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雪不足のモンテ、スウェーデンを終了し、早くも欧州外ツアーの開始です。今シーズンからシトロエンが脱落し、ヒュンダイとトヨタの一騎打ちになってしまいました。
今シーズンは、前年度チャンピオンになったタナク(ヒュンダイ)、これまでのチャンピオンのオジェ(トヨタ)、そこに初制覇を狙うヌーヴィル(ヒュンダイ)が加わり、この3選手によるしのぎを削り合う展開が予想されます。そこに脇役としてフォードに入ったラッピが上位のペースを如何にかき回すことが出来るかも、興味のポイントでもあります。
ところが、前の2戦でフォード出身のエヴァンス(トヨタ)が予想に反して大活躍、現在トップタイと意外な大健闘です。今年からトヨタをドライブするロバンペラは18歳の若者ですがなんとスウェーデンで3位入賞、おまけにパワーステージでトップを取りました。
Rd2でWRC初優勝を遂げたエヴァンス(右下)、3位入賞のロバンペラ(右上)
もう一人の若者オリバー君(ペター・ソルベルグの息子)もWRC2で頑張っています。日本ファンが期待する勝田選手はWRCクラスに昇格、今年は完走狙いで行くようです。できるだけ長くクルマに乗っていることが必要でしょう。そしてシーズン後半にはキロ当たり0.5秒差くらいまで持っていくのが第1段階です。これが結構キツイのですが。
ラリー・メキシコはWRC参入が2004年でメキシコ政府の観光事業としてのサポートを受けたイベントです。ローブが2006年から12年まで6連勝をしたことでも知られています。
メキシコはアクロポリス無きあとポルトガル、イタリーと共にラフグラベルの一つで悪路と共に標高差が有り、最高で2700メートル付近まで上がります。エンジンパワーや冷却不足で失ったタイムを取り戻すのが難しいと予想されます。スタート順による有利・不利やSS2回目の走行時には路面の痛みによるガレキの露出でシャシーやタイヤへの影響などがあるため、考えながら賢く且つ速く走ることが要求されます。
ステージの最高地点は2737m。空気が薄いためエンジンの出力は通常よりも20%程度低下する。最高気温は30℃前後まで上昇し、高い冷却機能が求められるなどエンジンにとって非常に厳しレースとなる。
メキシコのあと、アルゼンチン・ポルトガル・イタリアそれに久しぶりのケニアとラフグラベル連戦が続きます。
いま喫緊※の話題は新型コロナウイルスの世界への広がりです。影響は興行の分野だけでなくあらゆるセクターに及びますのでWRCにもその影響が心配されます。速くピークが見えてその後は収束に向かえばと念願しますが、世界を舞台にしたサーカスのWRCシリーズですから特に心配です。
ラリー概要は次のとおりです。
SS本数 | SS km | Liaison km | Total km | |
---|---|---|---|---|
Day 1 (3/12) | 2 | 2.24 km | 136.83 km | 139.07 km |
Day 2 (3/13) | 10 | 132.86 km | 261.17 km | 394.03 km |
Day 3 (3/14) | 9 | 133.74 km | 170.78 km | 304.52 km |
Day 4 (3/15) | 3 | 56.01 km | 65.62 km | 121.63 km |
Total | 24 | 324.85 km | 634.40 km | 959.25 km |
SS 本数24本は他のラリーに比べかなり多い方ですが市街地のスーパースペシャルが合計8本もあります。観客向けを重視した設計になっています。一方で30キロ越えステージも3本あり勝負どころを作っています。
マニュファクチャラーの体制は、トヨタがエヴァンス・オジェ・ロバンペラ、ヒュンダイがヌーヴィル・タナク・ソルド、フォードはラッピ・スニネン・グリーンスミスです。
ラリー・メキシコはコンパクトなコース設定で知られていますが、今年もそのやり方は踏襲されています。全走行距離に対するSS距離の比率がDay1を除き、Day2が34%、Day3 が44%、Day4 が46%となっておりこれはドライバーの休息時間が短いこと、リエゾン区間でのクルーによるタイヤ交換や車両整備の余裕が少ないことになります。
※喫緊(きっきん)=差し迫って大切なこと文:福井敏雄
福井 敏雄
1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。
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