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サッカー&フットサル コラム 2026年7月31日

どちらも勝てば初優勝!“台風の目”の勢いが上回るか、伝統の“ガクエン”が華麗に刺すか!インターハイ決勝 近畿大学附属高校×静岡学園高校マッチプレビュー

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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PK戦を制して決勝進出を決めた近畿大学附属高校

令和8年度全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技も、いよいよファイナルを迎える。ここまで駒を進めてきたのは、大阪府第1代表の近畿大学附属高校と静岡県代表の静岡学園高校。強豪を相次いで倒してきた今大会の“台風の目”と、負傷者が続出する状況を乗り越えてきた伝統校が、お互いに初の日本一を懸けて戦う決勝は、福島県のJヴィレッジスタジアムで8月1日の12時半よりキックオフされる。

激戦の大阪を潜り抜けてきた近大附属は、初戦で国見高校に2-1で競り勝つと、2回戦では地元・福島の帝京安積高校にも、やはり2-1で勝利。3回戦でプレミア勢の昌平高校と激突すると、この試合にも2-1で勝ち切ってしまう。さらに準々決勝の日章学園高校戦も、後半アディショナルタイムに決勝点を挙げて、これまた2-1で劇的勝利。4戦連続同じスコアという珍しい勝ち上がりで、全国4強を掴み取る。

準決勝では同じ関西勢の滝川第二高校と対峙。試合は前半から近大附属が攻勢を強めるものの、なかなか得点には至らず、70分間はスコアレスで終了。6人目までもつれ込んだPK戦を4-3で制して、大阪府勢としても48年ぶりの決勝進出を引き寄せた。

一方の静岡学園は大会前に主力の負傷離脱者が続いたうえ、8-0で大分高校相手に快勝を収めた初戦で、キャプテンの足立羽琉もケガを負ってしまうなど、不運が続いた中で、3回戦は鹿島学園高校をPK戦の末に退け、準々決勝の旭川実業高校戦は2点を先制されながら、3点を獲り返しての大逆転勝利で、ベスト4までたどり着く。

迎えた準決勝は、プレミアリーグ所属の大津高校にボールを持たれる時間が長く、苦しい展開を強いられたが、川口修監督が「ウチには坂本がいたということでしたね」と話したように、エースの坂本健悟が完璧なヘディングで決勝弾を叩き込み、1-0で勝利。こちらは15年ぶりとなる夏のファイナルを戦うことになる。

 

近大附属は「彼らは凄く堂々と、迷いなく、自信を持ってやってくれているなと感じます」と寺師悠斗監督も語ったように、シビアな1点差ゲームをことごとく制してきたことで、試合を追うごとに選手たちがより自信を持って、ピッチに立っている様子が見て取れる。

最終ラインに並んだ、アグレッシブな守備も際立つ中谷竣太、本職はボランチながらディフェンスリーダーを務める森一翔、186センチのサイズを誇る清水彦の3バックは、それぞれが丁寧なラインコントロールを徹底し、最後まで粘り強く守れる強さも完備。最後方には果敢な飛び出しも印象的な守護神の興山俊士がそびえ立つ。

中盤には全体のバランスを取れる金光哲平と、準々決勝では決勝点を奪うなど、攻撃力に自信を持つ岡本陽樹がドイスボランチに並び、右のウイングバックには負傷明けのキャプテン・藤川澄生と川童琉偉が併用され、左ウイングバックには左足の正確なキックを宿した福井健将を配しつつ、時には5バックも辞さない覚悟で、上下動を繰り返す。

アタッカーの3枚も魅力的だ。ここまで3得点をマークしている、ハイタワーの久下彬が最前線で身体を張り、プレースキックを任されたうえに、飛距離抜群のロングスローも投げられる中澄恵大、前線で時間を作れるハードワーカーの山本翔大が虎視眈々とゴールを狙う。

加えて特筆すべきは「やっぱり応援のおかげで、しんどい時も頑張ろうという想いになりますね」と藤川も言及した、200人に迫るサッカー部員で構成された大応援団。「何でもないワンプレー、ワンプレーで湧くので、松本山雅のホームかのような感じですよね」と寺師監督も笑ったとおり、スタジアムを巻き込む応援の空気感が、ピッチの選手たちに勇気を与えていることは間違いない。

 

静岡学園は前述したように、負傷者が続出する状況を強いられたものの、「10番の松永(悠輝)が大会前に欠けて、大会中に足立が欠けた中で、より一層チームが団結したのかなと思います」とは準決勝でもキャプテンマークを巻いた坂本。大会が進むにつれてチームが纏ってきた一体感は、ピッチのそこかしこに窺える。

正守護神は171センチというサイズを感じさせない、広いプレーエリアと抜群の反応速度を兼備する田邉匠真。この日も前半は[3-5-2]、後半は[4-4-2]を併用した中で、最終ラインではともに185センチという長身に加え、ビルドアップにも長けた飯尾善と保延昭良の両センターバックが堅陣を築き、3バック時はその中央に新宮仁喜が入る形も採用する。

静学らしいドリブル突破も印象的な右の高丘泰昂、正確な左足のクロスに特徴を持つ左の小田切颯佑は、ウイングバックにもサイドバックにも難なく対応。中盤センターではアンカー気味にチームをコントロールする林奏汰と、フィニッシュへの意識も高い半田怜也が、攻守の切り替えを司る。

準決勝では加藤煌清が2トップ下に入ったが、後半から投入された安永龍生もここまで2ゴールと好調をキープ。最前線には幅広い動きでボールを引き出す沢井翼と、「今までなかなか川口監督に恩返しできていないので、ここでしっかり日本一になって、監督に優勝という素晴らしい景色を見せてあげたいと思います」と言い切る絶対的エース・坂本が並び、相手に脅威を突き付け続ける。

基本的には静岡学園がボールを支配する展開が予想されるが、『真夏の大冒険』を謳歌している近大附属の躍進は、理屈だけで測れないものも感じられる。「オサムさん(川口監督)も優勝には凄くこだわっていますし、明日の決勝で負けたら意味がないので、自分も優勝しか見ていません」(安永)「もうとにかくみんなで楽しんでやるしかないなと思っていますし、絶対に日本一になります」(藤川)

真夏の全国王者を決めるファイナルは激闘必至。初優勝を巡る頂上対決には、高校サッカーの原点のような魅力が、過不足なく詰まっている。

エース・坂本健悟の決勝点で静岡学園高校がファイナルへ

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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