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あるいは、暑さの厳しい地域のクラブは夏場の試合数自体を減らし、気候の良い時期に連戦を組むこともできる。これも、「公平性」の問題があるし、結果として消化試合数に偏りができてしまい、順位争いがわかりにくくなるが、慣れてしまえばそれも面白さとして理解されるようになる。夏場の興行としては、Jリーグクラブによるフットサル大会を開いてもいい。観客にとっても涼しいアリーナでの観戦はありがたいし、フットサルの普及にもつながる。
国際大会でも同様のことはいえる。たとえば、2月、3月の寒い時期に日本チームが東南アジアに遠征すると、身体が慣れていないから暑さの影響が大きい。逆に東南アジアのチームが日本や韓国に来たら、寒さで動けなくなってしまう。だから、ワールドカップが予選とかACLでも、東南アジアと北東アジアの試合は北の国が夏の間に集中すべきだろう(今回のワールドカップ予選のミャンマーとのアウェーゲームが9月初旬に設定されたのは日本にとっては幸運だった)。
猛暑の中での開催となる2020年東京オリンピックも大問題だ。1964年の東京大会は10月の気候の良い時期に行われたが、今は開催時期は7月、8月と決められている。ヨーロッパのサッカーやアメリカン・フットボールのNFLやバスケットボールのNBAがいずれもシーズンオフで、野球のMLBもポストシーズン入りしていない夏場こそが各国のテレビ局やIOCにとって都合がいいからだ。
だが、暑さ慣れしていない国の選手や観客にとって、日本の夏場の大会は負担が大きすぎるはず。サッカーだって、本来シーズンオフのはずの時期に強行日程で行うなど「愚の骨頂」だ(だから、暑さ慣れしている日本チームには有利なのだが)。
そもそも、「決められた時期に一つの都市に集まって各種の競技を一斉に行う」というオリンピックという大会には無理が多いのだ。この辺りも、そろそろ根本的に見直す時期とも言える。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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