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22歳マニエ、再び頂点へ。ビッグスプリンター2人を僅差で交わし、マリア・チクラミーノを着込む|ジロ・デ・イタリア2026 レースレポート:第3ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかマリア・チクラミーノ姿で区間2勝目!ポール・マニエ
フィニッシュライン目掛けて、3人がハンドルを投げた。名高い2人のトップスプリンターを退け、僅差で、ポール・マニエ(スーダル・クイックステップ)が勝利をつかんだ。今大会で大きく花開いた22歳。大会2勝目を挙げ、マリア・チクラミーノ姿でブルガリアを去る。2026年ジロは、3日目にしてようやく大きな事故なくフィニッシュを迎え、前区間の勝者ギリェルモ・シルバ(XDS・アスタナ チーム)がマリア・ローザを守った。
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「初日は落車があって、残念ながら、スプリンター全員が揃っていたわけではなかった。でも、今日は、本物の大集団スプリントで勝った。気分は最高だし、自分は世界トップスプリンターの一員なのだと、こうして証明することができた」(マニエ)
集団落車の余波、プロトンは安全運転
すでに7選手が大会を去った。初日フィニッシュ手前の集団落車の影響で、翌日は1名が未出走。さらには2日目の雨に濡れた下りが、6人の希望を奪った。中でもUAEチームエミレーツ・XRGは、8人中3人が戦線離脱。ジェイ・ヴァインが肘の骨折と脳震盪で、マルク・ソレルが骨盤骨折で、即時リタイアを余儀なくされた。その上、3日目のスタートラインには、アダム・イェーツの姿がなかった。重度の擦過傷と左耳裂傷を負っただけでなく、遅発性脳震盪の症状が見られたという。
幸いにも、この日は、好天に恵まれた。スタートフラッグが振り下ろされると同時に3選手が前方へと踊り出し、3日連続で、あっさりと逃げは許された。残る選手たちはステージの大部分を、静かに、安全にやり過ごすほうを選んだ。
おかげで3人は黙々と逃げ距離を稼いだ。全長175kmのステージの終わりに、フーガ賞に記された数字は「174」。つまりチームメイトのアレッサンドロ・トネッリを伴い、3日連続で飛び出したディエゴ・セビーリャは(チーム ポルティ・ヴィジットマルタ)、早くも通算493kmも逃げたことになる。大会の最終フーガ賞マヌエーレ・タロッツィ(バルディアーニ・CSF・7サベール)も、第1日目に続く2回目の試みで、トータルを298kmに伸ばした。
3日連続でファーストアタックで抜け出すことに成功
もちろんセビーリャは目論見通り、ステージ半ばの2級山岳で、争わずして首位の18ポイントを収集。3日連続のマリア・アッズーラ表彰式を楽しんだ。しかも山岳賞2位タロッツィに対するリードは、30ポイントに開いた。少なくとも第5ステージの朝までは、青いジャージ姿で過ごすことができる。
代わりに中間ポイントでは、今回もセビーリャが、紳士的にタロッツィの首位通過を認めた。一方、フィニッシュ手前13kmのレッドブルkmポイントでは、2人は激しく火花を散らした。1年前にレッドブルkm総合賞をもぎ取ったタロッツィが、ライバルを退け、3日連続で首位の座を守った。
逃げ続ける3人、ギリギリの吸収劇
逃げの背後では、マリア・ローザを守るXDS・アスタナ チームとともに、マニエ率いるスーダル・クイックステップがタイム差制御に努めた。ユニベット・ローズ・ロケッツもまた、初日と同じく、ディラン・フルーネウェーヘンのために作業を請け負った。逆に第1ステージで最も精力的だったリドル・トレックとジョナタン・ミランは、今ステージは、長らく牽引には加わらなかった。
最大3分45秒にまで開いた差は、その後は長らく、2分半ほどで落ち着いた。山を越え、ステージも残り55kmを切ると、満を持してリドルも仕事に取り掛かる。すぐさま1分差に追い詰め、残り30kmでは30秒差に迫った。すべては順調に見えた。
ところが残り13km、レッドブルkmポイントを通過した時点でも、差はいまだ30秒も残っていた。その後も逃げとの距離は、思うようには詰まらない。
ラスト8kmで突入した幅広の直線道路に、強い向かい風が吹いていたせいかもしれない。長距離を逃げてはいたものの、激しい駆け引きが少なく、逃げがいまだ余力を残していたのも大きかった。「スプリンターたちのシナリオをひっくり返す」(セビーリャ)と、歯を食いしばり、3人は必死でペダルを回し続けた。
時速50kmを超える追いかけっこは、文字通りギリギリまで続いた。残り3kmで19秒、2kmで15秒、1kmで9秒──。
ユニベットが集団牽引してスプリントする意思を見せていた
フィニッシュライン手前450m。プロトンは3人を飲み込んだ。すでにスプリンターチームは、スプリント体制へと完全移行していた。
早すぎず遅すぎず、最高のタイミング
「逃げには少しひやりとさせられた。吸収にかなりの時間を要したからね。でも僕は信じてチームメイトたちの後をついていったし、そのとおりにチームが僕をベストポジションまで連れて行ってくれた」(マニエ)
ウルフパックの計画は、ラスト1kmへと続く緩やかな下りを利用して、好位置につけること。予定通りにファビオ・ファンデンボッセが最前列まで駆け上がった。そこからラスト1kmのアーチをくぐり、ユニベット・ローズ・ロケッツが一気に4人まとまって突進すると、今度はヤスペル・ストゥイヴェンが道を切り開いた。凄まじい混乱状態をかき分け、残り600m、巧みにミランの後輪へと入り込んだ。
「今日のミランは絶対に積極的に動くだろう」と、スーダル勢は見立てていたという。予想通りだった。
残り250m、ミランはロングスプリントを仕掛けた。道は200mから緩やかに左へと蛇行し、最終ストレートの100m前後で、路面は突如として石畳に変わる。
「もしかしたら、飛び出すのが少し早すぎたかもしれない。最後のコーナーの出口は、もっとフィニッシュに近いと想定していたし、石畳セクションにはトップスピードで突っ込みたかったんだ」(ミラン)
マニエはミランの後輪にすかさず飛び乗った。そして石畳に入った直後に、勝利に向け加速を切った。反対にフルーネウェーフェンは、最後までマニエの斜め後ろに潜み、ラスト25mで正面へと躍り出た。
「スピードは十分に足りていた。でも、仕掛けるのが遅すぎた」(フルーネウェーフェン)
それぞれグランツール区間6勝の先輩を、若きマニエが蹴散らした。大会初日のグランツール初勝利から、わずか2日後の2勝目。もちろんマリア・チクラミーノを3日連続でまとい、自信も野心も、大きく膨らむ。
3人横並びで僅差だった
「今大会ここまでの目標は、可能な限り最高のパフォーマンスを披露すること。でも、こうして2勝を手にしたおかげで、今後はポイント賞に狙いを定めることができる。僕には強いチームがついてる。ローマまでこのジャージを守りたい」(マニエ)
ミランは2位で終え、無勝のままブルガリアに別れを告げた。最終的にマリア・チクラミーノで終えた2年前は第4ステージで、マイヨ・ヴェールを勝ち取った昨ツール・ド・フランスは第8ステージで待望の1勝目を挙げたイタリア人は、「この結果で気持ちが折れたりなんかしない。その逆だ」と今後に意欲を燃やす。また3位フルーネウェーフェンは、「チームのために絶対に勝ちたい。次に向かうさ」とリベンジを誓う。
上位勢の総合タイムは動かなかった。ギリェルモ・シルバを頂点に抱くピンク色の隊列は、移動日1日を挟んで、いよいよイタリア本土へと上陸する。
「マリア・ローザを着て走り、観客からたくさんの声援をもらえたことが、本当に嬉しかった。このジャージとともにイタリアに乗り込めるなんて最高だ。できる限り長く守っていきたいし、1日、1日を大切に過ごしていきたい」(シルバ)
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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