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55年ぶりの開幕チームタイムトライアル 特別ルールで各チームの戦略は?|ツール・ド・フランス直前コラム vol.2
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプでのチームタイムトライアル
スペイン・バルセロナでの開幕となる2026年のツール・ド・フランス。27回目のフランス国外開幕で行われるのは、チームタイムトライアル。この種目がツールで実施されるのは2019年以来。第1ステージでの採用に絞ると1971年以来、実に55年ぶりとなる。
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しかも今回は、いつものチームタイムトライアルとは異なり、チーム内一番手ライダーの所要タイムが有効となる特別ルールが用いられる。
これによって、出場チームが個人総合優勝候補たちの思惑が大会初日からはっきりと見えるであろうと予想されている。各チーム・選手が考える戦略は果たして。今大会でのチームタイムトライアルの大枠と合わせて、見どころを確認していこう。
バルセロナの名所を行くチームタイムトライアル
ツール2026の開幕を彩るチームタイムトライアルは、距離にして19.6km。ヘルツォーク&ド・ムーロンが設計したバルセロナ・フォルムビルを見ながら、全23チームが順にコースへと繰り出していく。その盛り上がりたるや、かなりのものになるだろう。
選手たちはまず、地中海沿いを南北に往復。約5kmを走ったのちに、バルセロナの市街地へと入っていく。この間、5.1km地点に1つ目の中間計測ポイントが設けられる。
市街地走行は全体的に直線的なコース設計がなされているが、その分コーナーも90度ターンが多く、TTバイクでのテクニックが必要だ。10.5km地点では、このタイムトライアルの2日前にチームプレゼンテーションが行われるサグラダ・ファミリアの前を通過。第2計測ポイントが置かれる。
ジョアン・ミロ公園前を抜けると、平坦区間が終わって最難関のモンジュイックの丘へ。登坂距離1.1km、勾配5.1%の上りをこなし、いったん下ったらフィニッシュめがけての最終登坂。最後の800mは7%の勾配で、1992年の夏季五輪の主会場になったスタジアム前に選手たちが到達する。レース時間としては21分程度と想定されている。
マイヨ・ジョーヌ候補が逃げも隠れもできない特別ルール
チームタイムトライアルが大会初日も設けられることもさることながら、最大の注目となるのが特別ルールである。
ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプではチーム ヴィスマ・リースアバイクが区間勝利
本来、チームタイムトライアルにおいてはチーム内4番手ライダーのフィニッシュタイムが正式記録とされるが、今大会においては1番手ライダーのそれがチームタイムとしてカウントされる。つまりは、チーム内1番手の選手から遅れたメンバーは、その分のタイムが加算される形がとられる。
この形式は、2023年のパリ〜ニースで初導入。試験的に行われた変則チームタイムトライアルだったが予想以上の盛り上がりを見せ、ツール初採用へとつながった。最終的なテストも兼ねて、今年のパリ〜ニースやツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプでも行われ、多くのチームが走りの精度を上げている。
主催者にして「革新的な試み」は、同時に「マイヨ・ジョーヌ候補たちが逃げも隠れもできない」とも。チーム種目でありながら個人タイムが計測されるとあって、総合系ライダーにとってはライバルからの遅れがそのまま後々の戦いにも影響を及ぼすことになりかねない。したがって、大多数のチームが総合エースを押し上げるべく、アシスト陣が序盤から飛ばしに飛ばして、終盤の丘陵地帯では山岳アシストが牽引。そして、フィニッシュめがけてエースを発射する戦術をとると予想される。
一方で、マイヨ・ジョーヌにフォーカスするような総合系ライダーがいないチームであれば、純粋にトップタイムを狙うケースや、無難に走り終えて第2ステージ以降でのチャンスを探っていく対応をすることだろう。ひとつ確かなのは、どのチームにとっても大きな、大きな試練のグラン・デパール(開幕)であることだ。
参考までに、今年特別ルールで行われたチームタイムトライアルの結果を見ておくと、パリ〜ニース第3ステージでは、イネオス・グレナディアーズ(現ネットカンパニー・イネオス)が勝利。ケヴィン・ヴォークランが全体トップで走っている。また、ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ第3ステージは、チーム ヴィスマ・リースアバイクがトップタイム。マッテオ・ジョーゲンソンが全体のトップになった。
このどちらにも挙げられるのが、ツールのレース距離より長いこと。前者が23.5km、後者が28.4kmで争われており、19.6kmのバルセロナでは一層のハイスピードかつダイナミックなバトルが見られるはず。
市街地を駆け抜け、モンジュイックの丘で猛然と突き進むマイヨ・ジョーヌ候補たち。想像するだけでワクワクするばかりである。
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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