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サイクルロードレース コラム 2026年5月10日

シルバが南米ウルグアイ勢としてジロ・デ・イタリア初勝利!初めてのマリア・ローザを母国にもたらす|ジロ・デ・イタリア2026 レースレポート:第2ステージ

サイクルロードレースレポート by 山口 和幸
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ジロ・デ・イタリア

ウルグアイ出身のギリェルモ・シルバが大金星

第109回ジロ・デ・イタリアは2026年5月9日、開幕地ブルガリアのブルガスからヴェリコ・タルノヴォまでの221kmで第2ステージが行われ、XDS・アスタナ チームのギリェルモ・シルバがゴールスプリント勝負を制して、ウルグアイ出身選手として大会初優勝を果たした。区間1位のボーナスタイム10秒を獲得したシルバは総合成績でも首位に立ち、バラ色のリーダージャージ、マリア・ローザを着用することになった。

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だれもがサプライズな展開を予想していた

黒海に面した東欧ブルガリアでの2日目。バルカン半島の谷間を横断する起伏に富んだ第2ステージは、平坦なルートから始まった。100.4km地点のスリヴェンを過ぎるとコースは難易度が上がり、アップダウンが連続する。フィニッシュとなるヴェリコ・タルノヴォへのアプローチでは、206.8km地点でリャスコヴェツを通過し、残り11km地点でリャスコヴェツ修道院峠の急勾配を登り、ヴェリコ・タルノヴォへと下ってフィニッシュを迎える。

このラスト3kmの最初こそ平坦だが、その後ツァレヴェツの市街地を抜けると、最大9%の急勾配で上り坂となり、一部には斑岩の岩盤地帯もある。最後の1kmはほぼ平坦で、ゴール直前に短い下り坂がある。この日の気温は20度以下で曇天。レース終盤には雨が降り、選手たちがレインウエアを羽織るシーンも見られた。

そんな長距離レースを盛り上げたのは、チーム ポルティ・ビジットマルタのミルコ・マエストリ(イタリア)と初日に山岳賞ジャージをゲットしたディエゴ・セビーリャ(スペイン)だった。2人はほぼ一日中先頭を走り、セビーリャはビャラ峠とヴラトニク峠を越えて山岳賞ポイントを追加。青色のリーダージャージ、マリア・アッズーラをこの日も確保した。

山岳賞を守ったセビーリャとそれをアシストしたマエストリがお役御免となると、残り11km地点にあるリャスコヴェツ修道院の上りに有力選手たちが色めき立った。ところがその直前に予期せぬことが起こった。ゴールまで約20kmの地点で、雨で滑りやすくなった路面でUAEチームエミレーツ・XRGの選手たちが起こした落車事故により、20人以上の選手が巻き込まれた。路肩のガードレールが事態をさらに悪化させたため、レースは数分間中断した。大会2日目は思わぬ形で急展開を迎えた。

ジロ・デ・イタリア

ファーストアタックで抜け出したセビーリャとマエストリ

UAEチームにとって最悪の展開に

緩やかな下り坂での大規模な落車事故にUAEチームエミレーツ・XRGの選手たちがほぼ全員巻き込まれた。ジェイ・ヴァイン(オーストラリア)とマルク・ソレル(スペイン)は最も大きなダメージを受け、レースを棄権せざるを得なかった。エースのアダム・イェーツ(英国)も激しく落車し、最終的にゴールラインにたどり着いた時には14分近く遅れてしまい、体の複数の箇所に怪我を負っていた。2025年の総合優勝者サイモン・イェーツに続く栄冠を狙っていた双子のアダムは大会2日目にしてマリア・ローザ争いから脱落してしまうのだ。

負傷者の中にはバーレーン・ヴィクトリアスのサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア)がいて救急車で搬送された。リドル・トレックのデレク・ジー=ウェスト(カナダ)は怪我を抱えながらもレースを続行したが、それでもゴールまでに1分遅れた。

レースが再開された後、ネットカンパニー・イネオスのエガン・ベルナル(コロンビア)とテイメン・アレンスマン(オランダ)がアタックして、中間スプリントポイントの呼称であるレッドブルKMでそれぞれ6秒と4秒のボーナスタイムを獲得した。

そしていよいよ修道院への上りへ。チーム ヴィスマ・リースアバイクのダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア)が、エースのヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク)の発射台となった。総合優勝の最有力であるヴィンゲゴーハンセンが今回のジロ・デ・イタリアで最初の本格的なアタックを見せたのである。ヴィンゲゴーハンセンの動きに、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエのジュリオ・ペリツァーリ(イタリア)とロット・アンテルマルシェのレナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー)が追従。その後ろでは約25人のライダーからなる追走グループが形成された。

先頭の3人は、ヴェリコ・タルノヴォでのステージ勝利を目指して約20秒のアドバンテージを持って最後の下りに突入したが、ゴールが近づくにつれて躊躇し、互いを警戒し始めた。これにより、UAEチームエミレーツ・XRG唯一の生き残りであるヤン・クリステン(スイス)が最初に追いつき、その後、最後の500mで追走グループ全体が先頭に追いついた。

ジロ・デ・イタリア

3級山岳が抜け出したヴィンゲゴーハンセン、ファンイートヴェルト、ペリツァーリ

有力選手を含む少人数のゴール勝負では、XDS・アスタナ チームのクリスティアン・スカローニ(イタリア)が主役となり、チームメートのシルバを歴史的な勝利へと導く完璧なリードアウトを披露した。最後はシルバがウルグアイ自転車競技界の新たな顔となった。

3年連続で南米出身選手がマリア・ローザ獲得

2026年ジロ・デ・イタリア第2ステージは、サプライズが起こる可能性を秘めていると誰もが予想していたが、まさにその通りになった。最近のレースで好調ぶりを見せていたシルバは、約30人の集団を牽引したスカローニの働きを完璧に活かして、スプリントでチューダー・プロサイクリングチームのフロリアン・ストーク(ドイツ)とリドル・トレックのジュリオ・チッコーネ(イタリア)を僅差で抑えて優勝。そして、サプライズはステージ優勝だけにとどまらなかった。総合1位だったスーダル・クイックステップのポール・マニエ(フランス)がリャスコヴェツ修道院の上りで遅れたため、24歳のシルバがマリア・ローザを奪取した。

ウルグアイ選手は過去108回の大会に一人も出場していなかったが、ジロ・デ・イタリアに初出場したウルグアイ選手が初めてのステージ優勝とマリア・ローザ獲得という歴史的な快挙を成し遂げた。ウルグアイはジロ・デ・イタリアのステージ優勝国として37番目、マリア・ローザ獲得国として31番目となった。

シルバはプロ通算8勝目を挙げた。2025年のGPベイラス・エ・セラ・ダ・エストレーラでのステージ優勝に続く欧州2勝目であり、ワールドツアーレースでは初の勝利となる。直近の勝利は3週間前に中国で開催されたツール・オブ・ハイナンでの総合優勝とステージ2勝だ。そしてチームとしてもこれで2026シーズン12勝目。

南米選手としては2024年のジョナタン・ナルバエス(エクアドル)、2025年のイサーク・デルトロ(メキシコ)に続き、3年連続で同大陸出身の選手がマリア・ローザを獲得したことになる。

ジロ・デ・イタリア

歴史的1ページを刻んだギリェルモ・シルバ

「幼い頃から家族はサイクリストとしての私を大いに支えてくれたので、初めてのジロ・デ・イタリアでブルガリアに来て、私の勝利を目撃してくれるのは本当にうれしい。私も家族のためにできたことを思うととても幸せな気分だ」と大金星が信じられないという表情のシルバ。

「もちろん、今日の勝利にはチームメートの存在が不可欠だった。彼らは私を最高のポジションに導いてくれた。チームの経験豊富な選手たちから多くのことを学んでいる。だからこれはチーム全体の勝利なんだ」

マリア・ローザをどれだけ長く保持できるか楽しみだとも語り、まずはこの瞬間を楽しみ、ピンク色のジャージを着てイタリアへ飛び立ちたいという。

「ウルグアイ選手が初めてジロ・デ・イタリアに出場したこと自体が、すでに私の国にとって歴史的な出来事だった。マリア・ローザを獲得したことで、さらに歴史的な出来事となった。私はこれまで毎年ジロ・デ・イタリアを観戦していた。時差の関係で、ウルグアイでは朝の放送だった。このレースは多くのチャンピオンを生み出し、多くの歴史を刻んできま。そんなレースで私がいま、トップに立っていることは大きな名誉だ」(シルバ)

タイム差なしで区間2位になったストークはジロ・デ・イタリアで2度目の表彰台を獲得。2025年の第15ステージではカルロス・ベローナに続く2位に入っていた。ストークはボーナスタイムの差による4秒遅れの総合2位につけていて、第3ステージ以降に臨む。総合3位はレッドブルKMでボーナスタイム6秒を獲得したベルナルが4秒遅れの総合3位に浮上した。

チッコーネはステージ9回目の表彰台。過去の表彰台はいずれも3位で、2022年のマルモラーダ、2025年のシエナとカステルノーヴォ・ネ・モンティだった。

2日連続で山岳賞のトップとなったセビーリャは、2019年のチッコーネ以来、ジロ・デ・イタリアで最初の4つの山岳賞を独占した初の選手に。そのチッコーネは最終的に総合山岳賞となった。

マニエは総合1位から脱落したものの、ジロ・デ・イタリア第2ステージでポイント賞のマリア・チクラミーノを防衛した初のフランス選手となる。

翌10日の第3ステージは最後のブルガリア。プロブディフ〜ソフィア間の175kmは大きく2つのパートに分けられる。一つはボロヴェッツ・スキーリゾートまでの緩やかな上り坂、もう一つはソフィアのゴール地点までの緩やかな下り坂だ。山間部でも道路幅は広く、市街地に入ると高速道路に合流する。

最後の8kmはほぼ直線で、わずかに下り坂。ラスト1kmは平坦な道となり、ゴールスプリント勝負が展開しそうな予感。

文:山口和幸

山口 和幸

ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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