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サイクルロードレース コラム 2026年7月5日

モンジュイック・マジックはヴィスマに微笑む ヴィンゲゴーが今大会最初のマイヨ・ジョーヌ着用者に|ツール・ド・フランス2026 レースレポート:第1ステージ

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ツール・ド・フランス

初日はヴィスマが勝利し、マイヨ・ジョーヌはヴィンゲゴーへ

熱く、美しき3週間。私たちはどれほどまでに、ツール・ド・フランスに魅せられてきたのだろう。また、大きな大きな夏がやってきた。想像をはるかに超えるドラマに今年もまた圧倒され、サイクルロードレースへの一層の愛を深める。ツール・ド・フランス2026。夢のような日々だけれど、そこで起きている出来事はすべて現実である。さあ、旅に出よう。出発地は、スペイン・バルセロナ。目的地はもちろん、パリ・シャンゼリゼだ。

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バルセロナから始まる3週間の旅、目指すはもちろんシャンゼリゼ

今回は2年ぶりとなるフランス国外での開幕。つい先日サグラダ・ファミリアの主塔「イエスの塔」が完成し、エモーショナルに満ちるバルセロナがグラン・デパールを務める。この地を出発し、3週間で3321.2kmを走る。晴れの日ばかりじゃないかもしれない。雨が降ろうと、風が吹こうと、戦いは続く。シャンゼリゼではどんな結末を迎えているだろうか。

バルセロナとサイクリングの関係は深く、毎年3月に開催されるボルタ・ア・カタルーニャでは最終目的地としておなじみ。このツールでも走るモンジュイックの丘は、ボルタのクライマックスにもなる。ツールもこれまで3度、この地を訪れていて、今回晴れてグラン・デパールの大役を担うことになった。

今年のヨーロッパは熱波で多くの人々に健康被害が出ているが、バルセロナも例に漏れずツール開幕前は気温が40℃近くまで上ったという。ただ、その暑さは落ち着いてきて、ここ数日は最高気温が30℃を少し上回る程度。あくまで筆者の主観だけれど、梅雨も絡んで湿度の高いこの時期の日本より、過ごしやすい気がする。

特別ルール採用のチームTT、チーム内一番手ライダーのタイムが採用に

さて、本題へ。

第1ステージは19.6kmのチームタイムトライアル。55年ぶりとなる大会初日のチームTTは、チーム一番手ライダーのフィニッシュタイムが採用される特別ルール。一番手の選手から遅れをとると、その分のタイムが加算される。事前にいくつかの大会で“テスト”が行われて、アシスト陣のペースメイクから最終盤にエースを発射させる戦術が大多数を占めてきた。

ツール・ド・フランス

レッドブルはエヴェネプールが先頭で中間計測を通過

“本番”となる今回も、同じようなパターンになるとの大方の予想。特に終盤はモンジュイック登坂が控えていて、総合成績を視野に入れる選手たちにとっては勝負区間に。大会初日から大なり小なりタイム差が発生し、その先のレース構築にも影響することが考えられる。

現地時間7月4日の17時5分に、第1走者のカハルラル・セグロスRGAがスタートし、第113回ツールが幕開け。以降5分おきに各チームが出発。前半スタート組で好タイムをマークしたのがグルパマ・FDJユナイテッドで、彼らがマークした22分28秒が後半出走チームのターゲットになった。

イネオスが最初の21分台 セクサスやアユソ、レムコも好走

大多数のチームが平坦な市街地区間では人数を残して、フィニッシュまで続く3.7kmのモンジュイック登坂でメンバーを減らしながら最後は総合エースに託すスタイル。そうした中で、モビスター チームはキアン・アイデブルックスが上りで苦しみ、チームとしてもタイムを伸ばせず。チーム ジェイコ・アルウラーも15.9km地点に設けられた第3計測ポイントまではトップだったけど、モンジュイックでペースを落とした。

一方で、高水準に拍車をかけたのがアルペシン・プレミアテックだった。中盤以降グルパマのタイムを上回るペースに乗せると、フィニッシャーをマチュー・ファンデルプールが務めて、22分25秒を記録。

ツール・ド・フランス

ガンナもフォスもタイムトライアルのスペシャリスト

その2チーム後に出発したネットカンパニー・イネオスが、さらにタイムを更新する。5.1km地点の第1計測ポイントからトップに立つと、10.5km地点の第2計測ポイントも一番手。ケヴィン・ヴォークランの後輪パンクという誤算がありつつも、チームはペースを落とさず突き進む。モンジュイックではトビアス・フォスの牽きから、フィリッポ・ガンナが締める。この段階で最速の21分55秒で走り抜き、残りのチームを待った。

今大会での活躍が大いに期待されるポール・セクサス擁するデカトロン・CMA CGM チームは平坦区間こそ遅れをとったものの、モンジュイックでセクサスみずからペースを上げてタイムロスを最小限にとどめてみせる。同様に、リドル・トレックフアン・アユソがフィニッシュ役を務めて、ネットカンパニーから8秒差で終える。レッドブル・ボーラ・ハンスグローエは、マイヨ・アルカンシエルに身を包んだレムコ・エヴェネプールが最終局面でペースアップ。ダブルリーダー体制を敷くフロリアン・リポヴィッツを引き離す形にはなったが、こちらも11秒差とまずまずの出来とした。

ヴィスマが会心の走り マイヨ・ジョーヌはヴィンゲゴーに

この日圧巻の走りを見せたのは、チーム ヴィスマ・リースアバイクだった。平坦区間では、高い巡行力を誇るエドアルド・アッフィニ、ブリュノ・アルミライユ、ヴィクトル・カンペナールツがペースメイク。エースのヨナス・ヴィンゲゴーハンセンをほとんど前に出すことなく、第2計測でトップに立つ。

ツール・ド・フランス

ヴィンゲゴーは余力を残してモンジュイック登坂へ

第3計測でネットカンパニーのトップタイムを6秒更新すると、ヴィンゲゴーのほか、マッテオ・ジョーゲンソンセップ・クス、ダヴィデ・ピガンゾーリを残してモンジュイックへ。クス、ジョーゲンソンと牽引のバトンをつなぐと、最終アシストはピガンゾーリ。

「正直に言うと、僕は何もすることがなかったよ。チームのみんなが僕をフィニッシュまで連れて行ってくれたんだ」(ヴィンゲゴー)

ジロ・デ・イタリアで機能したピガンゾーリとヴィンゲゴーのホットラインが、ここでも生きた。フィニッシュ前600mでヴィンゲゴーが満を持して腰を上げると、溜めてきた力に任せてフィニッシュへ猛進。そのタイムは21分47秒。ネットカンパニーを8秒上回る一番時計だ。

最終走者を務めたUAEチームエミレーツ・XRGもヴィスマ同様、上りに強いメンバーをモンジュイックまで残して勝負したがトップタイムとはならず。最後はイサーク・デルトロからタデイ・ポガチャルへとつないだものの、ヴィスマとは11秒差がついた。

ヴィンゲゴー「マイヨ・ジョーヌを着られる限りは着続けたい」

オープニングチームTTはヴィスマが制し、マイヨ・ジョーヌはヴィンゲゴーへ。3年ぶりのツール制覇、さらにはジロとの2冠「ダブル・ツール」へ、最高のスタートを切った。

「これ以上ない結果だよ! チームメートが素晴らしい仕事をしてくれたんだ。本当に力強かったよ。ステージ優勝は間違いなく彼らのおかげさ。ここ数年、なかなか着られなかったマイヨ・ジョーヌを手に入れられたことも本当にうれしい。チームタイムトライアルでの勝利は特別で、このジャージはみんなでつかんだものだと思っているよ」(ヴィンゲゴー)

ツール・ド・フランス

最後はポガチャル砲で区間3位まで追い上げたUAEチームエミレーツ・XRG

大会初日が終わったまでで、先はまだまだ長い。勝負はもちろんこれからだけれど、マイヨ・ジョーヌに袖を通したことで、この先どう展開していくだろうか。

「目標は個人総合優勝で揺るがない。マイヨ・ジョーヌを着続けるかって? 特別なジャージだからね、着られる限りは着続けたいね」(ヴィンゲゴー)

ヴィンゲゴーにとって最大のライバルであり、5度目のツール制覇を目指して乗り込んでいるポガチャルは総合タイム差12秒で3位につける。追う立場になったが、悲観はしていない。

「今日の走りには満足しているよ。もちろん勝ちたかったけど、レース内容は悪くなかったし、今後のモチベーションにできそうだよ。明日は勝てそうかって? どうなるか見てみよう。個人的には楽しみにしているステージだよ」(ポガチャル)

改めてチームタイムトライアルの結果を整理すると、トップ3はチーム ヴィスマ・リースアバイク、ネットカンパニー・イネオス、UAEチームエミレーツ・XRGの順。個人総合ではヴィンゲゴーがトップに立ち、8秒差の2位にガンナ、12秒差の3位にポガチャルが続く。総合系ライダーに目を向けると、アユソが16秒差の4位、レムコが19秒差の5位、デルトロが26秒差の6位、リポヴィッツが35秒差の8位、セクサスが39秒差の10位、といった具合。

なお、ヴィンゲゴーのマイヨ・ジョーヌのほか、第1計測トップのネットカンパニー・イネオスの先頭通過者となったエガン・ベルナルにポイント賞のマイヨ・ヴェール、モンジュイック登坂で最速だったポガチャルに山岳賞のマイヨ・アポワ、25歳以下で最上位のアユソにマイヨ・ブランがそれぞれ贈られ、第2ステージで着用する。

文:福光 俊介 from Barcelona, Spain

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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