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サッカー&フットサル コラム 2026年9月30日

想いを背負えるレフティストライカーがチームのために果たすべき責任。ファジアーノ岡山U-18・安西来起は何度でも力強く起き上がる 【NEXT TEENS FILE.】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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ファジアーノ岡山U-18・安西来起

「フォワードとして、今日みたいに0得点で終わるというのは本当に情けないと思いますし、自分としてはもう悔しい気持ちでいっぱいだった中で、自分と代わった選手が得点を決めるというのもメチャクチャ悔しかったですね。そんな光景をベンチで見るというのは、自分がサッカーをしてきた中でも一番ぐらい悔しかったです」

その左利きのストライカーは、全身から明確に悔しさを発していた。高円宮杯プレミアリーグWEST第15節。優勝争いに加わっている名古屋グランパスU-18をホームに迎えた一戦に、ファジアーノ岡山U-18は2-4で敗戦。チームのキャプテンを務めている安西来起は、3点をリードされた60分に途中交代。そこから安西と代わった元野蒼空と西村惇希がゴールを挙げたものの、勝点獲得には至らず、これでリーグ戦は4連敗ということになった。

昨季のヴィッセル神戸U-18をWEST制覇に導いた安部雄大監督が、新指揮官に就任した今シーズンの岡山U-18は、よりボールを主体的に動かしていくスタイルにチャレンジしているが、プレミアでは1勝2分け12敗と大きく黒星が先行し、最下位に沈んでいる。

「自分たちはずっと負け続けているんですけど、1つ勝つことで残留に向けてチームの雰囲気は上がると思うので、絶対勝とうと思って挑んだ試合だったのに、絶対失点してはいけない時間帯で獲られてしまったのは、自分たちの弱さが出たと思いますし、そこにはもっとこだわってやっていかないといけないと思いました」

この日の試合も13分という早い時間帯に先制を許すと、後半開始早々の51分に3失点目を献上。終盤にようやく元野が追撃弾を決めたにも関わらず、その2分後にはとどめに近い4失点目を奪われるなど、ゲーム運びにはまだまだ改善の余地が残されている。

個人としては、ここまでチーム総得点の半分近い6ゴールを叩き出し、ひとり気を吐いているが、それが結果に結び付かないことが何とももどかしい。加えてキャプテンという役割も、より勝敗の責任を背負い込むことに繋がっている。

「今の最下位という結果は、キャプテンとしてチームをいい方向に持っていけていない自分の責任ですし、得点が少ないのも前線で相手のゴールを狙っている自分の課題で、やっぱりこの順位を招いているのは、キャプテンとしても、フォワードとしても、本当に自分の責任だと思います」

苦しい時間を強いられているが、それでもシーズンは続いていく。まず目指すのは、浮上のきっかけになるような結果を、とにかく引き寄せること。ベクトルを内側に向けながら、安西はみんなの先頭に立って、自らのゴールで勝利の歓喜を引き寄せるべく、日々努力を重ねていく。

 

もともと香川出身の安西が、ジュニアユース年代でプレーしていたのは、通っていたさぬき市立さぬき南中学校のサッカー部。ただ、中学2年生の3月には姫野誠や加茂結斗、川端彪英をはじめとしたJクラブのアカデミー勢が顔を揃えるU-15日本代表合宿に、唯一の中体連所属選手として招集を受ける。

さらに、3年生の8月に開催された全国中学校サッカー大会では、チームのキャプテンとして全試合で得点をマークし、8強進出に貢献。一気に注目度の上がったレフティは、「いろいろなクラブから誘いをもらって、他のクラブの練習にも行ったんですけど、ファジアーノはいろいろな人が何度も自分を見に来てくれましたし、練習参加を何回かさせてもらった中で、本当に強いチームだと思ったのと、このクラブの育成のやり方にも惹かれました」と複数の選択肢の中から岡山U-18へとやってきた。

「自分の武器は背後の抜け出しと左足のシュート」と言い切るように、豊かなスピードを生かしたラインブレイクと、レンジの広いシュートを打ち込める左足のパンチ力は、何度も参加しているトップチームでの活動で自信を深めてきた部分。昨季のプレミアでも残留争いを繰り広げる中で、チーム2位の6得点を記録し、確かな存在感を示している。

前述したような安部監督の元で志している新スタイルは、なかなか目に見える結果には現れていないものの、着実にチームの中へ浸透し始めている。その進化にはキャプテンも一定の手ごたえを感じているようだ。

「今年になってチームのスタイルが大幅に変わった中で、負けるごとにミーティングを重ねたりして、全員が真面目にプレーしていくことで、前期よりは自分たちのスタイルも固まってきていますし、できることもたくさん増えてきていることは感じています」

「もちろん今日明日で変われることではないと思いますし、今まで自分たちが3 年間積み上げてきたことが足りなかった部分が今の結果なので、自分たちが成長してきている部分は伸ばしながら、まだまだ足りないところを一人ひとりが自分に矢印を向けて、日々の練習からやっていけたらなと思います」

一方で10番を託されたエースとしては、今シーズンのここまでの出来に納得しているはずもない。「チームが残留するために点を獲るのがフォワードの使命だと思いますし、それは自分がグラウンドで生きていくための仕事だと思うので、そこには今まで以上にもっとこだわってやっていきたいと思っています」。この世界で生きていくために必要な仕事を、真摯に、愚直に、突き詰めていく。

残されたリーグ戦は、あと7試合。状況が厳しいことは十分に承知しているが、もちろん諦めるなんて選択肢は存在しない。自分を見出してくれたクラブのために、苦楽をともにしてきた同期のために、そして、これからの未来を生きる後輩たちのために、できることは何でもやってやる。

「今まで 2 年間ずっとプレミアで試合に出させてもらって、今年になってこんな不甲斐ない結果になってしまっているのは本当に悔しいことですし、先輩たちにも申し訳ない気持ちでいっぱいですけど、まだ降格が決まったわけではないですし、今までのファジの先輩たちが残してくれたものを、自分たちが崩すわけにはいかないじゃないですか」

「もう日々の練習からやっていくしかないですし、先輩たちが自分たちに残してくれたものを、また後輩に残すのが3年生の使命だと思うので、これからあとプレミアの7試合も、本当に最後の最後まで、自分たちは絶対諦めずに、挑戦し続けたいなと思います。個人としてもファジアーノ岡山U-18のキャプテンとして、これからも責任を持ってプレーしていきたいです」

いつだってその左足で、自らの進む険しい道を切り拓いてきた。身体の中に刻み込まれた野生の勘を研ぎ澄ませ、得点の匂いを嗅ぎ分ける才覚が、あらゆる苦境を覆す。岡山U-18を最前線で牽引する、背番号10のワイルドストライカー。安西来起は巡ってくるチャンスをモノにするために、何度ピッチに倒れようとも、何度心が折れかけようとも、そのたびに必ず、力強く起き上がる。

 

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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