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見えてきた首位の背中!8連勝を狙う神戸が好調鳥栖をいぶきの森で迎え撃つ! ヴィッセル神戸U-18×サガン鳥栖U-18マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグWEST第18節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史ヴィッセル神戸U-18・吉岡嵐
ヴィッセル神戸U-18の勢いが止まらない。ここまでの後半戦5試合の結果はすべて白星。前半戦から続く怒涛の7連勝で勝点を積み重ね、首位を走る大津高校を猛追している。現在は7ポイント差が付いているが、2試合消化が少ない上に直接対決も残しているため、まだまだ優勝の可能性は十分にあると言っていいだろう。
前節の米子北高校戦は、序盤こそ決定的なチャンスを作られたものの、守護神の亀田大河がファインセーブで凌ぐと、前半のうちに3点を奪取。後半にも1点を追加して4-0で快勝を収め、アウェイの地から勝点3を逞しく持ち帰ることに成功している。
リーグ中盤戦まではやや苦しんでいた印象のあるサガン鳥栖U-18も、ここに来て確実に調子を上げてきている。後半戦の5試合は3勝1分け1敗。唯一の黒星となった大津戦も首位相手に粘り強く対抗し、最後は1-2で惜敗したが、前半戦で大敗した相手に成長の跡を示してみせた。
東福岡高校と激突した前節の一戦も、前半の早い時間帯に退場者を出した相手を尻目に、田中佑和が80メートル近い距離を独走するゴラッソを披露すると、フォワード起用が増えてきた山崎遥稀がPKを含む2ゴールをゲット。3-0で勝ち切って、ホームでサポーターと歓喜を分かち合っている。
神戸U-18の絶好調男は、後半戦に入って驚異の5戦連発を記録している吉岡嵐だ。昨季はサイドでプレーすることが多かったが、今シーズンに入ってセンターフォワードを任されると、ここまで9ゴールと得点感覚が一気に開花。しかも吉岡が得点を挙げた試合は7勝1分けと、チームに結果をもたらし続けてきた。
その献身性を評価した安部雄大監督によって、夏の中断前には中盤のポジションを託されたこともあり、少し得点から遠ざかった時期もあったが、やはりボランチで出場した15節の東福岡高校戦では3列目から飛び出してゴールを奪ったことで、「自分はポジションに関係なく点を入れる選手なんやなと思って、自信が持てました」とのこと。吉岡のポリバレントさが、このグループに戦い方の幅を与えていることは言うまでもない。
「去年もやっぱり最後は坂本翔偉くん(桐蔭横浜大)だったり、本間ジャスティンくん(横浜F・マリノス)だったり、3年生が引っ張ってくれていて、『今年は自分たちがそういう力を発揮できるように頑張ろう』と3年生になってからのミーティングで言ってきたので、スタメンの人数は少ないですけど、出ている3年生がチームを引っ張っていくことは決めていました」と最上級生の自覚も十分。吉岡がどこまで連続得点を伸ばせるかは、チームの勝敗を左右する大きなファクターだ。
最近は途中出場が続いているものの、神戸U-18の攻撃を活性化させるもう1人の注目選手には大西湊太を推す。第16節の神村学園高校戦は前半に先制するも、後半に入って同点弾を献上。終盤までタイスコアが続いた中で、85分に濱崎健斗のクロスから大西がボレーシュートを叩き込み、チームは劇的な勝利を飾る。
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配信期間 : 2024年10月13日午前10:50 ~
この1点が今季のリーグ戦初ゴールだった大西は、観客席に両親の姿を見つけると、ダッシュした勢いでそのまま金網を登ってしまう。「これまで点を獲れていなかったので、親に対して『やったぞ』ということをメッチャ思いましたね。もうホンマは点を決めたら冷静に行こうと思っていたんですけど、メッチャ昂ってもうて、ちょっと登っちゃったっす(笑)」。結果的にイエローカードを出されてしまったが、みんなに笑顔を連れてくるようなキャラクターも微笑ましい。
1年生だった昨季はプレミアデビューを開幕スタメンで飾りながら、徐々に出場機会が減少していったものの、「そこはコーチがしっかりサポートしてくれたので、自分にできることを見つめ直して、自分の特徴をもっと磨いていこうということは意識してやっていました」と前向きに重ねた努力は、今年の確かな進化に繋がっている。スタメンでも途中出場でも、大西が打ち出すアグレッシブな姿勢は、神戸U-18に強力なエネルギーをみなぎらせていく。
鳥栖U-18がホームチームの快進撃をストップさせるためには、最終ラインに帰ってきた黒木雄也の躍動が必要不可欠だ。1年生だった昨シーズンは第3節でいきなりスタメンに抜擢されるなど、リーグ戦13試合に出場。飛び級でU-17日本代表にも選出され、今年の3月にはトップチームにも2種登録されるなど、順調にステップアップを果たしてきた。
ところが、今季の前半戦はベンチスタートが多く、スタメン出場は1試合もなし。後半戦の開幕となった神村学園戦でようやく初スタメンに指名され、勝利に貢献したものの、続けて先発で登場した翌節の大津戦は前半の45分間だけで交代。なかなか思ったようなシーズンを送れていないのが現状だ。
もともとは大阪の名門クラブ、RIP ACE SCの出身。「自分の中ではユースの育成の上手いチームがサンフレッチェと鳥栖という考えがあって、その2つで迷ったんですけど、その年に鳥栖はプロを5人輩出していたので、それもあって決めました」という理由で、当時もチームメイトだった新川志音と一緒に鳥栖の門を叩いている。
前節の東福岡高校戦では、スタメンフル出場で完封勝利に貢献。空中戦の強さや冷静な守備対応にはやはり光るものがあり、復調の兆しは確実に訪れている。地元に近い関西でのゲームだけに、本人もより気合は入っているはず。神戸U-18の強力攻撃陣を向こうに回し、黒木がどれだけ安定感を打ち出せるかが、そのままチームの結果に直結することは間違いない。
大逆転優勝に向けて8連勝達成に挑む神戸U-18も、さらなる上位進出を目論む鳥栖U-18も、前節の快勝で手にした追い風を、良い形で今節に持ち込みたいところ。おなじみのいぶきの森球技場のピッチに立った両雄が、バチバチにヒートアップするような激闘を繰り広げることを大いに期待したい。
サガン鳥栖U-18・黒木雄也
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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