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サイクルロードレース コラム 2026年7月7日

ポガチャルとデルトロのコンビが冴える! 王者の今大会初勝利でマイヨ・ジョーヌをヴィンゲゴーから奪う|ツール・ド・フランス2026 レースレポート:第3ステージ

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ツール・ド・フランス

第3ステージで区間勝利とマイヨ・ジョーヌを獲得したポガチャル

前日とは逆になった。第2ステージでは“若きリーダー”イサーク・デルトロに勝利を譲ったタデイ・ポガチャルUAEチームエミレーツ・XRG)だけれど、第3ステージは“真打ち”よろしく勝負をきっちりと仕上げてみせた。ピレネーでの総合系ライダーのぶつかり合いを制すると、最大のライバルであるヨナス・ヴィンゲゴーハンセンチーム ヴィスマ・リースアバイク)からマイヨ・ジョーヌも奪取。王者の進撃がここから始まる。

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「今日は勝つために走った。レース中からステージ優勝とマイヨ・ジョーヌを強く意識していたんだ。狙い通りになってうれしいし誇らしいよ。この先の戦いへの大きなモチベーションになりそうだ」(ポガチャル)

山火事の懸念もレースは予定通り進行

開幕地バルセロナに別れを告げ、旅はいよいよ本場フランスへと入る。第3ステージはバルセロナのベッドタウンにあたるグラノリェルスをスタート。この地にはカタルーニャ・サーキットがあって、F1やMotoGPといった最高峰のモータースポーツに熱い人たちが多いのだとか。ツールの来訪で、人々はサイクルロードレースにも染まっていく。

途中で国境を越えて、フランスへ。大会3日目にしてピレネー山脈へと足を踏み入れて、リゾート地レ・ザングルにフィニッシュする。レース距離は195.9km。

レ・ザングルが位置するピレネー=オリアンタル県では、ここ数日山火事が猛威を振るっていて、レースコースから数十キロの地域まで火の手は伸びてきているという。レースの実施が危ぶまれたものの、同県の人々による尽力あって予定通りにプロトンは進行。ただ、ツールを彩るキャラバン隊は国境通過と同時にコースを外れ、関係者の移動も大がかりにならないよう配慮がなされる。ファンの沿道観戦にも制限が設けられ、何よりも山火事の鎮圧を最優先にする。

ボーダンはマイヨ・アポワの夢かなえる

レースはリアルスタート直後から激しい出入りの連続。数人が先行しては集団がキャッチする流れが続く。ジュリアン・アラフィリップ(チューダー プロサイクリングチーム)やリチャル・カラパスEFエデュケーション・イージーポスト)、さらにはマチュー・ファンデルプールアルペシン・プレミアテック)もチャレンジしたが、集団が彼らの動きを封じる。時速50kmを超えるハイペースのまま、最初の1時間が過ぎた。

ツール・ド・フランス

長い長いアタック合戦のあとで先頭グループが形成された

60km地点が見えてきたところで、均衡が破られた。数人のアタックに次々と便乗し、気が付くとその規模は20人を超えるものに。リーダーチームのチーム ヴィスマ・リースアバイクが状勢を落ち着かせたことから、大人数の逃げは容認ムードへ。レース距離を100km残した段階で、タイム差は3分を超えた。

98.4km地点に置かれた中間スプリントポイントは、逃げに乗っていたマッズ・ピーダスンリドル・トレック)が1位通過。ポイント賞後方にも上がる元世界王者が、きっちりと25点を獲得する。

ピレネーへと入り、1級山岳トセス(登坂距離9.3km、平均勾配6.5%)を上り始めると、先頭グループは6人に絞られる。なかでもアレックス・ボーダン(EFエデュケーション・イージーポスト)の動きがよく、頂上での1位通過に成功。一度下って迎えた3級山岳カルヴェールでもトップに。走り切ることが条件ながら、マイヨ・アポワ着用が決まった。

「子どもの頃の夢が水玉模様のジャージを着ることだったんだ。ツール・ド・フランスで、マイヨ・ジョーヌと並びながらあのジャージが着られたらどんなに幸せだろうとね。マイヨ・ジョーヌも僕の夢だけど、マイヨ・アポワでも十分満足だよ」(ボーダン)

ツール・ド・フランス

入場規制手前では大勢の観客の姿も

そうしている間にも、メイン集団は着実にボーダンとのタイム差を縮め、射程圏内に捉えていた。いつしか、その差は数十秒に。独走になったボーダンはフィニッシュ前11.5kmまで粘ったけど、集団の勢いには勝れなかった。レ・ザングルのフィニッシュラインを目指して、メイン集団は加速度を増した。

デルトロからポガチャルのホットラインが完成

UAEが主導権を握ったまま最終盤へと突入したが、残り3kmでヴィスマのアシスト陣が前を固める。リドル・トレックも上ってきて、集団の緊張感が高まっていく。

しかし、ライバルに傾きかけた流れをこの男が断ち切った。前日に劇的なツール初勝利を挙げたデルトロだ。ポイント賞のマイヨ・ヴェールがひときわ映えるメキシカンが、マイヨ・アルカンシエルを引き上げながら先頭に立った。

「イサークは100%以上の力で僕を引き上げてくれたんだ。僕の力を引き出してくれたのは、間違いなく彼だよ」(ポガチャル)

登坂距離1.7km・平均勾配6.5%の上りの大部分をデルトロが牽引すると、フィニッシュ前200mでポガチャルが狙いすましたように踏み込んだ。番手につけていたヴィンゲゴーが反応しきれず、あっという間に数十メートルの差が開く。あとはもう、レースをクローズするだけである。今大会初勝利は、両こぶしを力強く握ってのウイニングセレブレーション。

「ツールの序盤としては最高のコンディションだと感じている。第3週にピークが来るように調整をしているつもりではあるけど、すでに好調だ。勝つチャンスがある以上はつかみたいと思うし、それが可能なコンディションにあるんだ」(ポガチャル)

史上5番目となるツール通算22勝

フィニッシュラインで、ポガチャルとヴィンゲゴーに2秒の差がついた。加えて、ポガチャルはステージ優勝のボーナス10秒、ヴィンゲゴーは2位の6秒。スタート時の両者の総合タイム差は6秒だったから、計算すると計算すると同タイム。ここまでのステージ順位の合算によって、ポガチャルへマイヨ・ジョーヌが移ることが決まった。

ツール・ド・フランス

マイヨ・ジョーヌを纏うポガチャル

「マイヨ・ジョーヌはいつだって嬉しいものだよ。特別な気分にさせてくれるものなんだ。ずっと着続けられるかは分からないけど、一瞬一瞬を楽しみたいね」(ポガチャル)

ツールでのステージ優勝は、これで22回目。史上5番目に勝利数だ。

「いや、勝ちに飢えているというわけじゃないんだ(笑)。でも、勝てそうなときは誰だって勝ちたいもんじゃない? 僕だってみんなと同じだよ。今日は勝つチャンスがあったんだ」(ポガチャル)

前日同様、このステージも総合系ライダーの多くが大崩れすることなく上位戦線を走行。ポガチャルとヴィンゲゴーの同タイムに続いて、レムコ・エヴェネプールレッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が総合タイム差23秒で3位につけ、殊勲のデルトロが24秒差の4位、フアン・アユソ(リドル・トレック)が27秒差の5位につけ、ポール・セクサス(デカトロン・CMA CGM チーム)も48秒差の6位と好位置につける。

チームTT、丘陵、山岳と、開幕からどこか慌ただしかったツールだけれど、第4ステージは多少落ち着くだろうか。カルカッソンヌからフォアまでの181.9kmは丘陵地帯を行くけれど、レイアウト的に逃げたい選手たちに有利に働きそうなイメージ。とはいっても、「上れる」スプリンターも対応できそうなコースとの評があるから……やっぱり激しいレースになりそうだ。

文:福光 俊介 from Les Angles, France

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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