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サイクルロードレース コラム 2026年5月23日

ベッティオル、5年ぶりのジロ区間優勝。エウラリオがマリア・ローザ堅持で天王山アルプスへ|ジロ・デ・イタリア2026 レースレポート:第13ステージ

サイクルロードレースレポート by 山口 和幸
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ジロ・デ・イタリア

2度目のステージ優勝遂げたベッティオル

第109回ジロ・デ・イタリアは2026年5月22日、アレッサンドリアからベルバニアまでのほぼ平坦路、距離189kmで第13ステージが行われ、XDS・アスタナ チームのアルベルト・ベッティオル(イタリア)がじつに5年ぶり、2度目のステージ優勝を遂げた。総合成績ではバーレーン・ヴィクトリアスのアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル)がその座を守り、いよいよ第14ステージのアルプス決戦に挑む。

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アタッカーたちがステージ1勝を懸けて

この日はピエモンテ州での戦い。スタート地点のアレッサンドリアはその州都で、ピエモンテ州南部における主要な交通拠点。フィニッシュのベルバニアは湖畔という立地と温暖な気候に恵まれ、観光地として人気がある。難所はないステージであり、翌日にアルプスの山岳が待ち構えているだけに、総合成績の上位を目指す有力選手は静観の構えだ。それゆえにステージ優勝を狙って果敢に飛び出すアタッカーたちが続出した。

晴天、気温27度の中、160選手がスタートしていった。レースはすぐにペースアップ。11km地点でEFエデュケーション・イージーポストのミケル・ヴァルグレン(デンマーク)、グルパマ・FDJユナイテッドのヨハン・ヤコブス(スイス)、ピナレロ・Q36.5プロサイクリング チームのマーク・ドノヴァン(英国)、チューダー・プロサイクリングチームのローレンス・ワーバス(米国)、ウノエックス・モビリティのアンドレアス・レックネスン(ノルウェー)らが抜け出す。

43km地点でアルペシン・プレミアテックのフランチェスコ・ブザット(イタリア)、スーダル・クイックステップのヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー)、チーム ポルティ・ビジットマルタのミルコ・マエストリ(イタリア)、UAEチームエミレーツ・XRGのミッケル・ビョーグ(デンマーク)、ベッティオルが逃げ集団に加わり、メイン集団との差を3分19秒とした。

さらに50km地点でグルパマ・FDJユナイテッドのジョシュ・ケンチ(ニュージーランド)、ロット・アンテルマルシェのトーン・アールツ(ベルギー)らも先頭集団に加わり、メイン集団との差を3分32秒に広げていく。レース開始から1時間の平均速度は時速50.400kmだ。

ジロ・デ・イタリア

逃げ切り区間優勝を狙う15人の精鋭たち

15人となった先頭集団は65km地点で7分20秒先行。87km地点で9分12秒、122km地点で10分07秒、そして残り35km地点(152km地点)でその差は11分00秒に達する。中間スプリント、山岳ポイント、レッドブルKM(170.3km地点)を次々と通過していき、第1集団にいる選手は協調する走りからステージを取ろうとする動きにシフトしていく。

ノルウェーのナショナルチャンピオン、レックネスンが15人の逃げ集団から抜け出したが、173km地点の最後の登りでベッティオルに追い抜かれた。ベッティオルにとってゴールのベルバニアはガールフレンドの出身地で、親しい人たちがたくさんいる。173.8km地点にある標高581m、カテゴリー3級の山岳ポイントではベッティオルはレックネスンに8秒差、ケンチとヴァルグレンに28秒差)、ドノヴァンらの逃げ集団に43秒差をつけ、少しずつ引き離しながら山岳を通過。残り8km地点(179km地点)で、ベッティオルはレックネスンに18秒差をつけて独走を続けた。

「ガールフレンドの家族の故郷でボクが勝つのを見たいと思っていたすべての人々のために、今日は勝ちたかった」というベッティオルが、追いかけるレックネスンに30秒前後の差をキープして単独ステージ優勝を果たした。

「直前に亡くなった元コーチにこの勝利を捧げたい。幸運にもジロ・デ・イタリアの前に彼と話すことができたので喜んでくれると思う」とベッティオル。

頻繁には勝てないが、勝った時は必ず大きな勝利を収める

トスカーナ出身のベッティオルは2019年にキャノンデールでプロデビュー。ロンド・ファン・フラーンデレンでいきなり優勝してイタリア自転車界に衝撃をもたらせた。フランドル・クラシックの中でも最も象徴的で難易度の高い登りの一つであるオウデ・クワレモントでアタックし、アウデナールデのゴールラインまで独走したのだから当然だ。

その後は2年間、不運と体調不良に悩み、BMC、EFエデュケーションファーストと渡り歩き、2021ジロ・デ・イタリア第18ステージで独走して優勝。さらに2年間勝利と遠ざかり、2024年に現チームのアスタナに移籍した。ミラノ〜トリノで勝利し、地元セスト・フィオレンティーノでイタリアチャンピオンジャージを獲得した。

ジロ・デ・イタリア

単独先頭のレックネスンを視界にとらえるベッティオル

浮き沈みのある選手生活だが、「ボクはあまり勝てないけど、世界で最も美しいレースであるロンド・ファン・フラーンデレンで優勝し、世界で最も古いレースであるミラノ〜トリノで優勝し、最も美しいステージレースであるジロ・デ・イタリアで2ステージ優勝し、故郷イタリアの国内選手権で優勝した。レースで優勝したライダーは何十億人もいるけど、モニュメントレースで優勝したライダーはここには一人もいない」とこの日のフィニッシュ後に口にした。

「ボクは自転車競技を始めてからずっと家族の支援を受け、自転車競技コミュニティで素晴らしい人々と出会ったので、人生での勝利を収めた」とも。

この日最も難しかったのは最後の部分だったという。地図上では1.5kmの平坦だったが、その先が下りであることを知っていた。「レックネスンが下り坂で苦戦するだろうとは分かっていた。彼はファンデルプールではないからね。ボクはいつも、失うものは何もないかのように、自分の本能に従って走ってきた。多少のプレッシャーはあったけれど、ボクはプレッシャーが好きだ。それが自分を奮い立たせる。ボクを打ちのめすものではない。ボクのような選手はなかなか勝つ機会に恵まれない。今日ここで勝ったのだから2022年のツール・ド・フランスで優勝できなかったことなんて、誰が気にするだろうか」

XDS・アスタナ チームは今シーズン15勝目。ギリェルモ・シルバ(ウルグアイ)が第2ステージで、ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)が第6ステージで勝利しているので、今大会では3勝目となる。

マリア・ローザを着て走るのはあと1日だけだ

この日の総合優勝争いは翌日に持ち越し。マリア・ローザを着るエウラリオ、33秒遅れの総合2位ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、チーム ヴィスマ・リースアバイク)は13分06秒遅れの16位集団で一緒にゴールした。ボーナスタイムによる変動もなかった。

エウラリオが9日目のマリア・ローザを獲得。これはガストーネ・ネンチーニ、アルナルド・パンビアンコ、ファウスト・ベルトリオ、アンドリュー・ハンプステン、ナイロ・キンタナ、プリモシュ・ログリッチジロ・デ・イタリア総合優勝者6人と同じ数字だ。エウラリオはアオスタ渓谷の山岳ステージに総合首位で挑むという目標を達成。

ジロ・デ・イタリア

マリア・ローザを楽しむエウラリオ

「今日は逃げ切りに最適な日だったね。多くの選手が逃げ切りを狙っていた。私のチームは完璧な仕事をしてくれた」とエウラリオ。

5月23日の第14ステージはアオスタ〜ピーラ(グレッサン)間の133kmで行われる。アオスタ渓谷の州都であるアオスタは、アルプス山脈の中心部、主要な峠へと続く複数の谷が交わる地点に位置している。ピーラはアオスタ渓谷にあるアルプスのリゾート地で、アオスタ市を見下ろすグレッサンの自治体内にある。渓谷の中央盆地を見下ろす広々とした自然のテラスにあり、アルプスの最高峰に囲まれた絶景を誇る。戦後スキーリゾートとして開発されたフィニッシュ地点で、ケーブルカーでアオスタと直結していて、この地域を代表する観光地。冬のレジャーだけでなく、ハイキングコースや高地ならではの自然環境のおかげで、夏季にも人気を集める。

「マリア・ローザを着て走る日はあと1日。チームメート全員に感謝の気持ちを伝えたい。明日はできる限り1日を楽しみたいと思う。最後の登りまで、苦しみも楽しみも味わいたい。そこで、自分の力を試してみよう。すでに私にとって信じられないほど素晴らしい冒険となっている」

しみじみと心境を語るエウラリオ。真の実力者ヴィンゲゴーが筋書き通りに首位を奪うのか? 第109回ジロ・デ・イタリアはいよいよ佳境に突入だ。

文:山口和幸

山口 和幸

ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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