人気ランキング
-
-
サイクルロードレース コラム
-
サイクルロードレース コラム
すべては2019ブエルタから始まった。7年前、ポガチャルのグランツール・デビュー再録|ブエルタ・ア・エスパーニャ2026
-
サイクルロードレース コラム
-
コラム一覧
タデイ・ポガチャル、すべてが始まった場所へ赤い王者として帰り着く|ブエルタ・ア・エスパーニャ2026 レースレポート:第4ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか50.3kmの独走勝利で今大会2勝目、ポガチャル
王者の威を示す一撃。50.3kmもの独走勝利。赤い衣を身にまとったタデイ・ポガチャルは、すべてを一瞬で断ち切り、今大会ステージ2勝目を悠々と手に入れた。
ステージ2位には2分39秒もの大差をつけた。総合2位に対するリードも、早くも3分21秒に広がった。スペインに入国する前に、スペイン一周の「ラ・ロホ」争いは、完全に決着がついてしまったのかもしれない。
J SPORTS オンデマンド番組情報
-
第5ステージ Cycle*2026 ブエルタ・ア・エスパーニャ
配信日時 : 2026年8月26日(水)午後9:50 ~
-
第6ステージ Cycle*2026 ブエルタ・ア・エスパーニャ
配信日時 : 2026年8月27日(木)午後9:50 ~
-
第7ステージ Cycle*2026 ブエルタ・ア・エスパーニャ
配信日時 : 2026年8月28日(金)午後9:50 ~
自転車好きコミュニティサイト(無料)のお知らせ
「先のことなんて誰にも分からない。ただ、こうして良いリードを築けたから、それをコントロールしていくために、毎日ベストを尽くすだけ。どうにもできないことが起こったら、コントロールしようがない。とにかく僕らは戦い続けなきゃならない。厳しい展開にもなるだろう。でも僕らのチームは本当に強い。準備は万端だ」(ポガチャル)
孤立する前に、ポガチャルは自らの脚でひとりになった
アンドラの空は晴れていた。フランスの山で予定されていた今大会最初の山岳ステージは、激しい雹に見舞われ、レース半ばで中止に追い込まれた。舞台をピレネー山脈の小国へ移したプロトンは、前日の消化不良を晴らすべく、104.8kmの超短距離走を猛スピードで走り出した。
ポガチャルのライバルたちは、戦う前から勝負を諦めていたわけではない。
ヴィスマ・リースアバイクは、逃げに複数滑り込む作戦に出た。スタート直後から上り始めた1級山岳エンバリラで、黄色いジャージが代わる代わる飛び出す。やがて出来上がった大きな逃げに、大量4人を送り込んだ。現パリ〜ルーベ王者ワウト・ファンアールトや、第2ステージのスプリント勝者マシュー・ブレナンも、難関山岳で果敢に逃げを牽引した。
タイム差が1分に広がると、今度はデカトロン・CMA CGMが動いた。メイン集団の先頭で隊列を組み上げ、凄まじいテンポを刻んだのだ。ジロ・デ・イタリア総合2位のフェリクス・ガルを筆頭に、大会最高標高2407m地点まで、がむしゃらなまでの加速を続ける。勢いのままに長い下りへ突入すると、あっさり逃げを飲み込んだ。
アンドラでは天候に恵まれた
UAEチームエミレーツ・XRGは、序盤のアタック合戦ですでにアシストを数人使い果たしていた。本来なら最終補佐役のジョアン・アルメイダも、メカトラをきっかけに集団から脱落。そのうえデカトロンの猛攻にさらされ、エンバリラ山頂にたどり着いた時点で、ポガチャルの脇にはわずか2人のアシストしか残っていなかった。
それでも続く1級山岳ベイシャリスで、UAEは再び制御を試みる。ブエルタで2年連続山岳賞に輝いたジェイ・ヴァインが、集団先頭でペースを上げた。しかし、やはりデカトロンが、主導権を奪い返す。
「最初の上りからすでにペースが速くて、2つ目の上りでは、麓から全力で踏んでいた。デカトロン勢の背後につけるよう、ジェイが僕を前に行かせてくれた時、思ったんだ。総合争いのライバル全員を相手に、孤立させられたくはない、と。そうなると、みんなで僕を倒しにかかってくるだろうから」(ポガチャル)
だからポガチャルは、自らひとりになる方を選んだ。思い切って前へ飛び出した。行く手には、いまだ1級山岳2つと3級山岳が立ちはだかる。フィニッシュまで、まだ50.3kmも残っていた。
すべてが始まった場所へ、赤い王者として帰り着く
突如として前方へと躍り出た赤ジャージの後輪に、ガルだけが素早く飛び乗った。5月のイタリアで、総合覇者ヨナス・ヴィンゲゴーハンセンのアタックに唯一反応できたのも、このオーストリア人ピュアクライマーだった。その時に得た教訓がある。「相手のペースに巻き込まれて、燃え尽きてはならない」。ガルはすぐさま自分のペースへと切り替えた。
ポガチャルは完全なる独走態勢に入った。今年のストラーデ・ビアンケでは、79kmもの独走勝利を飾っている。2024年秋には、初めての虹色ジャージに向かって残り100kmでアタックし、ラスト50kmをひとりで走り切った。ただ、今回は、グランツールなのだ。いまだ4日目でしかなく、明日も、2週間先も、レースは続く。
とはいえ、7月のツール6日目にも、全長43kmの独走を成功させている。トゥルマレ山頂を単独で越え、2位ヴィンゲゴーに2分38秒差をつけて山頂フィニッシュを制した。もちろん、そのまま3週目の最終日まで調子を落とさず、史上最多タイ5枚目のマイヨ・ジョーヌを持ち帰った。
孤立する前に独走を選んだポガチャル
今回は、わずか1kmで20秒引き離した。2つ目の山頂を通過する頃には、余裕は約1分半に広がった。ポガチャルは淡々とテンポよく走り続けた。3つ目の山頂では、リードは3分以上に開いていた。
さすがに最終峠では少し足取りが重くなった。下りでより慎重にハンドルを操る姿も見られた。それでもフィニッシュ手前300mで最後の水分補給を行う余裕と冷静さは、失っていなかった。
人生初めてのグランツールとなった2019年のブエルタで、すでに区間3勝を挙げ──記念すべき1勝目は、ここアンドラだった──、今年も初日の個人タイムトライアルで早々に1勝しているポガチャルが、マイヨ・ロホ姿で初めて手にしたステージ勝利。グランツールの区間は37に増え、キャリア通算では129勝目に達した。
「どの距離から仕掛けたとか、どの場所で勝ったとか、そういうことにはそれほどこだわっていない。僕にとっては、どの勝利も『最高』のものなんだ。でも、ここアンドラで上げた初めての勝利の日のことは、きっといつまでも忘れることはできないだろう。たくさんの素敵な思い出が詰まってる。だから、アンドラでこうして再び勝つことができて……しかも赤いジャージ姿で勝てたなんて、本当に素敵だ」(ポガチャル)
ポガチャル以外は僅差の激戦、総合2位にログリッチが浮上
ポガチャルから遅れること2分39秒、2位集団がフィニッシュに飛び込んだ。総合2位との差は一気に3分21秒へ。開幕から4日目、実際に走行した日数は3日、総走行距離はわずか316.3km。過去6度グランツールを制したポガチャルといえども、これほど早い段階で分単位の差をつけたことはない。
この日登場した4つの山岳のうち3つを首位通過し、初めて「青玉」の岳ジャージにも袖を通した。独走中に谷間の中間ポイントを首位通過し、当然フィニッシュでもポイント満点を収集。マイヨ・ベルデも悠々とキープした。まさにポガチャルの一強状態。一方で2位以下の座を巡る争いは、肉体と精神の壮絶な消耗戦となった。
2位争いは熾烈を極めた
ポガチャルが前方へと遠ざかっていき、残された者たちがひとつにまとまると、再びデカトロンが集団の先頭に立つ。グレゴール・ミュールベルガーが強烈なペースを強い、残り34km、2位集団は9人に絞られた。
そこからは分裂と再結合を繰り返す。まずはガルが先攻し、昨年のツールで最後まで新人賞を争ったオスカル・オンリーが追随する。2kmほど先で、ブエルタ総合4勝プリモシュ・ログリッチも合流を成功させる。ブエルタ表彰台4度のエンリク・マスと、3年前のブエルタ総合覇者セップ・クスも、流れに加わった。
背後では、7年前のジロ王者リチャル・カラパスが、必死の追走を続けていた。後輪にマティアス・スケルモース 、ヤルノ・ウィダー、そしてミュールベルガーが張り付いていたが、誰1人として協力しようとはしない。
対する前の5人も、駆け引きばかりを繰り返し、スピードは一向に上がらない。その後の下りの先の、残り13km前後で、9人は再び集結した。
最後の上りで、またしてもミュールベルガーが鞭を入れる。たまらずスケルモースが後退した。さらにガルが畳みかける。そこまで最後尾で全員の様子を密かに窺っていたログリッチも、加速で応じた。ここでカラパスが、ついに力尽きた。
勝負は6人のスプリントへ。チーム総出で積極的に動いてきたガルが、ここでも真っ先に仕掛けた。しかし2年前のジロU23版総合覇者にして、ネオプロ20歳のウィダーが、ライン手前ぎりぎりで追い抜いた。同タイムでオンリー、クス、マス、ログリッチの順で続いた。
この2位集団から18秒遅れでカラパスは1日を終え、そこから20秒遅れてスケルモースとミュールベルガーがフィニッシュ。ヴァインはさらに20秒遅れだった。
ポガチャルから3分21秒遅れの総合2位には、ログリッチが浮上した。総合9位までには、この日2位争いを演じたエース級が順当に並び、総合2位から総合10位ヴァインまでの差はたったの50秒。ポガチャルとの差は大きく開いたものの、2位以下はひどく混沌としている。
「グランツールにおいては、勝負は終わったなどと絶対に言うことはできない。たとえ20分のリードがあったとしてもだ。もちろん僕は良いリードがつけられたし、不満などない。ただ、グラナダまでの道のりは、まだまだ長い」(ポガチャル)
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
あわせて読みたい
-
-
サイクルロードレース コラム
すべては2019ブエルタから始まった。7年前、ポガチャルのグランツール・デビュー再録|ブエルタ・ア・エスパーニャ2026
-
-
-
サイクルロードレース コラム
-
サイクルロードレース コラム
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
ジャンル一覧
人気ランキング(オンデマンド番組)
-
第1ステージ Cycle*2026 ブエルタ・ア・エスパーニャ
8月22日 午後11:00〜
-
第2ステージ Cycle*2026 ブエルタ・ア・エスパーニャ
8月23日 午後9:50〜
-
【ハイライト】第1ステージ Cycle*2026 ブエルタ・ア・エスパーニャ
8月23日 午後3:00〜
-
第3ステージ Cycle*2026 ブエルタ・ア・エスパーニャ
8月24日 午後9:50〜
-
【ハイライト】第2ステージ Cycle*2026 ブエルタ・ア・エスパーニャ
8月24日 午後3:00〜
-
ブエルタ・ア・エスパーニャ Cycle*2026 サイクルロードレース応援部
8月11日 午後7:00〜
-
第4ステージ Cycle*2026 アークティックレース・オブ・ノルウェー
8月16日 午後11:15〜
-
【ハイライト】 第4ステージ Cycle*2026 アークティックレース・オブ・ノルウェー
8月17日 午後3:00〜
J SPORTSで
サイクルロードレースを応援しよう!

