える場面もあったと思うんですけど、実は周りのパフォーマンス(の関係)で結構(ペースの)上がり下がりが激しかったり、やっぱり速いところとしては、ミシュランの2台(3号車、23号車)が圧倒的にズバ抜けて速かったので、その中で今大事なことは何なのか、全開でプッシュすることなのか、タイヤをうまくケアしつつもしばらく耐え忍ぶのかっていうことを、僕たちの今までのレース経験値とかその辺の勘みたいな部分で……彼もすごい頭を使ってレースしてたのかなと。その点は本当によく耐えてくれたなって思います。
──36周終わりで笹原選手に交代。引き続きウェットタイヤを装着しましたが、その後コースコンディションが急速に変化しました。
笹原:ウェットタイヤでコースインしたんですが、思った以上に「多分これ、急速に(路面が)乾いてきちゃうな」っていう状況でした。それこそドライバーの心情としては、“コースインしたら最初から最後までとにかく全開で(アクセルを)踏み倒して攻め続けたい”っていう思いはあるんですが、今それをやってしまったら、その先に繋がらないかもしれないという部分が非常にありましたね。本当はもっと速く走れるのに、そうしちゃいけないというか……。葛藤がすごくあったんですよ。ただ、ガマンすることによって先に繋がるっていう、なんとなくの感覚があったので、大湯選手もそうだったんですけど、“耐えるレース”、“ガマンする大切さ”っていう……その思いがありましたね。 ただ、ガマンする、つまり頭をよく使って最終的にどこを目指すのか、何を得るのかっていうところが目的としてしっかりとあったので、コースインのあと、順位はもちろん落としたくないけど今ここで順位を落としても何をすべきかを徹底してやれたことが、その次にドライタイヤに替えるタイミングであったり、展開や流れを引き寄せられたのかなと。レースを振り返ると、それがふたつ目のポイントだったかなと思います。
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