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ポール・マニエが初出場のグランツールで区間勝利、マリア・ローザ獲得|ジロ・デ・イタリア2026 レースレポート:第1ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか初出場のグランツールで区間勝利、ポール・マニエ
ブルガリアでの初めての祝祭は、突如としてカオスに変わった。フィニッシュライン手前600mで発生した大落車で、難を逃れたのはわずか11人。発射台2人とともにきっちり前に残ったポール・マニエ(スーダル・クイックステップ)が、小さなスプリントを制した。22歳になったばかりの若者にとっては、生まれて初めての、大きなバラ色の栄光だった。
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配信日時 : 2026年5月9日(土)午後7:30 ~
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第7ステージ Cycle*2026 ラ・ブエルタ フェメニーナ
配信日時 : 2026年5月9日(土)午後7:50 ~
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配信日時 : 2026年5月10日(日)午後7:30 ~
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「感激してる。チームと僕が披露したパフォーマンスを、心から誇りに思う。みんなが素晴らしい仕事をしてくれて、最後には、僕を最高の場所まで連れて行ってくれた。おかげで僕は、自分のスプリントを切ることができたんだ」(マニエ)
大会最初の逃げと、大会最初の賞取り合戦
黒海の透明な青や、初めて目にする異国の風景を、幸いにも、ゆっくりと堪能する時間はあった。スタートフラッグが振り下ろされた瞬間に、マヌエーレ・タロッツィ(バルディアーニ・CSF・7サベール)とディエゴ・セビーリャ(チーム ポルティ・ヴィジットマルタ)が勢い良く前方へ飛び出していくと、残されたメイン集団は穏やかな午後へと漕ぎ出した。
スプリンターチームにとっては、レース制御のための労力は最小限で済んだ。リドル・トレック、スーダル・クイックステップ、ユニベット・ローズ・ロケッツの3チームが、集団最前線にそれぞれ1人ずつ作業員を送り込んだだけ。1分半〜2分程度のタイム差で、つかず離れずの距離を保ち続けた。
もちろんイタリア籍の招待チームに課された絶対的使命は、逃げに乗ること。このミッションを成功させた2人は、次の任務を果たすべく、ステージ後半の周回コースへ急いだ。そこでは4級山岳でポイントを争うチャンスが、2度、待ち受けている。
「2つの海のレース」ティレーノ〜アドリアティコの2025年山岳賞タロッツィと、2026年山岳賞セビーリャによる一騎打ち。相手の出方を観察し、タイミングよく踏み込んだのは後者のほうだった。この30歳のベテランスペイン人は、決して成果を独り占めもしなかった。直後の中間ポイントでは、紳士的に、タロッツィに先頭を譲る。おかげで2回目の登坂時には、セビーリャも必死にもがく必要はなかった。首位3ポイント×2回の計6ポイントを悠々と積み重ね、晴れて2026年ジロ最初のマリア・アッズーラを身にまとった。
逃げたマヌエーレ・タロッツィとディエゴ・セビーリャ
「第1週目はマリア・アッズーラ着用の可能性がある、という認識を持ってスタートを切ったし、レース中もそのことを念頭に置いて走った。このジャージを最後まで守るためには、今の僕以上のクライマー能力が求められることは分かっている。でも、僕たちは、アタックするためにここにいる。できる限りこれからも攻撃を仕掛けるつもりだ」(セビーリャ)
青ジャージは逃したが、代わりにタロッツィは青いゼッケンを手に入れた。やはりセビーリャがスピードをうまく抑え、難なくレッドブルkmポイントを首位通過したからだ。また昨大会のレッドブルkm賞とフーガ賞の最終受賞者は、この日、愛すべきジロの小さな賞を他にも2つ手に入れた(中間ポイント賞とフーガ賞)。しかもレッドブルkmでボーナスタイム6秒を手にした結果、1日の終わりには、総合3位という立派な成績もついた。3度目のグランツール出場にして、初めての嬉しい総合ひと桁台だ。
仲良く賞を分け合った2人は、残り23km、静かに吸収されていった。
混乱のフィナーレ、フィニッシュまで600m地点の大惨事
メイン集団内では、序盤120km近くにわたり、特筆すべきことは何も起こらなかった。例外は、いわゆるグランツールのポイント賞常連のジョナタン・ミラン(リドル・トレック)とカーデン・グローブス(アルペシン・プレミアテック)が、中間ポイントで通過順を争ったこと(それぞれ3位、4位で通過)。そしてレッドブルkmポイント目掛けてロット・アンテルマルシェが「タンデム」アタックを仕掛け、大急ぎで回収した集団内から、数人がスプリントに打って出たことだけ。
それでも、逃げの2人を飲み込むと、いよいよプロトンにもエンジンがかかる。スプリンターチームがこぞって集団前方に詰めかけ、何本もの隊列が横一線に並んだ。
ほとんどのチームが、チームプレゼンテーションとこの第1ステージの間の1日を利用して、ステージ最終盤の試走に訪れていた。極めて特殊で、混沌としたスプリントになるだろうことを、誰もが理解していた。最適なラインを取るためのバトルが、あらゆる段階で繰り広げられた。優勝大本命のミランさえ、一時はチーム隊列からはぐれたほどの狂騒。スピードは恐ろしいほどに上がっていった。
ブルガリアの古代都市ネセバルでスタートが切られた
「ただ信頼してチームメイトの後をついていった。コースを下見し、分析した結果、ラスト1kmで好位置につけていることが重要だと分かっていた。僕らはその点に集中し続けた」(マニエ)
ラスト3kmの左折時には、「道の左側を死守しようと決めていた」(マニエ)というスーダル列車は、巧みに突破口を切り開いた。「高架橋を渡ったら右に移る」(マニエ)との計画通り、今大会用のスペシャルジャージをまとう「ウルフパック」は、隊列ごと右へと寄せた。ついには最前列のどまんなかに居座った。残り1kmで道幅が急激に狭まるタイミングでは、スーダル列車は、デカトロン・CMA CGM チームやリドルとともに最高の位置を抑えていた。
──と、残り600m、数人がいきなり弾け飛ぶように地面に転がり落ちた。周囲の選手たちもまとめてなぎ倒された。そこから後ろの集団は完全に停止。前から数えて11人……スーダル3人、リドル2人、デカトロン2人、加えて単騎の4人だけが、混乱を尻目にフィニッシュへと急いだ。
22歳の若きスプリンター、夢にまで見た本物のマリア・ローザ
11人の小さな先頭集団が、ステージ優勝と初日マリア・ローザの栄光を争った。緩やかな上り基調の道で、リドルの先導役が少々突っ走りすぎてしまった一方で、ドリス・ファンヘステルとヤスペル・ストゥイヴェン(スーダル・クイックステップ)という頼もしい2人の先輩は、残り200mまで確実に後輩を連れて行った。そしてトビアスルンド・アンドレースン(デカトロン・CMA CGM チーム)が右側から上がって行くのを察知した瞬間、マニエはすばやく後輪に飛び移り、追い越した。
「ラインを通過した瞬間に、自分は勝ったのだと理解した。腕を上げた。素晴らしい気分だった」(マニエ)
初めてのグランツール区間勝利には、初めてのグランツール総合リーダージャージがついてきた。ピンク色の総合リーダージャージなら、2024年の「U23版ジロ」ジロ・ネクスト・ジェンで着用したことがあるが、今回は「ジロへ向けた高地合宿の期間中、毎日夢に見てきた」本物のマリア・ローザだ。
マリア・ローザを身にまとうポール・マニエ
「去年はグランツール初体験だったから、具体的な目標を持たずにジロを走った。でも、去年は走りながら、『次は具体的な目標を狙って乗り込もう』って心に決めていた。で、その目標を、すでに達成してしまったんだ!信じられない」(マニエ)
ピンクだけでなく、マリア・チクラミーノとマリア・ビアンカさえも手に入れた。第2ステージでは、マニエの代わりに、区間2位のアンドレースンがポイント賞ジャージを着用する。また22歳マニエと23歳アンドレースンと繰り下り、新人賞3位の22歳アントニオ・モルガドが、白いジャージに着替える。レッドブルkmポイントで3位通過し、2秒のボーナスタイムを収集した甲斐があった。
隊列からはぐれた際に前線復帰に孤軍奮闘したせいで、スプリント時には「足が空っぽだった」というミランは、4位で初日を終了。中間スプリントで調子の良さを見せていたグローブスや、チームのグランツールデビューを華やかなスプリント勝負で飾りたかったディラン・フルーネウェーヘン(ユニベット・ローズ・ロケッツ)は、いずれも落車に巻き込まれ、痛みの中でステージを終えた。
タイムトライアルと上りフィニッシュ以外のステージで、フィニッシュ間際で落車やメカトラのアクシデントが発生した場合、その時点で同一集団に属していた選手全員に同じフィニッシュタイムが与えられる。この難解だった第1ステージは、「ラスト5km圏内」でこのタイム救済ルールが発動。今大会のスタートを切った184選手全員に、同じフィニッシュタイムが記録された。不幸中の幸いか、即時リタイアを余儀なくされた選手はひとりもいなかった。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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