【スーパーバイク世界選手権 第13戦カタール】来季の主役に？ラズガットリオーグルに熱い視線

「FIMスーパーバイク世界選手権」の最終戦は恒例となったカタールのロサイル・インターナショナルサーキットでの開催です。今回のレースも「J SPORTS」では生放送。10月25日（金）、26日（土）に開催される最終戦の模様をレース1、スーパーポールレース、レース2と全て生放送でお届けします。

さて、チャンピオンが決まってもジョナサン・レイ（カワサキ）はその手綱を緩めませんでした。MotoGPのマルク・マルケスと同様に自身の欲求に正直に勝ちを狙っていく姿勢を前戦のアルゼンチンでも見せてくれました。しかし、アルゼンチンで予選から速さを見せたのはアルバロ・バウティスタ（ドゥカティ）。ポールポジションを獲得し、レース1に勝利したバウティスタは来季ホンダに移籍が決まっていても、最後までドゥカティで戦う姿勢を見せています。

来季はバウティスタがドゥカティからホンダへ。アレックス・ロウズ（ヤマハ）がカワサキへ。そして、トプラック・ラズガットリオーグル（カワサキ）がヤマハへ。さらにレオン・キャミア（ホンダ）もドゥカティのプライベーター「BARNI Racing Team」への移籍を発表しました。来季に向けて移籍が続々と決まり、マルコ・メランドリ（ヤマハ）はスーパーバイク世界選手権から引退。レオン・ハスラム（カワサキ）もカワサキワークスでのラストレースと様々な思いが交錯する最終戦になります。

そんな中、最も気を吐いているのはやはり電撃的なヤマハ移籍となったトプラック・ラズガットリオーグル（カワサキ）でしょう。トルコ人であり、トルコの英雄的存在のケナン・ソフォーグルに見出され、デビューした2018年からいきなり表彰台に登る活躍を見せてきました。第11戦・フランスでは「スーパーバイク世界選手権」での初優勝を達成。第12戦・アルゼンチンでは3レース連続で3位表彰台に上がり、来季の移籍先のヤマハを凌駕しました。

以前にもゴシップが流れましたが、トプラック・ラズガットリオーグル（カワサキ）は今年鈴鹿8耐にジョナサン・レイ（カワサキ）とレオン・ハスラム（カワサキ）と共に参戦しましたが決勝での出番はなく、そこに不満があったとも伝えられています。王者レイが強烈に意識するライバル＝チームメイトになってほしくない最大のライバルはきっとトプラック・ラズガットリオーグルなのでしょう。そんな流れもあり、ヤマハへの移籍。ここ数戦の彼の速さと安定した走りを見ていると、ヤマハに移籍してもいきなりエース格を目指すアピールをしているかのように思えます。

実際にアルゼンチンでの連続表彰台でヤマハの2人とのポイントを詰め、ランキング3位のアレックス・ロウズ（ヤマハ）＝305点、4位のマイケル・ファンデルマーク（ヤマハ）＝304点に僅か6点差と迫る299点となり、ラズガットリオーグルはランキング3位が射程圏内に入っています。ワークスチームを喰う勢いという意味ではカワサキ、ドゥカティのワークスに次ぐ3位となれば、「スーパーバイク世界選手権」の歴史に残る快挙と言えます。カタールでのレース経験は1回しかないラズガットリオーグルですが、初めてのサーキットでもお構いなしの速さを見せつける彼の走りは要注目です。ヤマハから離脱するロウズもラズガットリオーグルを迎え入れるファンデルマークもこれはウカウカしていられない状況です。

そして、日本人として唯一参戦してきた清成龍一（ホンダ）も今季最終戦となります。後半戦はポイント獲得すらままならないレースが続いている清成。来季の去就も注目される最終戦。何とか今季ベストとなるトップ10でのフィニッシュを目指して頑張って欲しいですね。今季最終戦を迎えるカタールでの戦いに注目しましょう。

文：辻野ヒロシ