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サイクルロードレース コラム 2026年8月27日

21歳のブレナンが平坦2区間で連勝。ポガチャルが3つのリーダージャージを堅持|ブエルタ・ア・エスパーニャ2026 レースレポート:第5ステージ

サイクルロードレースレポート by 山口 和幸
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ブエルタ・ア・エスパーニャ

マシュー・ブレナンが今大会2勝目

第81回ブエルタ・ア・エスパーニャは8月26日、ファルセット〜ロケテス間の169.3kmで第5ステージが行なわれ、チーム ヴィスマ・リースアバイクのマシュー・ブレナン(英国)が第2ステージに続いて2度目のスプリント勝利を挙げた。第4ステージで今大会2勝目を挙げたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ・XRG)は個人総合、ポイント賞、山岳賞のリーダージャージを獲得したが、この日もトップと同タイムの第1集団の中でゴールし、3つのジャージを防衛した。

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スペイン・カタルーニャ地方の戦いが始まった

モナコ、フランス、アンドラと旅してきたブエルタ・ア・エスパーニャは、大会5日目にようやくスペインへ。今大会はここから地中海に沿って南西部に向かう。第4ステージでピレネー山脈を走ったものの、それ以外のピレネーやイベリア半島北西部の山岳は一切走らず、南部のシエラネバダ山脈などが勝負どころとなっているのが2026年の特徴だ。

第5ステージは序盤が丘陵地帯、中盤は地中海沿岸の平坦路、148km地点にカテゴリー3級の山岳ポイント、プエルト・デ・パウルスが待ち構えている。これまでのステージでタイムを失った選手たちにとって、逃げを狙う絶好の機会となる。スプリンターを擁するチームは、集団スプリントという今大会では数少ないチャンスを活かすために、レースの主導権を握ろうとした。

山岳の要素が大きい今大会には、有力スプリンターがそれを嫌って欠場したが、若手選手にはそれがチャンスとなっている。売出し中のスプリンターたちが勝利を目指して戦う2度目のステージだが、カタルーニャ地方特有の風とこの日の上り坂区間をうまくこなすことが攻略の糸口だ。

スタート時点では、風にさらされるエリアの天候状況を誰もが警戒した。エシュロンと呼ばれる横風による集団の分断により、タイムを大きく落とすリスクがあるからだ。注目選手は強力なチーム力を持つチーム ヴィスマ・リースアバイクのブレナン。この日のコースは83.8km地点でアンプスタを通過するが、ここで行われた2025ボルタ・ア・カタルーニャのステージでは風を乗り越えてブレナンが優勝している。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

5人の先頭集団が形成された

スタートから数km進んだところで、ウノエックス・モビリティのフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー)が最初にアタックを仕掛け、集団から抜け出した。ドゥヴァーシュネスは2026年のジロ・デ・イタリア第15ステージのミラノで、3人のゴール勝負を制して初出場チームに初勝利を届けている。この日も同じ展開で逃げ切ってステージ勝利を手中にしたいという思惑があった。

ドゥヴァーシュネスにピナレロ・Q36.5プロサイクリング チームのワルテル・カルツォーニ(イタリア)、チューダー・プロサイクリングチームのシュテファン・キュング(スイス)、チーム ピクニック・ポストNLのマッティア・ガッフーリ(イタリア)、エキポ ケルンファルマのディエゴ・ウリアルテ(スペイン)らが加わった。

この先頭集団の中でキュングは、チーム ヴィスマ・リースアバイクとネットカンパニー・イネオスがペースメーカーを務めるメイン集団を待った。先頭集団のリードは最大で2分20秒に広がったが、その差は急速に縮まり、約1分となった。

パンチャーの逃げ切りか、スプリンターのラスト勝負か

海岸線の平坦路になるとチーム ヴィスマ・リースアバイクとネットカンパニー・イネオスがさらにペースアップ。リドル・トレックマッズ・ピーダスン(デンマーク)もメイン集団の前方に上がってきてチームメイトのマティアス・スケルモース(デンマーク)と交代しながら走る。逃げ集団は残り99km地点で吸収され、大集団は一時的に分裂するが、すぐに合流して安定したペースに戻った。

ポガチャルの繰り下がりでポイント賞ジャージを着用しているスーダル・クイックステップのイーサン・ヘイター(英国)は、一時はメイン集団から遅れたがそれに追いついて中間スプリント地点(114.7km地点)まで15kmのところで単独アタックを仕掛けた。チーム ヴィスマ・リースアバイクのワウト・ファンアールト(ベルギー)が率いるメイン集団から25秒先行し、ポイント賞の20点を獲得することに成功。ただし結果的にはこの日、ポガチャルが前日までの貯金を利してポイント賞のトップを守った。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

広大な大地はうねり、風は吹きさらされる

起伏のある終盤に入ると、残り44km地点でウノエックス・モビリティのアンドレアス・クロン(デンマーク)がアタックを仕掛けた。クロンはパンチャーで、バルセロナにゴールした2023ボルタ・ア・カタルーニャ第2ステージを含め、このカタルーニャで2勝を挙げている。クロンは45秒の差をつけたが、集団はこの日唯一の山岳、アルト・デ・パウルスへの上り坂でクロンを吸収した。

上りではUAEチームエミレーツ・XRGのパヴェル・シヴァコフ(ロシア)が先頭でペースメーク。メイン集団は約60人に絞り込まれるが、ピーダスン、アルペシン・プレミアテックのカーデン・グローブス(オーストラリア)、ネットカンパニー・イネオスのベン・ターナー(英国)などがステージ優勝を狙って食らいついていた。

ピナレロ・Q36.5プロサイクリング チームのシャビエル・アスパレン(スペイン)がゴールへと続く曲がりくねった道抜け出そうとしたが、ファンアールトをはじめとする他の選手たちがそれを許さなかった。チーム ヴィスマ・リースアバイクは最終1kmまでレースをコントロールし、ファンアールト、そしてクリストフ・ラポルト(フランス)がブレナンのスプリントのために先頭を突っ走る。

最終的にブレナンが第2ステージでの初勝利から3日後、ヨルディ・メーウス(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)を抑え、グランツールでの2度目の勝利を飾った。3位はヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)。ポガチャルは他の総合成績上位選手と同じ集団でゴールし、翌日の山岳決戦を前に首位を守った。

「グランツールでの平坦ステージ1回目、2回目も無事に終えられた。一日を通してみんなが全力で頑張っていたのが見て取れたから、またこうしてやり遂げられて本当に感謝している。みんなもホッとしていると思う」とステージ2勝目のブレナン。

フィニッシュはまさに完璧だったと言える。最後の数kmまで、2人のチームメートが先頭を引っ張ってくれた。ファンアールトとラポルトは、この手のレースでは世界最高の経験を持った選手だ。最後まで若いブレナンをサポートした。最後のコーナーは路面が少し滑りやすかったため、ブレナンがコントロールを失いそうになったが、ラポルトもそれを察知して、見事に合わせてくれた。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

終日ヴィスマは隊列を組んで集団の前の方に位置していた

「僕はスプリンターだけど、少しは登りもできる。このタイプの地形だとすごくいい感じになる。ステフェン・クライスヴァイクやブリュノ・アルミライユも本当に強くて、彼らが一緒にいてくれると、もっと上を目指せるという自信が湧いてくるんだ」(ブレナン)

ブエルタ・ア・エスパーニャは若手にチャンス

ポガチャルは安定したチームワークによって第5ステージを無難に走り切り、個人総合、ポイント賞、山岳賞のすべてで首位を維持した。

「それでも厳しいステージだった。チームでしっかりコントロールできていたので、今日は本当に満足している。後方でなにが起こっているかは分からないし、後方の方が常にリスクがある。だからこそ、先頭に立って本当にいい走りができたと思う」と安堵のポガチャル。

「ブレナンのような若い選手たちに脱帽だ。ブエルタ・ア・エスパーニャは、これから頭角を現す若い選手たちにとって常にいいレースであり、才能ある選手たちが次々と現れてくるのは喜ばしいね。チームにはパブロ・トレス(スペイン)のような優れたライダーがいる。素晴らしい人間性を持っていて、本当にいい子で、とても謙虚。今回のブエルタ・ア・エスパーニャ、そして彼のキャリア全体を通して、彼の成功を心から願っているよ」

大会の4つのリーダージャージの中で、25歳以下の選手で争うヤングライダー賞だけはオンリーが死守した。

「今日は決して楽な一日じゃなかった。風とフィニッシュ地点の登り坂を考えると、今日は本当に集中力を高めなければならないとスタート前に話していた。チームの選手たちは見事にそれをやってのけた。先頭に立ちたいと思っていたセクションでは、必ず先頭に立つことができた。特にベン(ターナー)とジョシュ(ターリング)は、今日、本当に素晴らしいアシストを見せてくれた。本当によかった」とオンリー。

第6ステージはアルコセブレからカステジョンまでの177.4kmで4つの峠が設定された中程度の山岳ステージ。40.6km地点にカテゴリー2級のプエルト・デラ・セラテラ、66.3km地点にカテゴリー3級のコル・デラ・バンデレタ、129km地点にカテゴリー2級のアルト・デシエルト・デラス・パルマス、157km地点にカテゴリー1級のプエルト・エル・バルトロが待ち構える。

ステージ前半は非常に曲がりくねっていて、その日の勝敗を左右する。ラス・パルマス砂漠(カテゴリー2)への最初の登りの後、ライダーたちは再び同じ登りを始め、バルトロ(カテゴリー1)への迂回路に入ります。最後の上りは頂上まで3km地点から未舗装路となり、カステジョンへの急な下りでフィニッシュする。

大会第1週は残り4区間で、第8ステージのみが平坦だが、6、7、9ステージと過酷な山岳が設定される。総合2位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)に3分21秒の大差で独走するポガチャルがどんな戦いぶりを取るかに注目。

文:山口和幸

山口 和幸

ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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